民間情報

二次製品 生コン価格高騰 スライド条項の適用本格化

2023.2.9 カテゴリ2(民間情報)

ロシアによるウクライナ侵略や歴史的な円安で物価上昇が続く中、原材料費やエネルギー価格の高騰が続いた昨年からやや収まりを見せ始めたものの、全体的な下降局面には至りそうにない。価格転嫁については、公共事業は民間事業よりも比較的進んでいる。スライド条項の適用が本格化しそうだ。
令和3年に本格化した資材価格の高騰は徐々に勢いが弱まってきた。建設物価調査会の調べによると、東京の大口取引価格では、H形鋼は1t当たり3年1月の8万円から4年9月には12万4000円まで上昇。しかしその後、横ばいが続いている。3年1月に1t当たり7万3000円だった異形棒鋼は、4年5月に12万1000円を記録。その後低下に転じ、4年12月は11万5000円となっている。鉄鉱石や鉄スクラップの価格下落が影響したようだ。
建設物価調査会によれば、「当面、価格が下がる流れにはならない。高値での推移が続くだろう」と見ている。その要因は、価格転嫁がまだ進んでいない資材があることだという。
素材をそのまま製品化した物は、原材料の値上げとともに価格が上がり、高止まりしている。一方で、素材をもとにつくる二次製品は、遅れて値上げが進んでいる。
価格転嫁が遅れている製品の一つが生コンクリートだ。セメントに加えて骨材などの価格も上がっている。
生コン価格は、令和4年9月までじわじわと上がったが、他の資材ほど上がっていない。しかし、昨年10月には、東京地区における1㎥あたりの価格が1万5000から1万7800円と高騰した。また、東京地区生コン協組は4月から1㎥あたり2000円値上げすると発表した。県内の奈良県広域生コンクリート協同組合でも4月から価格を改定するとしている。
公共工事では資材高騰を受けた工事費への価格転嫁が比較的進んでいる。工事契約後の資材高騰については、公共工事の場合、多く都道府県が「スライド条項」を設けている。特定の資材価格が高騰した場合には、単品スライドを適用するが今回のように、高騰した資材が多岐にわたる場合は、インフレスライドも適用できることになっている(公共工事標準請負契約約款)。
スライドの種類によって受注者側の負担の算出方法が異なるので、自社に有利なものを選べばよい。
今後、原材料費が高騰続けば単品スライドだけでなく、インフレスライドも増加しそうだ。
(橋本)    
鋼材は頭打ち、生コンはこれから上昇
 

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