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国交省 賃上げ企業に加点 総合評価入札で 令和4年4月以降の案件から

2022.1.14 国交省

国土交通省は、令和4年4月以降に契約する案件から、直轄工事や建設コンサルタント業務の総合評価落札方式の入札で、賃金引き上げを表明した参加企業に加点措置を講じる。
これは、岸田政権の方針を受けて財務省が昨年12月17日に各省庁に送った通知「総合評価落札方式における賃上げを実施する企業に対する加点措置について」(閣議決定に基づくことを明記)に基づく施策だ。それを受け国交省は同24日付で加点や確認の手法、入札説明書への記載例などを各地方整備局や運輸局、航空局などに通知した。賃上げを反故にした企業に対するペナルティーも含む。
政府は昨年11月19日に閣議決定した経済対策などで、分配を重視する考えから企業の賃上げの促進を掲げた。その促進策の1つとして、公共工事を含む政府調達の対象企業の選定で、賃上げをする企業を優先する方針を盛り込んでいた。
財務省はこの方針を踏まえ、賞与などを含む年間給与を所定の割合以上引き上げる計画を表明した企業を対象に、令和4年4月以降に契約する案件から総合評価入札で加点するよう各省庁に通知した。法人税法に基づき資本金が1億円以下の中小企業に当たる場合は総額で前年度比(前年比)1・5%、1億円を超える大企業の場合は1人当たりの平均で同3%を上げ幅の基準としている。
評価の対象時期として、(1)落札した工事の契約を結ぶ年の4月以降に始まる最初の事業年度(2)契約する年(暦年)―のいずれかを入札参加者が選ぶ。対象時期の年間給与を所定の割合以上引き上げる旨を従業員に表明していれば、総合評価で加点を受けられる。
加点を希望する企業は「従業員への賃金引き上げ計画の表明書」を作成した上で、入札参加申請時に提出する。表明書を提出した入札の総合評価の加算点または技術点で5%以上の加点を受けることができる。例えば、加算点が従来40点満点であった直轄工事の場合、表明書の提出によって3点加点される(満点が43点となるため、約7%の加点)。
加点を受けた企業に対しては、選択した事業年度または暦年の終了後に決算書などで約束した賃上げの達成状況を確認する。大企業は給与等受給者1人当たり平均受給額、中小企業は給与総額の伸び率をみる。確認の際は賃上げを表明した年度とその前年度の法人事業概況説明書を決算日の翌日から2カ月以内に契約担当官に提出する。暦年の場合は2年分の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表を翌年の1月末までに提出する。
賃上げが未達成だった企業には、その後1年間の国のすべての調達において、総合評価で減点措置を講じる。国交省の基準では加点割合よりも1点大きな配点で減点する。40点満点の直轄工事の例で見ると、4点減点される。
JVで加点を受けるには各構成員による表明が必要となる。減点措置は未達成だった構成員である企業と、その企業を含むJVに対して行う。

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