一般記事

建設業のテレワーク他業種に後れ 業種の特性企業側に課題も

2021.4.28 その他

政府は新型コロナウイルスの感染拡大に伴う3回目の緊急事態宣言を4都府県に発令したが、経済界では多くの業種でテレワーク(在宅勤務)の採用が増えている。しかし、建設業は他の業種と比べて後れを取っており、特に現場で働く人の採用が進んでいない。テレワークを取り入れる体制が依然として企業に備わっていないことも分かった。
某研究所が最近発表したアンケート調査の結果によると、全業種におけるテレワークの実施率は27.9%、建設業の実施率は23.3%だった。その他では、情報通信業の実施率は53.4%、学術研究や専門・技術サービス業の実施率は44.5%。大手ゼネコンなどは続々とテレワークの強化に動いている。ただ、建設業界全体では他業界に比べてテレワークの実施率が低く、政府や自治体の外出自粛要請に十分に応じられていないのが実状だ。
 同研究所は「今後、感染者が建設現場で発生すれば、工程が遅れる。長期の影響を見据えて、建設業では今こそテレワークできる体制準備を急ぐべきだ」と警鐘を鳴らしている。建設業のなかでも、職種によってテレワークへの取り組み方は異なる。施工管理や設計に携わっている人のテレワークの実施率は26.3%。一方、職人や現場の作業に携わっている人の実施率は5.9%。
 では何故、建設業の技術職がテレワークが進まないのか。その理由の一つは、業種の特性だ。職人・現場作業員のなかで「テレワークを実施していない」と回答した人のうち、その理由について「テレワークで行える業務ではない」と回答した人は52.9%。また、「テレワークを行う場所がない」と回答した人は24.7%だった。テレワークを実施していない理由について、職人や現場作業員のなかでは「テレワークで行える業務ではない」という回答が最も多く、施工管理や設計に携わる人のなかでは「テレワーク制度が整備されていない」という回答が最も多かった。施工管理や設計に携わる人も、業務内容がテレワークに不向きであると感じているようだ。
 また、自分が勤める企業がテレワークに対応していないという意見も多い。施工管理・設計系の職種のなかで「テレワークを実施していない」と回答した人のうち、「制度が整備されていない」と回答した人は42.2%、「ICT環境(機器、システム)が整備されていない」と回答した人は22.5%、「会社がテレワークに消極的で、実施しにくい」と回答した人は14.4%だった。いずれも全業種の平均値を上回っている。
 企業の体制が原因で従業員がテレワークを実施できないという構図は、緊急事態宣言の発令前後で変わっていないのが実態である。

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