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国交省 指定の手続きに着手 大和川水系特定都市河川

2021.11.18 省庁

 国土交通省は、令和3年11月1日に施行された改正特定都市河川浸水被害対策法に基づき、同法の改正後で全国初となる大和川水系大和川等の特定都市河川指定に向けた関係者への事前の意見聴取を実施する。
 気候変動の影響による降雨量の増加等に対応するため、流域全体を俯瞰し、あらゆる関係者が協働して取り組む「流域治水」の実現を図る「特定都市河川浸水被害対策法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第31号。通称「流域治水関連法」)が令和3年5月10日に公布され、同年11月1日に全面施行となった。
国土交通省では、流域治水の本格的実践に向けて、流域治水関連法の中核をなす特定都市河川浸水被害対策法に基づき順次、特定都市河川の指定を全国の河川に拡大し、流域治水関連法の枠組による取組みの一層の強化を図ることとしている。
このほど流域治水関連法の施行後で全国初となる一級河川大和川水系大和川他18河川の特定都市河川指定に向け、法第3条第8項の規定に基づき当該河川の流域をその区域に含む奈良県及び県内の25市町村の長と、当該河川の流域に係る下水道管理者への意見聴取の手続を開始した。
問い合わせ先は河川に関することが水管理・国土保全局治水課(電話03―5253―8455)、下水道に関することが水管理・国土保全局下水道部(電話03―5253―8432)。
手続きの開始について荒井知事は「手続きが始まったことは、大変喜ばしい。流域のあらゆる関係者が協働して取り組む流域治水の実現に向け、より一層の取組み強化を図って参りたい」等とコメントしている。
奈良県県土マネジメント部河川整備課は、特定都市河川浸水被害対策法の一部改正に伴い、大和川が特定都市河川に指定された場合に法を踏まえた現条例の改正を行うため、12月中旬にもパブリックコメント行うことにしている。地方公共団体による雨水貯留浸透施設の整備は、社会資本整備総合交付金の補助率が現行の1/3から1/2に引き上げられる。
 大和川上流域においては、昭和57年大和川大水害を契機として大和川流域総合治水対策協議会が発足し、60年に策定された流域整備計画を基に河道整備だけでなく、雨水貯留浸透施設の整備や開発に伴う流出増の抑制のための防災調整池等の整備を進めてきた。さらに総合治水のより一層の取組み強化を図るため平成29年10月に「大和川流域における総合治水の推進に関する条例」を制定し、①ながす対策(治水対策)②ためる対策(流域対策)③ひかえる対策(土地利用対策)の3本柱と、上下流一体となった取組みを支える仕組みとし、総合治水に取り組んできた。
令和3年2月2日に閣議決定された流域治水関連法案について、特定都市河川指定の要件が河道等の整備による浸水被害の防止が困難であることの要因として、市街化の進展に加え「当該河川が接続する河川の状況または地形その他の自然的条件の特殊性」が追加された。大和川上流域は市街化率の要件は満たしていないが、亀の瀬と呼ばれる狭窄部の影響により河道の整備が困難な地域であり、新たに追加された要件を満たすため県として特定都市河川の指定を国に求めていくこととしている。
現在、「大和川流域整備計画等検討業務委託(内水対策推進事業(都づくり))第1―委―1号」を一般競争入札により業務を建設技術研究所奈良事務所に委託して進めている。業務場所は大和川流域。委託期間4年3月31日。担当は河川整備係(電話0742―27―7507)。詳細は11月13日①面参照。

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