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3年度に詳細設計 事務所駐車場地下に貯留施設 一般競争入札を8月4日に開札 容量1600~1800立方㍍ 場所打コンクリとPCを比較検討

2021.7.2 県高田土木事務所

 奈良県高田土木事務所は、事務所駐車場の地下に地下貯留施設の整備を計画、令和3年度に詳細設計を行うことにしており、「甘田川地下貯留施設詳細設計業務委託(受託単独河川改良事業)第TJ―2―委1号」を8月4日に開札して業務を委託する。
 県高田土木事務所は、高田土木事務所駐車場の地下に設ける地下貯留施設(約1600立方㍍~1800立方㍍)に関して、令和3年度に地下貯留施設本体・越流施設とポンプピットの構造予備設計及びこれら工事に関わる施工計画と仮設備の予備・詳細設計を行う。また、地下貯留施設内の貯留水を約24時間で排水する水中ポンプの設備詳細設計も行う。
 大和川流域では、昭和58年2月に大和川流域総合治水対策協議会を設立し、総合治水対策に取り組んできたが、内水被害などの浸水被害は依然として数多く発生している。県では、大和川流域内で多発する内水被害に着目し、内水による家屋浸水被害の解消に向けて適地に調整池等を整備する「奈良県平成緊急内水対策事業」を推進していくことが、平成30年5月の大和川流域総合治水対策協議会において全会一致で承認され、その後10年確率降雨規模で内水浸水による家屋被害が生じる地区を優先させて取組みを推進させているところ。
これを受けて令和元年度に地域が抱える課題を踏まえ、内水浸水による家屋被害の解消に向け、効果を発現する内水処理施設の配置計画の検討や施設の概略設計を行なった。この検討結果と関係機関協議を行ったところ、高田土木事務所駐車場の地下に約1600立方㍍~1800立方㍍の地下貯留施設を設けることとなった。
総合評価落札方式一般競争入札「甘田川地下貯留施設詳細設計業務委託(受託単独河川改良事業)第TJ―2―委1号」を8月4日に開札して業務を委託する。業務場所は大和高田市東中。業務概要は地下貯留施設詳細設計1式。委託期間4年3月18日。予定価格3767万5000円込、調査基準価格3023万9000円込。
 打合せは業務着手時・中間3回・成果品納入時の計5回行う。成果品は①報告書(簡易製本)2部②図面(縮小版A3)2部③電子成果品(CD―R)2部(正・副)。業務内容は次の通り。
【設計計画】
業務の目的と内容を充分に把握し、所定の成果が得られるように具体的な作業方法及び工程計画と事業実施フロー等を検討し、業務計画書の作成を行うとともに、業務遂行上必要な諸準備を行う。
【現地踏査】
現地踏査を実施し、現況施設の状況や予定地周辺の河川状況と地形・地質と近接構造物及び土地利用状況・河川の利用形態等を把握し、合わせて工事用道路・仮排水路・施工ヤード等の施工の観点から現地状況を調査し、整理する。
【資料収集整理】
既往資料及び現地踏査をもとに地質調査結果や甘田川の基本的な事項や諸元の整理及び本地下貯留施設の設計に必要な埋設資料等の収集及び整理を行う。
【基本事項の決定】
設計図書及び指示事項等に基づき①全体計画及び調整池計画諸元の確認②設計条件の検討③関係法令の確認及び協議資料の作成④調整池配置計画及び容量の確認⑤調整池越流堤諸元の確認及び検討⑥維持管理施設の検討⑦排水施設の基本緒元検討―の基本条件等を確認し、整理・確認・決定する。なお、④においては流域特性等を考慮した水理計算を行い、適切な越流堤の諸元を設定するとともに、必要容量が貯留できることを確認して基本事項を決定し、調整池設置による浸水シミュレーション等を実施し設置効果を検証する。また、ライフサイクルコストを踏まえた費用と効果を検証し最適な貯水容量を確認する。
【地下貯留施設構造の総合検討】
地下貯留施設の構造について諸条件を整理した後、主に「場所打ちコンクリート」と「プレキャスト」で比較を行い、最適となる構造について概算費用等も考慮した総合評価を行って決定する。
なお、維持管理面等において「場所打ちコンクリート」「プレキャスト」以外で適した構造がある場合は比較対象として提案を行う。また、大雨時や地震時に操作盤等が転倒・浸水して貯留施設の機能が長期間に亘り機能不全とならないようにする。ポンプ故障時にはエンジンポンプ等の代替措置で排水できるものとする。
【地下貯留施設の構造設計】
比較で決定した地下貯留施設の土木施設について細部構造を決定して設計計算を行い、詳細仕様を定め①設計条件の設定②構造形式の検討③貯留槽への防水工の検討④地下貯留部材の構造(計算)設計⑤基盤地盤の検討⑥浮き上がり(液状化)対策の検討―について検討及び詳細図を作成する。なお⑤は荷重条件・地下貯留施設の構造形式・地盤対策工等に基づき基礎地盤の沈下等を考慮し、地盤改良工の仕様を検討する。
【耐震性能照査】
『プレキャスト式雨水地下貯留施設技術マニュアル(公財)日本下水道新技術機構』に要求されている「レベル1」「レベル2」地震動に対する耐震性能照査を実施する。以上の検討結果をとりまとめて報告書を作成する。
【附帯工の設計】
地下貯留に付随する①設計条件の設定②越流提の設計③排水ポンプピットの設計④昇降設備の設計を行う。また、貯留施設の維持管理を効率的に行うため必要に応じた点検口を設置する。洪水時に満水になる際は、地下貯留の頂版等に作用する負圧に対して通気口等の設置検討及び設計を行う。さらに設置位置が高田土木事務所に近接するため、衛生的な職場環境維持の面からも地下貯留の衛生面に留意して検討する。
【上面復旧設計】
地下貯留施設構築のために一時撤去した上部の駐車場(区画線含む)及びその他排水施設と電気設備(照明配置)等の外構の復旧設計を行う。
【ポンプ設備設計】
排水ポンプに係る①設計条件の設定②水中ポンプの設計③ポンプ操作盤等設備設計④仕様書の作成を行う。
【施工計画】
当該工事で必要となる開削及びそれに伴う土留め構造・撤去等の工事の順序と施工方法を検討し、最適な施工計画案を策定する。その主な内容は①施工条件②施工方法③掘削計画④工程計画⑤工事機械や仮設備とその配置⑥環境保全対策⑦安全対策とする。なお、寸法の表示は構造物の概要が判断できる主要寸法のみ。施工計画は高田土木事務所と近接した施工となるため、振動や騒音等を考慮した施工方法を検討する。また、高田土木事務所を開庁しながらの施工となるため工事の順序や施工ヤードと資材搬入を考慮し最適な施工計画とする。
【仮設備設計】
施工計画により必要となる仮設構造物(仮締切、仮排水路、工事用道路及び土留工等)の規模と構造諸元を近接構造物への影響も考慮して水理計算・安定計算及び構造計算を行う。また、地下水位・周辺環境・打設工法・地質を充分に考慮した仮設計画を行う。
【図面作成】
必要となる計画平面図・断面図・一般図・構造図及び施工に関わる図面等を作成する。
【数量計算】
「土木工事数量算出要領(案)」により数量計算を行い、算出した結果は「土木工事数量算出要領数量集計表(案)」に基づいて工種別・区間別に取りまとめる。
【資材単価調査】
「建設物価」「積算資料」に掲載のない資材について見積書等により資材単価の調査を実施する。
【照査】
照査を行い、照査報告書として提出する。
【報告書の作成】
以上の計画・検討した内容と技術的な検討内容及び施工時の留意事項などについて報告書にとりまとめる。

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