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県と川上村 持続的発展と活性化へ まちづくり基本計画を策定 西部で産業創造ゾーン形成と観光拠点の強化 東部で旧川上東小学校を交流拠点施設へ整備

2021.7.6 県総務部

 奈良県と川上村は、「西部産業・観光拠点周辺地区」及び「東部暮らしの拠点周辺地区」のまちづくりに係る取組みに関して基本計画を策定した。連携・協力して取り組むことで当該地区の持続的発展及び活性化を図ることを目的とする。
西部地区では木匠館を産業創造複合施設としての再整備など産業創造ゾーンの形成と土倉翁を核とした拠点空間整備事業など観光拠点の強化を、東部地区では旧川上東小学校の交流拠点施設としての整備などに取り組む内容になっている。
 川上村は、県東南部の中山間地域に位置し、奈良県から和歌山県に流れる吉野川・紀ノ川の源流の村(水源地の村)。川上村は吉野林業の中心地として発展し、今も村の基幹産業は林業だが、農林業の長引く低迷やダム建設事業による離村及び少子高齢化等によって過疎化が進み、昭和30年をピークに一貫して人口減少が続いている。
そのような状況下にあって川上村における郷(まち)づくりは、平成6年度から『水源地の村づくり』をコンセプトとして樹・水・人の共生する環境をめざした取組みをスタートさせており、27年度からの10年間を計画期間とする第5次総合計画においては『都市にはない豊かな暮らしの実現』を掲げて、より具体的なプロジェクトが「まち・ひと・しごと創生総合戦略」(27年1月)に基づいて動き出している。
このような動きや課題を踏まえ、村内における持続的発展や活性化を企図した郷(まち)づくりの推進に資するため、県と川上村で平成29年にまちづくりに関する包括協定を締結し、まちづくり基本構想(30年10月18日)を策定した。
このまちづくり基本構想の実現に向けて必要な取組みを具体的に検討・協議し、基本的な方向性や取り組むべき事業についてとりまとめ、『西部産業・観光拠点周辺地地区』『東部暮らしの拠点周辺地区』とともに2つのネットワーク圏の形成による『都市にはない豊かな暮らしの実現』をめざして策定したもの。問い合わせ先は県総務部知事公室南部東部振興課(電話0744―48―3015直通)、川上村定住促進課(電話0746―42―0441代表)。
 【西部産業・観光拠点周辺地区~にぎわいと仕事の郷(まち)づくり~】
対象区域である『西部産業・観光拠点周辺地区』では、基幹産業である林業の振興を目指して組成された「一般社団法人吉野かわかみ社中」が中心となり、木材生産(川上)を始め製材・加工・流通(川中)・販売(川下)までの一貫した仕組みづくりに取組んでいる。
また、村外と交流しやすいこの地区は、村内でも居住者の多い集落で構成されており、木材加工を始めとする事業の立地やアーティスト・職人等の集積、公有資産や観光資源の有効活用を図ることなどで、村域の玄関口としてのポテンシャルを高め、一体的な西部地区の集落ネットワーク圏を形成することが期待されている。
 〈『産業創造』ゾーンの形成〉
 ▽波津集落活性化事業。
 ▽「匠の聚」交流連携促進事業。
 ▽木匠館再整備事業=「源流アカデミー構想」の推進、産業創造複合施設としての再整備。
 ▽施設運営事業。
 〈『暮らし・交流拠点』の形成〉
 ▽家族向け住宅整備事業=旧若竹寮における村内外からの移住者を対象とした定住促進住宅の整備・供給。
 ▽転居元の資産活用と活力維持事業。
 ▽保育園並びに義務教育学校施設整備事業=保・小・中の12年間を通して心身ともに優れた子どもたちの育成を図るための施設整備。
 ▽施設周辺の環境整備事業=アクセス整備による登下校・送迎等における安全性の確保、白倉会館の活用等による地域に開かれた教育施設としての機能発揮。
 ▽「西部暮らしの拠点」機能の形成事業=教育施設や白倉会館などの利活用による西部地区版「小さな拠点」の形成。
 ▽複合交流施設の整備事業=来た人が地域と繋がる(住民が村外の人と交流する)ことのできる複合交流施設の整備(林業資料館跡地)、周辺環境の整備(交差点改良、歩道橋の更新)。
 ▽物流拠点機能の整備事業=「かわかみらいふ号」の西部地区における活動拠点や「小さな拠点」としての機能を備えた物流拠点機能の整備(旧観光案内所の活用等)。
 ▽地域商社機能の形成事業。
 〈『観光拠点』の育成・強化と、拠点間のネットワーク化〉
 ▽土倉翁を核とした拠点空間整備事業=磨崖碑のビュースポットとしてのSS跡地の整備・活用による土倉翁関連情報の発信、国道169号における歩行者の安全性の確保。
 ▽吉野川沿いの水辺空間整備事業=水や歴史に親しみ、散策等を楽しめる水辺動線・管理用道路の観光活用の可能性などの検討。
 ▽大滝ダムを核とした環境整備事業=大滝ダム関連施設の観光コンテンツとしての魅力向上、集客資源としての積極的な活用(駐車場・広場・歩行者路等の再整備、サイン設置、修景整備等)。
 ▽エコツーリズム、インフラツーリズム等との連携による観光振興事業。
 〈『交通・物流ネットワーク』の形成〉
 ▽国道169号から産業創造ゾーンへのアクセス向上=産業創造ゾーンへのアクセス向上を図るため、狭隘な区間の改良等による安全性の向上、吉野川架橋の新規整備等の検討。
 ▽再生可能エネルギーと地域デジタル化への取組み。
 【東部暮らしの拠点周辺地区~暮らしつづける郷(まち)づくり~】
 対象区域である『東部暮らしの拠点周辺地区』では、特に高齢化や過疎化の深刻な集落が多い『東部地区』において、総合戦略の「人」・「仕事」・「子育て・教育」・「暮らし」の4分野を横断する「東部地区暮らしがつづく集落づくりプロジェクト」が始動しており、その事業主体として「一般社団法人かわかみらいふ」が設立されている。
 また、「かわかみらいふ」では、「暮らしを守る」(買い物支援等)、「健康を守る」(巡回診療、健康教室、食生活改善等)、「つながりをつくる」(カフェ、会議・サークル、相互見守り等)、「仕事をつくる」(各種サービス等の事業化等)といった取組みを展開し、「小さな拠点」の設置された北和田集落を中心とする東部地区の集落ネットワーク圏の形成をめざしている。
 〈村外に転居しなくても暮らし続けられる地区環境の整備〉
 ▽ふれあいセンターの拠点強化=①見守り・健康相談事業②各課連携事業③コミュニティ活動促進事業④防災機能強化事業。
 ▽道路整備及び交通ネットワークの充実=①「ふれあいセンター」への進入道路整備事業(バスターミナル)②交通ネットワークの検討事業(バス停移動、「ニコニコ号」の運用)。
 ▽一時避難住宅等の整備=①交流拠点施設整備事業(旧川上東小学校を交流拠点施設として整備し、平時は交流拠点施設にプラスして一時滞在型のシェアハウスとして、災害等緊急時は避難施設として活用)②交流拠点施設管理・運営事業。
 ▽空き家の利活用の推進=①住まいるネット事業として空き家の募集・管理・仲介②定住促進住宅整備事業として空き家・空き地の1団地開発。
 〈高齢になっても住み続けられる地区環境の整備〉
 ▽地域農園の整備=①村民の生きがいづくりと新しい特産品開発をめざした地域農園の整備事業②地域農園運営事業。
 ▽高齢者向け住宅の整備=①高齢者向け住宅整備事業②入居者支援事業。

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