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県奈良公園室 第2次計画を策定へ ニホンジカ第二種特定鳥獣管理 1月5日までパブコメ

2021.12.21 県地域デザイン推進局

 奈良県奈良公園室は、「管理地区」のD地区(面積約184平方㌔㍍)に生息する奈良市ニホンジカの第二種特定鳥獣の管理を第1次計画に引き続き行うため、第2次計画(案)をまとめた。4年1月5日までパブリックコメントを実施している。
 県土マネジメント部地域デザイン推進局奈良公園室は、『奈良市ニホンジカ第二種特定鳥獣管理計画(第2次)(案)』への意見を4年1月5日まで募集している。問合せ先は奈良公園管理係(電話0742―27―8028)。
案は県政情報センター(県庁東棟1階)・県民お役立ち情報コーナー(県立図書情報館、奈良県産業会館、吉野町中央公民館、橿原総合庁舎)・奈良公園室(県庁分庁舎6階)で閲覧に供しているほか、ホームページでも公表している。意見書は電子メール・FAX・郵送により受け付ける。
 春日大社境内・奈良公園及びその周辺のシカは、古来春日大社の神鹿として愛護されており、奈良市(平成17年4月の合併前の区域)一円に生息するニホンジカは、国の天然記念物に指定されている。天然記念物指定後は、鹿害訴訟の和解事項に基づいてシカの生息地を地区区分し、保護管理を行っている。しかし鹿害防止として防鹿柵設置を行ってきたにも関わらず、依然として農作物被害が生じている。
このような状況のもと県では「奈良のシカ保護管理計画検討委員会」を設置し、奈良のシカの「保護」に重きをおいた施策を実施することとし、地区区分及び保護管理の基準について「保護地区」(A・B・C地区)と「管理地区」(D地区)に区分し、保護管理を進めている。
このうち「管理地区」であるD地区もA・B・C地区と同様に農林業を含めた地域との共生をめざす地区であることに変わりはないが、近年はシカの個体数が増加し、それに伴う農林業被害が緊急な課題となっていることから、県では平成29年に「奈良市ニホンジカ第二種特定鳥獣管理計画」を策定し、対策を実施してきた。
その結果、農業被害はある程度軽減が見られるものの依然として発生していることから、「奈良市ニホンジカ第二種特定鳥獣管理計画(第2次)」を作成し、農業被害への対策を継続することとした。そこで県民の意見を計画に反映させるため「奈良市ニホンジカ第二種特定鳥獣管理計画(第2次)(案)」に対する意見を募集するもの。案の概要は次の通り。
地区区分及び保護管理の指導基準について現状の実態に即して「保護地区」(A・B・C地区)と「管理地区」(D地区)に整理し、「保護」に重きを置いた施策を進めてきた(図・表参照)。  管理すべき鳥獣はニホンジカ(Cervus nippon)で、天然記念物「奈良のシカ」(合併前の区域)一円に生息)のうち保護管理のための地区区分のD地区(面積約184平方㌔㍍)に生息するもの。第二種特定鳥獣の管理を行う。計画の期間は4年4月1日~9年3月31日。
計画の目的は①天然記念物「奈良のシカ」個体群の健全な維持②農林業被害の軽減及び被害地域の拡大抑制③森林生態系への影響抑制④生活環境被害の軽減。
▽生息の現状=①当該計画の対象地は京都府に接しており、東部は森林、西部は市街地等が大部分を占めている。文化財保護法・鳥獣保護管理法による捕獲規制等が図られている②元年度の糞粒法調査結果から推定された計画対象地域における平均生息密度は11・5頭/平方㌔㍍であり、A・B地区に近いほど生息密度が高く、離れるほど生息密度が低くなる傾向がある③遺伝的特性としては奈良公園中心部のシカは極めて狭い地理範囲で遺伝的にまとまった集団を形成し定住性が高く、一方で、奈良公園中心部とD地区の個体群は分断されているわけではなく、遺伝的交流も認められる。
▽第1次特定計画の取組結果と評価=①第1次特定計画の管理の目標は保護地区の「奈良のシカ」の保護上支障の恐れのない範囲で、農林業被害や森林生態系への影響及び生活環境被害等の軋轢を許容レベルまで軽減を図ること②防鹿柵の設置による被害防除(延べ2738㍍)、加害個体(或いはその可能性が高い個体)の捕獲(計483頭)、被害調査と生息状況調査・捕獲個体調査のモニタリングを実施した③生息密度調査結果より計画対象地におけるシカの生息状況に大きな変化はなく、またA・B地区のシカの保護上支障のある影響も与えていないと考えられた④被害状況のモニタリング結果から防鹿柵設置箇所では被害軽減の効果があったと考えられる⑤捕獲についてはシカの行動を考慮した範囲内の被害農地周辺を捕獲対象地域として実施したが、捕獲による被害軽減を示唆する結果が得られた⑥以上のことから第1次計画における管理目標はおおよそ達成できたと評価できる⑦しかし対象地の被害状況について全体としては依然として被害が発生しているため引き続き対策を進める必要がある。
▽管理の目標=第1次計画に引き続きD地区において、農林業を含めた地域との共生をめざす地区として位置付け、保護地区の「奈良のシカ」の保護上支障の恐れのない範囲で、農林業被害や森林生態系への影響及び生活環境被害等の軋轢を許容レベルまで軽減を図る。
▽目標を達成するための施策の基本的な考え方=①被害地における防鹿柵の設置や生息環境管理等の被害防除対策により軋轢を低減させることを基本とする②これらの防除対策を講じても被害が軽減しない場合において被害地周辺の加害個体或いはその可能性が高い個体の捕獲を実施する③被害状況や生息状況等のモニタリングを実施し、計画の見直しを図る順応的管理を行う。
▽被害防除=農業被害については被害状況に合わせた防鹿柵を設置するとともに、耕作地や集落にシカが出没し難い環境管理を促進する。
▽捕獲=①保護地区の天然記念物「奈良のシカ」の保護上支障となる恐れのない範囲で捕獲を実施②被害防除対策を講じている地域において被害が軽減しない場合にモニタリング結果等を踏まえて被害地周辺の加害個体或いはその可能性が高い個体の管理を目的とした捕獲を実施③指定管理鳥獣捕獲等事業を実施④捕獲に当たっては文化庁長官に文化財保護法に基づく現状変更許可申請など必要となる許可を得て実施する。
▽モニタリング=計画目標の達成状況の評価と実施計画の検討を行うためシカによる被害状況の把握とともに、シカの生息状況や捕獲個体についての情報についてモニタリング調査を実施する。
▽その他第二種特定鳥獣の管理のために必要な事項=モニタリング調査によって得られた各種情報は奈良のシカ保護管理計画検討委員会及び管理計画検討ワーキンググループなど関係機関等による会議を中心に情報を共有し、奈良のシカの保護に活用する。

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