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県中央卸売市場 市場と賑わい一体で 12月に再整備基本方針策定 整備手法でサウンディング

2021.11.26 県食と農の振興部

 奈良県は、中央卸売市場再整備について、これまでの市場エリアを先行する段階的整備から、市場エリアと賑わいエリアを一体的に整備する見直しを行い、12月に県議会に報告して基本方針を策定、市場事業者と基本協定を締結したうえで実施プランを改訂する。令和4年度から事業者の公募、基本・実施設計が行われる見通し。
 奈良県⾷と農の振興部中央卸売市場再整備推進室はさる18日、奈良県中央卸売市場運営協議会(会長・浦出俊和摂南大学准教授)を開催、「奈良県中央卸売市場再整備」の見直し、基本方針(案)について協議を行い、了承した。また、整備の進め方の再検討に伴って運営協議会の市場再整備事業審査部会の休止が報告された。担当係は企画管理課(電話番号0743―56―7002)。
 中央卸売市場の再整備では、市場本来の卸売機能となる「BtoB」と、県民や観光客など一般消費者を対象とした賑わいづくりを目的とした「BtoC」を整備することにしている。市場エリアのBtoB(約9㌶)を西側、賑わいエリアのBtoC(約6㌶)を東側に配置する。北側の買収予定地(約3㌶)は駐車場用地及びアクセス通路に充てる。これまでBtoBを令和7年度、BtoCを10年度に開業させる段階的整備を行うことにしていたが、両エリアに連携性を持たせるため、一体的整備に切り替えるもの。ただ、整備手法については一括整備か分割整備かをサウンディング調査等により今後検討していく。
 12月に県議会に基本方針(案)を報告、基本方針を策定し、市場事業者と再整備に関する基本協定を締結したうえで実施プランを改訂する。令和4年度政府予算編成等に関する提案・要望では、4年度をメドに整備事業者の公募と、基本・実施設計を行うことを予定している―とした。
今年3月にまとめた実施プランでは事業費約270億円(市場棟建設関連費約200億円、インフラ整備費約43億円、仮設費約7億円、解体費約20億円)としている。コンストラクションマネジメントは山下PMC(東京都中央区明石町8―1聖路加タワー29階。川原秀仁代表取締役社長)が担当。
施設規模は▽卸売場(青果4849平方㍍、水産2232平方㍍)▽仲卸売場(青果684平方㍍、水産2341平方㍍)▽買荷保管所積込所(青果3796平方㍍、水産2884平方㍍)▽加工場(青果・水産)5080平方㍍▽冷蔵庫5907平方㍍。
基本計画段階で北側にしていた市場エリア(BtoB)を西側に、南側にしていた賑わいエリア(BtoC)を東側に配置を変更したことにより、青果と水産の同時開業が可能となり、冷蔵庫棟の仮設が不要となった。また、国道25号に隣接するゾーニングとしたBtoCは民間事業者が参入しやすい環境となった。
12月に県議会に報告する基本方針(案)の概要は次の通り。
 ▽基本的な考え方=①市場機能の効率化・高機能化を図る市場エリア(BtoB)とともに、市場の機能や立地を活かした「食とともに文化・スポーツを楽しむ」華やかで賑わいのある複合拠点(BtoC)を一体的に整備する②市場エリア(BtoB)では老朽化した市場施設のコンパクト化や効率化を図り、食の安全・安心に必要となる施設を整備して食の流通拠点機能を充実する③賑わいエリア(BtoC)は奈良の「食」の情報発信拠点として県民や観光客に「食べる」「買う」「遊ぶ」「学ぶ」を一体的に提供できる施設を整備する④魅力ある「市場ブランド」の創出により市場で取り扱う生鮮食料品の付加価値を向上し、他市場との差別化や市場としての競争力を強化する。
 ▽卸売市場機能の高機能化・効率化(BtoB)=①食品流通における卸売市場の現状を踏まえた持続可能で食の流通拠点機能が充実した施設整備を図る②卸売市場施設のコンパクト化・物流動線整理による効率化を実現する③HACCPの考え方を取り入れた衛生管理の導入・コールドチェーン化を実施する④卸売市場の機能を活用した魅力ある農業水産物の直売・飲食サービス(子供向け食堂を含む)を提供する。
 ▽華やかで賑わいのある複合拠点の整備(BtoC)=卸売市場の特性と立地条件を最大限活用して「食とともに文化・スポーツを楽しむ」ことができる①フードホール、マルシェ②佐保川沿いの空間を利用する河川テラス③宿泊施設④イベント等を開催する多目的ホール⑤地域の人々が憩う広場⑥駐車場・メインゲート・花いっぱいで人が憩う大通り(フラワーロード)―を基本施設とする複合施設を整備し、市場エリア(BtoB)との連携により多様な世代が集い、新たな交流や仲間が生まれる施設づくりをめざす。
 ▽中央卸売市場を核としたまちづくり・周辺施設等との連携=①再整備された中央卸売市場を地域に開かれた市場として地域の個性や魅力を再構築するための核となる拠点と位置付ける②卸売市場の周辺に位置するまほろば健康パークと京奈和自転車道を利用した一体化を図るとともに、佐保川沿いの空間を活用した芸術等の活動を推進し、なら歴史芸術文化村等との芸術文化事業の連携を進める③近隣の民間の宿泊・飲食施設等との連携を進める。
 ▽施設整備の手法・手順=①中央卸売市場の再整備は官民連携手法の積極的活用を基本とし、市場エリア(BtoB)及び賑わいエリア(BtoC)を一括して整備する事業者募集を行う②市場再整備工事期間においても市場の営業が継続できる整備手法を選択するとともに、市場事業者負担の軽減に配慮する③既存冷蔵庫棟を市場エリア(BtoB)へ先行して移設するなど市場エリア(BtoB)と賑わいエリア(BtoC)を並行して整備する④整備手法の検討に際しては民間事業者へのサウンディング調査を実施し、その結果を検証したうえで整備手法等を決定する⑤整備手順については民間事業者の提案を受け、市場営業への影響や整備事業費等を比較衡量して判断する。
 ▽中央卸売市場の再整備の実施主体と再整備後の運営=①県は中央卸売市場の市場エリア(BtoB)及び賑わいエリア(BtoC)整備を一括して行い、整備に必要となる用地取得と建設工事等を行う②県は中央卸売市場の市場エリア(BtoB)の土地・建物その他の施設を保有し、市場事業者団体等に使用を許可する③県は中央卸売市場の賑わいエリア(BtoC)について整備種別や整備手法に応じて施設保有形態や運営手法を決定する。
 ▽市場事業者団体との協働=中央卸売市場再整備を円滑に推進するため県と市場事業者団体等の間で「中央卸売市場再整備に関する基本協定」を締結する。
(吹上)

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