一般記事

4年度に着工予定 「三代川」河川改修事業

2022.2.18 県郡山土木事務所

 奈良県郡山土木事務所は、三代川河川改修事業について難航していた用地買収が進捗したJR法隆寺駅南で、令和4年度に工事着手する見通し。南端部の30~40㍍で河川拡幅と河床掘削を予定している。また、3年対策から10年対策へ引き上げるための遊水地とバイパス水路についても近畿地方整備局との協議のなかで検討する。
 県郡山土木事務所は、用地買収が難航していた三代川河川改修事業に着工する見込みとなった。JR大和路線法隆寺駅南側の、事業区間南端部で河川拡幅と河床掘削を令和4年度の渇水期(11月~5月)に実施する予定。
 河川改修事業は下流から工事を展開する。事業区間のうちJR大和路線南は約200㍍。このうち用地を買収することができた南端部30~40㍍の発注を予定している。工事内容は護床ブロック、ブロック積護岸、ガードレール、水路工。工期として3ヵ月程度を想定している。
 三代川は、JR富雄川橋梁付近より東を富雄川、南を大和川に囲まれた低地を西流し、JR線を貫流後に田園地帯を流下する一級河川で、国道25号~大和川合流点の4㌔㍍(流域面積8平方㌔㍍)が奈良県の管理区間となっている。
 当該流域は、平成7年7月・11年8月・29年9月の豪雨等により水害に見舞われている。法隆寺を始めとする文化財や斑鳩町役場とJR法隆寺駅など重要な公共施設が多く点在しており、従来は農業用水路的な利用が行われていた河川だが、流域内を国道25号とJR線が貫き、大阪都市部への通勤等の利便性が高く良好な住環境のもと近年の市街化が著しい。事業は、流域の水害に対する安全・安心の確保を図るため河床の掘削等による河川改修を推進する。
 三代川の河川改修事業は、治水安全度1/3(約37㍉/h相当規模) 確率で洪水を安全に流下させるとともに、河川の自然環境の復元や周辺の歴史環境と調和した河川景観の創出等を目的にしている。斑鳩町興留で河床掘削と川幅拡幅(東側に拡幅)約1100㍍(JR関西本線との交差部下流約200㍍から斑鳩町阿波地内)を行うもの。
昭和46年から事業着手したが、JR法隆寺駅前で河川沿いに住宅と商店が密集しているために生活再建を含む用地交渉が難航している箇所がある。上流部の県道天理斑鳩線沿いについては道路整備と併せて用地買収済。整備はほとんど進捗していないのが現状。
事業区間はJR線との交差点部下流約200㍍から阿波地内までの区間約1100㍍。JR線との交差点部はJR西日本に工事委託することになる。全体事業費29億1000万円、平成29年度までに6億4000万円を投資しており、事業費ベースの進捗率は22%で、残事業費22億7000万円。
また、近畿地方整備局と3年に1回の確率を10年に1回へ引き上げるよう協議していることから、今後はこれまで検討してきた放水路(バイパス水路)に加え、貯める対策として遊水地も検討を進めたい考え。
放水路については、南へ延伸させて富雄川へ放水するルートを24年度に建設技術研究所奈良事務所で、22年度に中央復建コンサルタンツ奈良営業所に委託して行った放水路予備設計(JR軌道部影響検討を含む)を検証する水理模型実験を行っている。28年度にはアスコ大東で、富雄川の安堵井堰の改築が進捗したことから、県道天理斑鳩線で折れて東進するルートを新たに検討した。南下ルートは農道を利用して函渠W2㍍H1・7㍍の一般部とJR線を越えるサイフォンφ2㍍を建設する。新設延長は約450㍍。東進ルートは天理斑鳩線を横断し、南側歩道部分に用地買収分をプラスして函渠W2~3㍍を延長約200㍍。(吹上)

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