一般記事

宇陀市 過去最大の「積極型予算」 金剛市長は行財政改革の推進と自主財源確保へ

2022.4.13 宇陀市

宇陀市の令和4年度当初予算は、原案可決(付帯決議付)した。192億円(6・9㌫増)で、前年度から10億4000万円増加した。
当初予算は、金剛一智市長就任後2回目の予算編成となり、『オール宇陀で、未来に向かって着実に動き出す予算』と銘打ち、高原都市宇陀を成長させる施策や持続可能なまちづくりを支える施策を優先した予算を計上したと、している。
宇陀市は、平成18年1月1日、宇陀郡の旧大宇陀町・旧菟田野町・旧榛原町・旧室生村の4ケ町村の合併により誕生してから16年。財政状況は、合併当初から危機的な状況にあった。一般財源のうち人件費や公債費などの必要経費が占める割合を示す経常収支比率は107・0㌫で、全国1827団体中ワースト8位。合併当初から「第2、第3の北海道夕張市になるのでは」と不安視された。
合併による特例措置(合併算定替)も見直しされ、令和2年度から算定適用外となった為、今後は厳しい財政運営を強いられる。
同市では、国が12月に成立させた補正予算と令和4年度当初予算との「16か月予算」を財政的な裏付けをもとに、一体的に編成し、コロナ感染症対策と社会経済活動の再開、地域づくりなどを切れ目なく進めていく方針だ。
市長は「財政規律に配慮しながらも、積極型予算にした」と説明するが、東洋経済「都市データパック2021」によると、宇陀市の財政健全度は、全国792市のなかで、792位(最下位)だった。北海道夕張市(2007年、353億円の赤字を抱えて財政破綻、現在も再生計画中)は、781位で、宇陀市よりも財政が改善している。
当初予算のうち、新型コロナ感染症対策事業費(国費)を除くと過去最高の188億で、前年度から10億円増加した。
建設事業関係の予算を見てみると、学校給食センター(旧野依小)建設事業3億3,583万3,000円、宇陀クリーンセンター設備更新事業 2億7,058万3,000円、大和信用金庫旧榛原支店跡地サテライトオフィス設立事業1億6,903万6,000円、ジビエ利活用施設(造成)1億4,960万円、宇陀市人権交流センター周辺整備事業1億3,926万2,000円、宇賀志集会所・消防機庫建設(旧宇賀志小)防災拠点施設整備事業1億1,088万2,000円、榛原駅前交流施設整備事業4,102万1,000円など、総額約12億円超。「費用対効果」だけでは計りきれない緊急を要する事業もあるが、そうでないものもある。
少子高齢化で人口が毎年減少する同市にとって、歳入と歳出の収支、財政力、財政基盤、そして財政上の負担を将来世代に先送りすることは許されない。
「財政悪化型予算」と揶揄する市民もいる中で、金剛市長には更なる行財政改革の推進と安定的な自主財源の確保が求められる。
(橋本)

会員登録
一覧に戻る