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吉野町 空き家活用と駐車場整備案 新庁舎整備検討審議会

2024.3.28 吉野町

 吉野町は2月27日に行われた「第4回吉野町行政サービスの変革・新庁舎整備検討審議会」の内容を公表した。金野幸雄委員の講演による「吉野町という身体」について協議された。
 吉野町の役場本庁舎は、昭和34年に竣工され、平成22年度の耐震診断の結果では強度不足が指摘されている。国土計画家・コンセプターの金野委員は、吉野町を一つの身体に例え、吉野北小学校を「脳」、上市を「心臓」と捉えたアイデアを提案した。移転先の北小学校がある龍門エリアでは里づくり、現庁舎がある上市では新しいまちづくりを行う構想。現庁舎は解体して更地にし、周りの空き家を活用しながら新たに土地の使途を考える。
 金野委員の考えでは、財政面を考慮して官民連携を推進し、主に空き家活用の事業は民間企業、駐車場整備は地方公共団体が担当する。上市では国道沿いに駐車場を増やし、細街路を通って町中に人が入っていく計画を紹介。北小学校のある龍門地区は駐車場整備と共に、市街化調整区域のため空き家を活用することが検討された。「森の国」をテーマに、空き家を活用したカフェやレストラン、ホテル、工房、ギャラリー、食料品店、住宅、事務所等を展開して人を集め、地域を活性化させる方向性を示した。
古民家に町長室をつくり、庁舎を分散させる案も挙げられた。これについては固定費や維持費などコスト面の問題と、災害時における自治体の連携体制について問題があると意見が出た。金野委員は、北小学校を再活用する場合は、既にあるものを使うためコストは相当抑えられるが、ランニングコストについては追加検討が必要であるとコメントした。
 企業誘致で雇用を増やすことについては、小学校周りを都市計画法により開発可能エリアにできるが、省力化等の理由で雇用自体がそれほど期待されない。また、皆地良祐副委員長は、今ある家を改造し産業を興す場合は手続きが複雑であることを指摘。他にも土地価格の問題、奈良県が保守的であることや、地区によっては近畿地方整備局が担当で規模が大きくなることなどから、市街化調整区域の線引きを外して開発できる可能性は限りなく低いと述べた。
 第6回は4月25日(木)午後2時を予定。総合的判断のもと庁舎の設置場所を協議する。同審議会は全6回を予定されていたが、5、6月に及ぶ第8回までの開催が検討されている。

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