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現橋南側に新設橋梁 国道169号「前鬼橋」架替 予備設計で諸元決定へ

2023.9.19 県吉野土木事務所

 奈良県吉野土木事務所は、一般国道169号「前鬼橋」の架替を計画しており、令和6年度上半期にかけて設計図書及び既存の関連資料を基に上下部及び基礎工について比較検討を行い、最適橋梁形式とその基本的な橋梁諸元を決定するための予備設計業務を行う。
前鬼橋は、電源開発の水力発電所である池原ダム貯水池に架かる橋。現在の橋梁の南側に並行する形で橋梁を新設し、その後既存橋梁を撤去予定。順調に進めば6年度には詳細設計を実施して7年度以降の工事着手に備えることになる見通し。
一般競争入札「一般国道169号前鬼橋橋梁予備設計業務委託(道路メンテナンス事業(国道橋りょう更新・撤去))第3―A―6R―委1号」を10月11日に開札して業務を委託する。業務場所は下北山村前鬼。業務概要は橋梁予備設計1橋。委託期間6年9月30日。予定価格3104万2000円込、調査基準価格2492万6000円込。
現在の橋梁は、中央部の単純鋼ランガー橋の前後を2径間単純鋼合成I桁橋で構成するスパンの長い全長230㍍幅員7・2㍍(2車線)で、全体で5径間。昭和38年に竣工し、架設後約60年が経過。構造上重要な垂直材と補合桁の接続部における亀裂が多数発生するなど老朽化が顕著。
補修工事には大規模な仮桟橋や大規模な締切工が必要なうえ、継続的に補修を行わなければならず、多額の費用を投じて補修を続けても、いずれ架替は避けられないことから、早期に架け替えることにしたもの。
令和3年度~4年度に「一般国道169号前鬼橋橋梁予備設計業務委託(道路メンテナンス事業(国道橋りょう補修・計画))第3―A―6計―委2―1号」を復建技術コンサルタントでまとめている。この段階では現在の橋梁の南側で斜めに架ける予定だったこともあり、今回の業務で見直す。業務内容は次の通り。
【現地踏査】
架橋地点の現地踏査を行い、設計図書に基づいた設計範囲及び貸与資料と現地との整合性を目視により確認する。また、地形及び地質等の自然状況・沿道及び交差・用地条件等の周辺状況を把握し、併せて工事用道路及び施工ヤード等の施工性の判断に必要な基礎的な現地状況を把握する。
【設計条件の確認】
設計図書に示された道路の幾何構造及び荷重条件等設計施工上の基本条件を確認し、当該設計用に整理する。
【橋梁形式比較案の選定】
橋長及び支間割の検討を行い、架橋地点の橋梁として相応しい橋梁形式数案について構造特性及び施工性・経済性・維持管理・環境との整合等総合的な観点から技術的特徴及び課題を整理し、評価を加えて調査職員と協議のうえ設計する比較案3案を選定する。
【基本事項の検討】
設計を実施する橋梁形式比較案に対して①構造特性(安定性及び耐震性、走行性)②施工性(施工の安全性及び難易性、確実性、工事用道路、作業ヤード)③経済性④維持管理(耐久性及び管理の難易性)⑤環境との整合(修景及び騒音、振動、近接施工)―の事項を標準として技術的検討を加える。なお、設計条件を踏まえて実現性の高い内容となるよう検討を行う。
【設計計算】
上部工については主要点(主桁最大モーメントまたは軸力の生じる箇所)の概算応力計算及び概略断面検討を行い、支間割及び主桁配置・桁高・主構等の決定を行う。下部工及び基礎工については震度法により躯体及び基礎工の形式規模を想定し、概算の応力計算及び安定計算を行う。
【設計図】
橋梁形式比較案のそれぞれに対して一般図(平面図及び側面図、上下部工、基礎工主要断面図)を作成し、鉄道及び道路・河川との関連、建築限界及び河川改修断面図等のほか土質柱状図を記入する。なお、構造物の基本寸法の表示は橋長及び支間・幅員・桁高・桁間隔・下部工及び基礎工の主要寸法のみとする。また、既設構造物及び計画等との位置関係が分かる寸法を記入する。
【景観検討】
設計図書や地域特性を把握したうえで景観に配慮した橋梁の形状及び材質・色彩等の景観検討を行う。検討に際しては立視の写真(3視点程度)を撮影し、A3サイズの立体構造物のフォトモンタージュ図を視点ごとに3案程度作成する。また、検討結果をまとめ県土木建築円滑化委員会用の資料を作成する。
【関係機関との協議資料作成】
設計図書に基づき関係機関との協議用資料及び説明用資料を作成する。
【概算工事費】
橋梁形式比較案のそれぞれに対して調査職員と協議した単価及び一般図等に基づいて算出した概算数量により概算工事費を算定する。
【橋梁形式比較一覧表の作成】
橋梁形式比較案に関する検討結果をまとめ、一般図(側面図及び上下部工、基礎工断面図)を記入するほか技術的特徴及び課題を列記して各橋梁形式比較案の評価を行った最適橋梁形式案を明示する橋梁形式比較一覧表を作成するものとする。
以上の業務の後に照査し、業務成果として設計業務成果概要書及び設計計算書等・設計図面・数量計算書・概算工事費・施工計画書・現地踏査結果等の報告書を作成する。なお、①設計条件②橋梁形式比較検討案ごとに当該構造物の規模及び形式の選定理由③道路及び鉄道、河川の交差条件、コントロールポイント④主要部材の概略数量⑤概算工事費⑥主桁主要断面寸法、下部工躯体及び基礎寸法、杭本数等概略計算の主要結果⑦橋梁形式比較一覧表⑧詳細設計に向けての必要な調査及び検討事項―について解説し、取りまとめて記載した設計概要書を作成する。(吹上)

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