一般記事

国と県 3社で現地調査 下北山村上池原崩土の対策検討

2024.5.14 国交省県土マネジメント部

 奈良県県土マネジメント部道路マネジメント課は4月22日、第2回国道169号下北山村上池原地区防災対策検討委員会を開催した。
 当該箇所では昨年12月に崩土が発生し、1名死亡、1名が重傷を負った。高度な技術を要することから、本格復旧については国の権限代行による災害復旧事業として実施されている。同委員会では、本格復旧案を検討するにあたり必要な調査の内容と、今後のスケジュール、仮橋設置の進捗状況について話し合われた。
 本格復旧案の検討に際して行われる調査のうち、ボーリング調査(ボアホールカメラ)は大日本ダイヤコンサルタント、大同ソイルが担当。弾性波探査、空中電磁探査、現地踏査は日本工営が担当する。
 仮橋の設置は完了し、4月30日より緊急車両のみ通行可能となった。仮橋は約160㍍、幅4・0㍍で作られており、法面には応急対策として厚さ8㌢のモルタル吹付、高エネルギー吸収型防護柵工43㍍、鉄筋挿入工(D19L5・0㍍)290本の実施が完了している。
 調査によると、同所の法面は昭和30年代に行った工事の際、岩盤分類に応じた施工を実施していなかったため、非常に急勾配になっている。同所を含む下北山村前鬼~上池原間では流れ盤構造の岩塊が確認された。
 昨年度に30㍍程度の垂直ボーリングを4本実施したところ、比較的浅い箇所から最深の30㍍附近までの間に、規則的な開口亀裂や、不安定な岩盤層、地下水などが複数確認され、深層崩壊危険流域の蓋然性が高まった。今後、大雨や地震などにより甚大な被害が引き起こされる可能性が極めて高い。
 本格復旧にあたり、過去の航空写真の測量データと比較して地形の変化状況等を確認する地形解析調査や、衛星から地上との距離データを解析して地形の変化量を確認する干渉SAR時系列解析などを実施。この結果から危険度の高い地形を把握し、詳細調査の範囲を絞り、現地調査に反映する。
 現地調査では、50㍍程度のボーリング調査や、地質の成層状況や地盤の強度を把握する弾性波探査、3次元解析により風化度合や地下水分布状況を把握する空中電磁探査などが行われる。
 次回は、国から調査結果の報告があり、本格復旧案の検討にむけた配慮事項について話し合われる。

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