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県文化財保存事務所 建築研究協会に委託 重要文化財圓成寺本堂耐震診断

2021.12.2 県文化・教育・くらし創造部

 奈良県文化・教育・くらし創造部文化財保存事務所は、重要文化財圓成寺本堂の耐震診断を令和3年度に実施するため、一般競争入札「重要文化財圓成寺本堂耐震診断業務3文保委第8号」を落札した建築研究協会(京都市左京区田中関田町)に業務を委託した。
業務場所は奈良市忍辱山町1273番地の圓成寺境内。本堂は桁行14・585㍍梁間16・41㍍で、一重の入母屋造・銅板葺の建造物。業務概要は重要文化財圓成寺本堂の耐震診断等。委託期間4年3月25日。担当は事業係(電話0742―27―9865)。業務内容は次の通り。
【地質調査業務】
本堂南東の1ヵ所でボーリング調査と標準貫入試験を行う。ボーリング調査の掘削深さは概ね10㍍を予定とするが、ボーリング調査の進捗に伴って支持地盤検出が所定の掘削深度で得られない場合等には掘削深さを調整する場合がある。
調査項目は①地層の状態②柱状図と土層断面図の作成③地下水位の高さ④標準貫入試験(N値の測定)⑤室内土質検査(土の物理的性質)。
成果物は地質調査報告書・横断図と地質調査地点・横断図測量位置を含めた現地測量図をデータ(CD―R)及び印刷物として3部提出する。
【耐震診断業務】
基礎診断業務に当たっては修理前の状態での保有耐震性能を確認する(1次診断)。1次診断の結果に基づき係員が耐震性能の基本的な向上措置の検討を行う。この提案を基に構造補強材を挿入した状態での地震応答変位を算定し、保有耐震性能の向上を確認して所定の必要耐震性能を有するか評価する(2次診断)。
当該業務において入力地震動・保有耐震性能の評価・必要耐震性能の設定等は「重要文化財(建造物)基礎診断実施要領」に従って算定・設定することとし、保有耐震性能の評価については「等価線形化法」(「要領」第3章第3節)の方法によって実施する。「等価線形化法」は桁行・梁行各方向における各耐震要素の効果を加えた荷重変形関係から得られる「損傷なし」「機能維持」「非倒壊」のそれぞれの限界変形が、大地震時と中地震時のそれぞれの各方向の応答変位とどのような大小関係になるかにより保有耐震性能を評価する。
構造補強材は、原則として小屋組及び床下に挿入するものとする。補強材の挿入位置・意匠・素材等については文化財的価値を損ねないよう係員と充分に協議したうえで決定する。

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