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リニア推進・地域交通対策課 日本工営に業務委託 県公共交通基本計画と網形成計画 3年度に次期計画策定

2021.8.19 県土マネジメント部

 奈良県県土マネジメント部リニア推進・地域交通対策課は、 公募型プロポーザル「奈良県公共交通基本計画等調査検討業務委託(公共交通基本計画推進事業)第1―委1号」で、2者から提出された参加表明書及び技術提案書を評価基準に基づき審査し、日本工営奈良事務所を100点満点中63・21点で最高得点者に特定、2528万9000円込(業務量の目安は2530万円込が限度)で契約を締結して業務を委託した。
 業務は県全域を対象に①奈良県公共交通基本計画の改定案の検討②奈良県地域公共交通計画の策定案の検討③奈良県地域交通改善協議会等の運営支援―を行う。委託期間4年3月25日。担当は公共交通計画係(電話0742―27―8939)。
県は、平成25年2月に知事を会長とする新たな体制での「奈良県地域交通改善協議会」を設立し、路線バスだけでなくコミュニティバス等も含め、移動ニーズに応じた交通サービスのあり方について検討を進めてきた。28年3月には公共交通に関する施策を総合的かつ計画的に推進することを目的に「奈良県公共交通基本計画」及び地域全体を見渡した総合的な公共交通ネットワークの形成を図ることを目的に「奈良県地域公共交通網形成計画」を策定した。その後基本計画及び網形成計画に基づき各種施策に取り組んでおり、令和2年度で計画策定から5年が経過する。
今回の業務は、 基本計画の改定及び網形成計画の次期計画となる「奈良県地域公共交通計画」の策定に向けて調査・検討を行うもの。なお、現基本計画の基本的な方針を現網形成計画の基本方針としていることに留意し、両計画の改定・策定の検討を行う。
調査・検討については、現基本計画の取組みに関する効果検証等に加え、 現網形成計画における路線の必要性と補助妥当性を客観的に診断する「バスカルテ」、まちづくりや観光等に係る施策との連携を踏まえた 「公共交通とまちづくりのデッサン」について、新たな指標や構成要素等を検討し、両計画案のとりまとめ等を行う。
近年、人口減少や少子高齢化の影響により利用者が減少し、路線バスを取り巻く環境は厳しいものとなってきている。さらに、交通事業者が経営効率の向上を図るため減便等が行われる可能性があり、サービス低下によるさらなる利用者の減少やそれによる公共交通の維持確保が懸念されている。 現在のところ、平成24年10月に奈良交通から路線維持が困難となり協議の申入れがあった中南部地域25路線に加え北西部地域8路線を協議対象路線としている。
今年度は、県下の複数市町村を経由する全路線56路線(前記の33路線を含む)を対象に行った潜在需要や顕在需要の把握・分析結果を基に、路線の適正評価を行い、今後の公共交通分野の施策展開を思考するための新たな協議対象路線を抽出する 。また、有識者等の意見を聴くために県が設置する「奈良県公共交通基本計画策定委員会」や、地域公共交通計画策定の際に合意が必要となる協議会等の検討結果についても留意することとする。
打合せ協議は、業務着手時・中間7回・成果品納入時の計9回。成果品の提出
成果品は報告書A4簡易ファイル製本1部と電子媒体(元ファイルとPDF形式)CD―R2枚、「基本計画」の計画書A4版白黒400部と概要版のパンフレットA4版カラー400部の製本・印刷及びその原稿の電子データ、「地域公共交通計画」の計画書A4版白黒400部と概要版のパンフレットA4版カラー400部の製本・印刷及びその原稿の電子データ。業務内容は次の通り。
【基本計画の改定案の検討】
▽現基本計画の取組みに関する効果検証=基本計画の改定に向けて現計画で実施した取組み施策や指標・目標値の効果検証並びに公共交通の現状と近年の動向を踏まえた課題を抽出するとともに、新たな指標・目標値について検討する 。なお、過年度業務において収集・更新された成果を踏まえてさらにデータ追加・情報を更新するとともに、とりまとめた成果品は「令和3年度奈良県公共交通基本計画に基づく施策の実施状況報告書」の「公共交通の動向」に活用し、県議会(4年6月定例会)において報告する予定。
▽総合的かつ計画的に講ずべき施策の検討=前項の検討結果や県政発展の目標と道筋である「奈良新『都』づくり戦略2021」の取組み、2年度で策定された県の他計画等を踏まえ、盛り込むべき総合的かつ計画的に講ずべき施策について検討する。
▽新たな交通サービスの検討(MaaS導入に向けた調査・検討)=過年度業務に検討された成果を踏まえ、導入候補地域におけるMaaS導入の課題について、導入候補地域の地域特性や公共交通の状況等を考慮するとともに、情報共通基盤の整備・活用データの取扱い・採算性などMaaS導入時の課題解決に向けた調査・検討を行う 。また、国等の実証実験等に対する支援制度等についても調査するとともに、支援の可能性について検討する。なお、鉄道・路線バス・コミュニティバスとの役割分担による運行の最適化を図るため、バス路線の再編も考慮する 。
▽基本計画改定案 のとりまとめ=前項までと次項の地域公共交通計画の策定案の検討について、有識者等への説明資料を作成し、過年度業務の検討資料や開催した委員会等の検討結果を踏まえ、基本計画改定案としてとりまとめ、有識者等への説明資料の作成、パブリックコメントの資料作成と意見の集約・整理、基本計画改訂版の冊子と概要版の作成を実施する。委員会は6月・10月・4年1月の開催を予定している。
【地域公共交通計画の策定案の検討】
▽バスカルテの改定及び新たな「バスカルテ2.0」の検討=①バスカルテの改定(移動ニーズに応じた交通サービスの実現に向け、路線の必要性・補助妥当性を5つの指標に基づき客観的に診断するため、路線概況や診断結果をまとめた「バスカルテ」路線グループ単位全18グループにおいて客観的5指標や構成要素〈現計画では運行内容・診断指標を用いた評価・利用状況・改善策に向けた方策を掲載〉を検討する。検討した客観的指標に基づく運行状況を改定し、改善策を提案する)②新たな「バスカルテ2.0」の検討(新たな協議対象路線を抽出して作成する。対象となる路線の沿線状況 等を把握するため沿線市町村と交通事業者へのヒアリング、沿線住民等へのアンケート調査等を実施するとともに、潜在需要を顕在化するための改善策や施策の実効性を評価するための新たな指標や構成要素を検討する。また、新たに協議対象とするバスの運行状況の評価、改善策の検討を行うためのデータ整理・分析を行い、改善策を提案する。検討するグループ数は5グループ程度とし、1グループにつき2~3路線の路線バス等が含まれるものとする)。
▽新たな「公共交通とまちづくりのデッサン 2.0」の検討=複数の市町村を跨ぐ路線バスと市町村連携コミュニティバスを中心に、まちづくりや観光等に係る施策との連携を踏まえ、公共交通とまちづくりのあり方について、対象区域や取組みの実施主体を明らかにした「公共交通とまちづくりのデッサン」に加え、 新たな協議対象路線において 「公共交通とまちづくりデッサン 2.0」の構成要素等を検討して作成する。施策の実効性を評価するための新たな評価指標を検討する。新たな評価指標による評価のうえ、 改善策の検討を行うためのデータ整理・分析を行い、 改善策を提案する。
▽地域公共交通計画策定案のとりまとめ=以上の検討や過年度業務の検討資料及び協議会等の検討結果を踏まえ地域公共交通計画案としてとりまとめ、パブリックコメントの資料作成と意見の集約・整理、地域公共交通計画策定版の冊子と概要版の作成を実施する。
【協議会等の運営支援】
協議会等について会議への出席・議事録の作成・その他会議の運営に必要な支援 (設営協力など)を行う。
▽協議会=10月と4年2月の2回開催予定。県内39市町村と交通事業者・関係団体等の約60団体で構成、出席者約100名。
▽地域別部会=幹事会に設置した地域別部会(北西部・中部・東部・南部)を6月に1回開催予定。出席者各約30名。
▽路線別検討会議=路線グループ単位(全18グループ)で行う。1日当たり複数グループの開催を予定しており、実開催日数は9日を想定。出席者各約15名。7月~8月に18グループすべてで開催(6日間を想定)。4年1月~3月に改善を要するグループのみ開催 (全10グループで3日間を想定)。
【報告書の作成】
業務を実施した業務内容について報告書をとりまとめる。

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