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県と8市町 4流域で包括協定 大和川流域総合治水対策

2021.11.9 県土マネジメント部

 奈良県県土マネジメント部河川整備課は11月2日、葛下川・高田川・葛城川・不毛田川の4流域において「総合治水の推進に関する包括協定」を初めて締結した。これは「大和川流域における総合治水の推進に関する条例」に基づき、大和川流域の支川ごとに上流及び下流の市町村と県が包括協定を締結することにより流域が一体となった総合治水の推進体制の強化を図ることとしているもの。
 締結式には荒井正吾県知事と、堀内大造大和高田市長、東川裕御所市長、福岡憲宏香芝市長、阿古和彦葛城市長、今中富夫上牧町長、平井康之王寺町長、山村吉由広陵町長、清原和人河合町長が出席。荒井は「各河川の上流及び下流の市町村が一体となって総合治水を推進するための体制を構築する」と話し、8市町長が挨拶した後、協定書を手に記念撮影を行った。
 葛下川流域では王寺町・上牧町・香芝市・大和高田市・葛城市、高田川流域では広陵町・大和高田市・葛城市、葛城川流域では広陵町・大和高田市・葛城市・御所市、不毛田川流域では河合町・広陵町が条例第22条による包括協定を締結した。今後は市町村ごとに浸水被害を軽減する対象地区・対策方針等を示した基本協定を県と結び、市町村単位で具体的な対策の内容や施設規模等を盛り込んだ条例第23条による実施計画を策定し、実施主体となる市町村に対して県から財政支援(現状の約8%から約12%に引上げ)と技術支援を行う。
 大和川流域では、正和57年の大和川大水害を契機に国・県・流域市町村が連携し、河川改修やダム及び遊水地等による「ながす対策」とため池やグラウンド等を利用して雨水を一時的に貯留する「ためる対策」から成る総合治水対策に取り組んでいる。
 市町村における「ためる対策」は計画目標量約107万立方㍍に対し、約71万立方㍍(66%)の達成で、市町村の取組みにもバラつきがある。そのため総合治水対策のさらなる取組みの強化に向けて「大和川流域における総合治水の推進に関する条例」を制定して平成30年4月から施行している。各流域における「ためる対策」の取組み例は次の通り。
 ▽葛下川流域=上牧町のアスガ谷池において余水吐の切下げ(40㌢㍍)により概ね1450立方㍍の治水容量を確保する予定。王寺町葛下3丁目で貯留施設を整備している。葛城市・香芝市・上牧町でため池治水利用を進めている。
 ▽高田川流域=葛城市の柿ノ本池において余水吐の改良により概ね1万800立方㍍の治水容量を確保する予定。高田土木事務所駐車場地下及び広陵町三吉の馬見川沿いの農地に貯留施設を整備している。葛城市でため池治水利用を進めている。
 ▽葛城川流域=御所市の新堀池において現況の利水容量の一部を転用することにより概ね3080立方㍍の治水容量を確保する予定。広陵町古寺~中の農地に貯留施設を整備している。御所市でため池治水利用を進めている。
 ▽不毛田川流域=広陵町の清福寺池において池底の掘り下げと堤防強化により概ね1300立方㍍の治水容量を確保する予定。河合町で貯留施設が計画中。広陵町でため池治水利用を進めている。

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