一般記事

中部農林 葛城山麓地区ため池整備事業

2023.7.13 県中部農林振興事務所

老朽化した堤防を改修
内池(南藤井)・神山池(笛吹)の2ヵ所を整備

 奈良県中部農林振興事務所は「葛城山麓地区ため池整備事業」を進めている。
 農業用ため池の多くは江戸時代以前に築造されたと言われおり、古い土堤のまま使用されているものも存在している。また、コンクリート堤防などに改修されたものでも、高度成長期以前に整備され、経年劣化や洗掘が進んでいるものも少なくない。そのため、堤防の強度不足が懸念されるものも多く、近年の集中豪雨や東日本大震災といった大規模地震等の自然災害により、ため池が決壊する事象が生じており、老朽化の進むため池の早急な改修が求められている。また、県内においては、大和川総合治水対策の一環として、ため池の貯留機能を活用した治水利用の取り組みも行われており、保水能力の維持・向上といった側面からも、ため池整備の重要性は増している。
 「葛城山麓地区ため池整備事業」は、葛城市の葛城山麓地域内(葛城市南部の旧新庄町のうち、県道30号線西側の7大字)の農業用ため池の老朽化による災害防止を目的に、ため池改修を実施するもので、調査により緊急性の高い仁王門池、大屋下池、上新池、下池、内池、神山池の6ヵ所のため池を選定し、整備を進めており、現時点で、仁王門池、大屋下池、上新池、下池の4ヵ所が完了。昨年度、残る内池、神山池にも着手している。
 同市南藤井に位置する「内池」は、堤防内法の改修を予定しており、昨年度、「内池改修(その1)」(堤体工38.5㍍、盛土工987立方㍍、洪水吐工1ヵ所、取水施設工1ヵ所)を実施。今年度は、引き続き、残された箇所の整備を予定しており、今月11日に「内池改修(その2)工事」(堤体工61.5㍍、堤体盛土工3000立方㍍。工期6年5月17日。※詳細は⑤面公告・公示情報参照)を公告、24日を提出期限として入札参加申込書を受け付けている。
 神山池は、同市笛吹、葛木坐火雷神社(笛吹神社)の境内西側に位置し、昨年度、「神山池進入路整備工事」(仮設道路工157㍍)を行い、工事車両などの進入用に仮設道を整備した。今年度は堤体の整備(堤体工50㍍、堤体盛土工2000立方㍍)の発注を第2四半期中に予定しており、工期は約8ヵ月を見込んでいる。
 同事業は6年度の完成を見込んでおり、事業の完成により、近隣の家屋等(180棟程度)の浸水被害のリスクが軽減し、地域住民の暮らしの安全が確保されるだけでなく、満水面まで安心して貯留することができ、農業用水の安定供給が可能となる。

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