一般記事

建設技術研究所で 近鉄奈良駅周辺駅前広場検討 基本計画等を検討

2021.9.7 県奈良土木事務所

 奈良県は、近鉄奈良駅周辺で駅前広場の基本計画等を令和3年度に検討するため、業務を建設技術研究所に委託した。この業務は、車線減少や歩道拡幅を含めた道路幅員構成の見直しによる道路空間の再構築や一体的デザインによる景観性向上をめざすもの。
奈良県奈良土木事務所は、令和3年度に近鉄奈良駅周辺において道路空間の再構築による歩行者の利便性と一体的なデザインによる景観性の向上をめざして駅前広場基本計画等を検討することにしている。
一般競争入札「近鉄奈良駅周辺環境整備設計業務委託(近鉄奈良駅周辺の環境整備事業(都づくり)他)繰3―A01―081―委―2他号」により、建設技術研究所奈良事務所に業務を委託した。業務場所は奈良市高天町他。業務概要は駅前広場基本計画1式。委託期間4年2月28日。
 近鉄奈良駅周辺においては、多くの人々が集う空間に相応しい環境を創出するため、交通結節点としての移動環境を高めるとともに、駅の利用者が円滑に目的地に到着できるよう、交通情報・観光案内・店舗案内に係る情報をわかりやすく提供する必要がある。
 2年度には、近鉄奈良駅周辺歩道空間の環境向上に向け、道路利用状況等の調査・解析を行い、調査結果を踏まえて道路幅員構成について建設技術研究所に委託して検討を行った。また、地域関係者や土地所有者及び交通事業者等との勉強会を開催し、まちづくりに対する考え方やアイデア等を聞いた。
 今回の業務では過年度の勉強会を引き続いて開催するとともに、道路幅員構成の見直し(車線減・歩道拡幅9等を含めたによる道路空間の再構築による歩行者の利便性向上と一体的なデザインによる景観性の向上をめざして駅前広場基本計画等の検討を行う。
打合せ協議は事業着手時・中間5回・成果品納入時の7回。業務内容は次の通り。
【計画準備】
業務目的を反映した作業方針を立案のうえ業務計画書を作成し、業務の計画準備を行う。
 【駅前広場基本計画】
 近鉄奈良駅南側の西口駅前広場(約0・7㌶以下)を対象として基本計画検討を行う。
▽現状と計画の整理=既存調査資料から対象駅前広場周辺地区の土地利用状況や交通状況を把握し、上位計画・関連計画を整理するとともに、当該駅前広場の問題点や計画課題を整理する。
▽規模の算定=過年度調査結果及び駅の乗降客数等を踏まえて駅前広場の必要施設数・面積を見直す。
▽構想立案=駅前広場の整備と周辺交通のあり方を検討し、駅前広場区域及び取付道路の決定を行う。
▽基本計画の検討=周辺街路と広場の交通計画や広場内に設置を予定した施設等について駅前広場の配置計画案を複数作成し、動線・施設配置・景観等を踏まえた概略的な比較検討を行い、課題の抽出・整理を行う。特に周辺街路と広場のデザインの方向性を定めるに当たって勉強会の意見を集約する。
▽計画図の作成=計画検討及び交通管理者協議等に基づいて基本計画図(1/500程度)を作成する。
▽概算工事費の算出=概算工事費の算出を行う。
【道路予備設計】
国道369号(高天交差点付近~東向交差点付近)を対象として、基本計画図に基づいて平面線形及び縦横断線形の比較案を検討し、道路予備設計(A)L400㍍及び高天交差点予備設計を行う。
 【関係機関協議資料作成】
 調査・検討結果により作成した歩道空間再構築の問題点や課題等を踏まえ、許認可期間や民間事業者等との協議資料を作成するとともに協議に同席し、協議結果を議事録としてとりまとめる。協議対象は3機関(奈良市、奈良県警、近畿日本鉄道)を想定。
 【勉強会運営補助】
 地域関係者や土地所有者及び交通事業者等が一堂に会し、近鉄奈良駅周辺景観づくりや交通結節点としての駅前機能等について、有識者を招いたワークショップ形式(約5グループ)の勉強会(3回を想定)の運営補助を行う。
平成30年度に県は、パシフィックコンサルタンツ奈良事務所に委託して「近鉄奈良駅周辺地区整備構想策定業務委託(市町村とのまちづくり応援事業)第041―委―1号」を実施している。
そのなかで駅端末交通の動線及び歩行者動線等の現況並びに近鉄奈良駅がターミナルとして抱える課題を基に、ターミナル機能及び景観の向上を目的とした、交通空間再整備のレイアウト図数案が作成されている。
近鉄奈良駅周辺については、平成27年1月に県と奈良市が締結した「まちづくりに関する包括協定」における対象地区のひとつである、奈良公園周辺地区内に位置している。奈良公園周辺地区の課題のうち、近鉄奈良駅ターミナル機能の向上として「移動に」関する状況を次のようにまとめている。
▽近鉄奈良駅は「奈良公園」の最寄りターミナル駅であり、年間の乗車人数は1000万人超と県内最多である。
▽近鉄奈良駅はバスターミナルとしての機能も有しており、路線バスの1日の運行便数は約1000便にも上るが、その乗り場は主に国道369号の両側に位置しており、バス同士の乗換時には不便である。
▽近鉄奈良駅周辺では東側ロータリーを始め、限られたスペースにバスやタクシーの停車スペース、荷捌きスペースが設置されているほか、一般の人が送迎のために停車する車両も多い。このためそれぞれの動線が交錯し、危険かつ不便であり、渋滞発生の一因となっている。
▽「奈良公園」の最寄りターミナル駅である近鉄奈良駅の行基広場は近年大屋根が設置され、待合場所としての利用など多くの人で賑わっているが、バリアフリー対策が不充分といった課題がある。
▽バス停には屋根が設置されているものの、近鉄奈良駅の出入口からバス停までは屋根が設置されておらず、多くの人々が集う空間にふさわしい移動環境が整っていない。
▽近鉄奈良駅周辺では、統一感のない屋外広告物等、駅に降り立った時に「奈良らしさ」を実感できる景観が乏しい。
課題として①バス便の乗換えの利便性が低い②近鉄奈良駅のターミナル機能が低い③駅前広場の動線が交錯④バリアフリー対策が不充分⑤駅出入口からバス停までの連続した屋根の未設置⑥沿道景観を阻害する屋外広告物等―を挙げている。

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