民間情報

南都経研 コロナ禍「マイナス影響がある」8割  製造業 受注や売上の減少を挙げ

2021.5.15 カテゴリ2(民間情報)

新型コロナ禍に伴う緊急事態宣言による社会活動への影響は、さまざまの事業に影響し、企業活動にも深刻さが増してきている。業種間によって、悪影響と好影響の二極化が鮮明になってきた。日経の発表によると、今年1~3月期決算を発表した上場企業のうち6割超が純利益で新型コロナウイルス前の一昨年1~3月期の水準を上回った。特に、自動車やスマートフォンなどの需要回復に加え、ワクチン接種が進み経済活動が正常化に向かっているとしている。
南都経済研究所はこのほど、3月中旬から4月上旬に、新型コロナウイルス感染症が県内企業の経営及び地域経済に及ぼす影響をアンケート調査した結果(県内273社から有効回答)を発表した。
それによると、新型コロナが自社業績にどのような影響を及ぼしているかを尋ねた結果、全体では「悪影響がある」が44・7%、「やや悪影響がある」が33・0%。合わせて8割近い企業が「何らかのマイナス影響」を受けていると回答。業種別では、「悪影響がある・やや悪影響がある」と回答した企業は、製造業80・8%、非製造業74・8%。製造業では「化学・医薬品」、非製造業では「ホテル・旅館」がそれぞれ100・0%であった。従業員規模別では、20人から49人が83・5%、50人から99人が79・1%で割合が高かった。
悪影響の理由として、取引先業績不振に伴う、受注や売上の減少を挙げている。

一方、食料品・繊維・プラスチックなどの製造業や卸売業、建設業等の企業は「好影響がある・やや好影響がある」と回答。その理由として、ネット通販部門の売上が増加やコロナ関連商材の売上増加など、消費者の生活様式の変化に伴う需要動向の変化を指摘する声が多かった。
コロナ禍をうけて、自社が思い描く今後のビジョンや事業戦略については、「地元密着」「リモートワーク等新しい働き方の活用」「販売チャネルのオンライン化」等、環境の変化をチャンスに変えるための前向きな施策が多く寄せられた。
同研究所では、「コロナ禍という大きな環境変化により、既存事業の戦略を大きく見直さざるを得ないケースもあると見られるが、そのような状況下でこそ『自分の存在意義は何か』、『将来的に社会にどのような価値を提供していくべきか』等の本質的な問いに立ち返ることが重要」としている。

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