一般記事
県河川整備課 新技術導入やDX化 5ダムの管理効率化を検討 適切なダム統合管理をめざし 遠隔管理設備の導入可能性も
2024.10.3 県土マネジメント部
奈良県県土マネジメント部河川整備課は、県管理5ダム(天理ダム、初瀬ダム、白川ダム、岩井川ダム、大門ダム)で現在行っているダムの管理業務「日常管理業務(点検・検査等)」「危機管理業務(水防時、放流時、渇水時等)」について整理を行い、管理の効率化を検討する。
近年の気候変動による降雨の増加により治水ダムの重要性は増加しているが、一方で人手不足により現在の運用体制のまま適切なダム管理を行うことは難しくなってきていることから①業務委託やマニュアル化できる業務の再整理②新技術の導入やDX化による効率化の検討③遠隔管理設備の導入によるダム統合管理の可能性を検討―業務を実施する。
県建設産業課で「ダム管理効率化検討業務委託(ダムメンテナンス事業)第2―委―1号」を11月19日に開札して業務を委託する。業務は日常管理業務・危機管理業務の現行作業整理、業務委託やマニュアル化できる業務の再整理、新技術の導入やDX化による効率化の検討、遠隔管理設備の導入によるダム統合管理の可能性を検討。委託期間7年9月30日。予定価格4710万2000円込、調査基準価格3779万6000円込。
打合せ協議は業務当初1回・中間5回・業務完了時1回の計7回実施する。業務の目的と内容を把握・確認し、業務の検討方針・具体的な実施計画を検討して業務計画書を作成したうえで、次の業務を行い、照査する。担当は河川整備係(電話0742―27―7507)。
【ダム管理業務の整理】
各ダムで行っている管理業務について主に「日常管理業務(点検・検査等)」「危機管理業務(水防時、放流時、渇水時等)」に大別し、日常的に行っているものや年に数回行う点検及び緊急時に行う業務など年間通してすべての管理業務を聞取りや書類調査により確認し、整理する。
【現地確認】
管理業務(日常管理業務、危機管理業務)に関する資料を確認のうえ各ダムの関連施設と計測・監視設備及び電気・通信設備の状況について現地確認を行う。
【情報収集】
▽業務の外部委託に関する情報収集=奈良県管理ダム以外のダム(国直轄ダム、地方公共団体管理ダム、独立行政法人の管理ダム、電力会社の管理ダム等)について管理業務(日常管理業務、危機管理業務)を外部委託している事例を収集し、整理する。
▽業務のマニュアル化に関する情報収集=奈良県管理ダム以外のダムについて管理業務(日常管理業務、危機管理業務)をマニュアル化した事例を収集し、整理する。
▽新技術の導入やDX化に関する情報収集=奈良県管理ダム以外のダムについて新技術の導入やDX化によって業務を効率化した事例を収集し、整理する。
▽統合管理や遠隔管理に関する情報収集=奈良県管理ダム以外のダムについて統合管理(2ダム統合や複数ダムの統合)や遠隔での管理(一部遠隔管理も含む)を行っているダムについて事例を収集し、整理する。
▽事前放流に関する情報収集=奈良県管理ダム以外のダムについて事前放流を効率化、機能増強した事例を収集し、整理する。
【基本事項の整理】
貸与資料・聞取り調査・現地確認・情報収集等により得られた情報を勘案し、「業務委託やマニュアル化できる業務の再整理」「新技術の導入やDX化による効率化の検討」「遠隔管理設備の導入によるダム統合管理の検討」「事前放流の効率化・機能増強の検討」に必要な基本事項の整理を行う。
【管理業務の専門性評価】
整理を行ったダム管理業務(日常管理業務、危機管理業務)について、専門性の観点から専門知識が要求されるものと、マニュアルがあれば専門知識が必要とされないもの等に分類し、管理業務の専門性の度合いについて評価する。
【業務委託検討】
日常管理業務と危機管理業務それぞれについて専門性の評価を行った後、それらのうち専門知識による判断の必要なものについて抽出し、収集した事例も参考に業務委託する理由の整理と概算委託費の算出を行う。
【マニュアル化検討】
日常管理業務と危機管理業務それぞれについて専門性の評価を行った後、それらのうち専門知識による判断の必要のないものについて抽出し、収集した事例も参考にマニュアル化する理由を整理し、マニュアル案を作成する。
【新技術の導入・DX化により効率化できる業務の抽出】
管理業務(日常管理業務、危機管理業務)について収集した情報を参考に、奈良県管理ダムで実施可能な新技術やDX化について概算工事費を算出するとともに、有用性・経済性・施工性等の観点から比較検討して実現可能な工法を選定する。
【新技術の導入・DX化に向けた検討】
整理した結果を元に将来的な新技術導入やDX化について実現可能な段階ごとに施工計画案を作成する。
【遠隔化・統合管理が可能な業務の整理】
管理業務(日常管理業務、危機管理業務)について収集した情報を参考にし、奈良県管理ダムで実施可能な遠隔化や統合管理を整理し、そのために必要な設備改良について概算工事費や実現可能性等を整理する。
【遠隔化・統合管理に向けた検討】
整理した結果を元に将来的な1拠点からの遠隔管理を念頭に、実現可能な段階ごとに施工計画案を作成する。
【事前放流の効率化・機能増強に向けた検討】
事前放流について収集した情報を参考にし、奈良県管理ダムで実施可能な事前放流の効率化と機能増強について概算工事費を算出するとともに、有用性・経済性・施工性等の観点から比較検討し、実現可能な工法を選定する。
【総合検討】
当該業務の検討内容全般について総合的に検討したうえで今後の課題をとりまとめる。