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県文化財課 太安萬侶墓整備基本計画(案) 4月26日まで意見募集 興福寺旧境内登大路瓦窯跡も

2024.4.9 県文化・教育・くらし創造部

 奈良県地域創造部文化財課は、「史跡太安萬侶墓」と「史跡興福寺旧境内登大路瓦窯跡」の整備基本計画(案)に対する意見を4月26日まで募集している。空間文化開発機構(大阪市中央区大手前1丁目)に委託して策定した整備基本計画案はホームページで公表しているほか、同課と県政情報センター及び県民お役立ち情報コーナー(県立図書情報館、県産業会館、橿原総合庁舎、吉野町中央公民館)で閲覧に供している。意見提出・問い合わせ先は記念物・埋蔵文化財係(電話0742―27―9866)。
【「史跡太安萬侶墓整備基本計画(案)」】
現園路が急勾配で老朽化が進んで維持管理の負担感の増大や見学者の安全面への懸念が生じていることから整備方針は①見学者の安全性と維持管理の利便性を両立させるための園路整備②現状景観を可能な限り維持して見学者・地元双方に違和感なく受け入れられる周辺整備③現地に来てこそ体感できる史跡の本質的価値を向上させるとともに来訪者自らがSNS等で情報拡散したくなるような魅力のある情報コンテンツの整備。
 平城京の東方約10㌔㍍に位置し、奈良市此瀬町の茶畑内に所在する。昭和54年1月に偶然墓誌が発見され、墓誌の内容から『古事記』編纂者として著名な太安萬侶の墓であることが判明した。調査後、「太安萬侶墓」は55年に史跡指定され、「墓誌」は56年に重要文化財に指定された。
史跡指定から40年が経過、この間に地元の此瀬町自治会により除草など献身的な維持管理が実施されてきたが近年、此瀬町自治会の高齢化が進み、急傾斜地に位置する史跡の管理は大きな負担になっていることから今後も持続可能な史跡管理のための園路整備等を検討する「史跡太安萬侶墓整備検討委員会」を令和4年度に設置、 史跡整備のあり方及び将来的な活用について検討し、委員会での助言と指導を通じて「史跡太安萬侶墓保存活用計画」を策定した。
【「史跡興福寺旧境内登大路瓦窯跡整備基本計画(案)」】
 奈良時代以来の瓦窯跡としての史跡の本質的な価値を伝えるための整備方針は①奈良時代以来の瓦生産遺跡の顕在化②残存する奈良時代の瓦窯跡の時を超えた臨場感ある展示③周辺施設と調和した空間の形成―など。
登大路瓦窯跡は、奈良市登大路町の興福寺旧境内に含まれ、現在県立美術館北側の県有地内に所在。発掘調査により計12基の窯跡が検出され、操業開始時期は奈良時代後半(12基のうち3基)と考えられ、概ね鎌倉時代初頭まで操業されていたことが明らかとなった。文献史料に見られず、発掘調査により確認された奈良時代の窯で、奈良時代後半以降の興福寺伽藍の維持管理を支えた瓦窯であるという歴史的意義を鑑みて、日本古代の窯業史を検討するうえで非常に重要な瓦窯跡と評価できる。
登大路瓦窯跡は発掘調査後、現地に埋設保存されており、今後の史跡整備として露出展示を始めレプリカ展示、何らかの地表面表示などを検討。また、隣接する県立美術館と一体となった整備も検討を行った。4年3月に法相宗大本山興福寺により策定された「史跡興福寺旧境内保存活用計画」を踏まえ、 これまでの発掘調査・史料調査等の成果と保存活用計画策定者の興福寺の意向のほか、県が設置した「史跡登大路瓦窯跡整備検討委員会」における議論等を反映させて登大路瓦窯跡整備基本計画を策定した。

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