一般記事
大和川河川事務所 大和川遊水池「窪田地区」
2022.6.2 近畿地方整備局
周囲堤の整備を推進
貯水量約100万立方㍍を確保へ
水害時に水位を下げる効果
大和川河川事務所が推進している大和川遊水池「窪田地区」の整備は、現在、周囲堤の整備を進めている。
大和川遊水池「窪田地区」は、大和川流域での浸水被害対策として、洪水を貯留し、下流へ流れる流量を一時的に減らす役割を持つ遊水池の整備を進める「大和川遊水池計画」の一つ。安堵町窪田地内に、支流の岡崎川に挟まれる形で大和川北側に位置し、大和川南側の「保田地区」と共に現在、整備が進められている。同遊水池は約20㌶という広い土地を、大和川の堤防と同じ高さの約6㍍の周囲堤で囲い、一部を掘削し、計画の中で最大容量の約100万立方㍍の貯水量を確保するもの。
工事は、令和3年度に着手。周囲堤の整備、遊水地内掘削に取りかかっており、これまでに、河川土工(掘削工1万2100立方㍍、掘削工〈ICT〉1万2100立方㍍、盛土工710立方㍍、盛土工〈ICT〉3300立方㍍、法面整形工〈ICT〉、盛土工〈ICT〉〈試験盛土〉1万立方㍍、法面整形工〈ICT〉〈試験盛土〉、構造物撤去工、仮設工)(施工は大和建設)が完了し、周囲堤の一部が姿を見せている。
現在は、「大和川窪田遊水地水路設置他工事」(水路工、構造物撤去工、仮設工。施工は山上組)が進められており、7月からは樋門設置するために堤防上の現道を付け替える「迂回路整備工事」(河川土工、法覆護岸工、付帯道路工、付帯道路施設工、排水構造物工、仮設工。施工は森下組が担当)が着工を予定している。
窪田遊水地は規模が大きいため長期間にわたる整備となるが、同事務所は、積極的に工事を推進し、早期の終了を目指して、来年度以降も周囲堤の工事を継続していく。
「大和川遊水池計画」では、洪水時の流量をカットし、30年に一度の流量規模を安全に流下させる事を目指しており、現在推進されている「窪田地区」、「保田地区」、地元と調整中の「唐院地区」、「目安地区」、「三代川地区」に予定されている遊水池を合わせ、180万立方㍍の貯水量を確保し、現在、藤井地区で行われている河道掘削で河道断面を拡げることで、平成29年台風21号と同規模の洪水が発生した場合、葛下川合流点の大和川の水位を50㌢㍍低下させる効果を見込んでいる。
また、大和川流域の治水対策は、これまでも県や各市町村と連携する形で行われてきたが、大和川及び大和川流域が、昨年改正された特定都市河川浸水被害対策法に基づき、令和3年12月24日付けで特定都市河川及び特定都市河川流域に指定されたことを受け、5月27日、近畿地方整備局長、奈良県知事、及び同流域25市町村長が共同で「大和川流域水害対策計画」を策定。それに基づき、昭和57年8月の水害を防ぐべき目標として、遊水池などの河川整備の加速化や、流域内の貯留施設の支援及び推進、水田貯留の推進といった「氾濫を防ぐ・減らす対策」、水害リスクをふまえた土地の区域指定といった「被害対象を減少させるための対策」、減災対策協議会による、関係機関との連携や、河川情報の共有などの「被害の軽減、早期復旧、復興のための対策」という3つの視点から流域一体として総合的かつ多層的な浸水被害対策を講じ「流域治水」実践していく。