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近畿技術コンサルで進む 高田川と葛下川で段階的な施工 未改修区間ボトルネック箇所先行整備へ
2022.1.28 県高田土木事務所
奈良県高田土木事務所は、進捗が望めない状況となっている高田川と葛下川の改修区間について段階的な施工を計画するため、近畿技術コンサルタンツに業務を委託して進めている。浸水被害を少しでも軽減するためボトルネック箇所の改修を先行して整備するもの。
県高田土木事務所は、高田川と葛下川の改修事業(図参照)のうち事業の進捗が望めない状況となっている区間について浸水被害の軽減を目的に段階的な施工を計画するため、一般競争入札により業務を委託する。
河川整備計画に基づいて計画区間の下流から上流に向かって改修を進めているが、高田川は鉄道との設計協議に時間を要し、葛下川は用地交渉等が難航し、事業の進捗が望めない状況となっている。
河川管理者として浸水被害を少しでも軽減するため、高田川は鉄道より、葛下川は用地未買収地より、上流の未改修区間におけるボトルネック箇所を複数抽出し、その箇所の改修を先行して整備する段階的な施工を計画するもの。なお、計画に当たっては浸水被害状況を勘案して効果的・効率的なものとし、段階的な施工に起因する新たな浸水被害が発生しないように配慮する。高田川と葛下川ともに近畿技術コンサルタンツ奈良事務所が一般競争入札を落札、委託して業務を進めている。
▽高田川段階的施工計画業務(防災・安全社会資本整備交付金事業(広域河川))第2―2―委1号=業務場所は広陵町沢~笠。委託期間10月31日。1501万5000円込で契約して委託。
▽葛下川段階的施工計画業務(防災・安全社会資本整備交付金事業(広域河川))第5―委1号=業務場所は香芝市瓦口~別所。委託期間9月30日。1120万9000円込で契約して委託。
【流下能力の把握】
河道計画に係る水位計算は基本的に一次元で不等流計算を用いることとし、対象区間は未改修区間の前後200㍍程度。複断面河道(低水路流れと高水敷流れの相互干渉による抵抗の増加)や樹木群の影響等を無視できない河道では、準二次元不等流計算を用いる。
①断面図データの作成。
②粗度係数の設定=河床状況や河道内の植生繁茂状況を踏まえ、既往知見より粗度係数を設定する。
③計画条件の設定と実施=既往の治水計画等を参考に下流端水位や計算流量ケースなど不等流計算の条件を設定する。
④流下能力算定=断面ごとの流量と計算水位の関係からH―Q式を作成する。断面ごとにH―Q式に評価高を適用して流下能力を算定(現況の確率降雨規模の算定を含む)する。算定後に河道のネック箇所や全河川的な治水安全度バランスを把握するため、計画前後の流下能力図を作成する。
【段階的施工計画】
対象河川は、既往設計において河川整備計画に基づいて計画規模1/10で計画されているものの、高田川は鉄道との交差部があり、葛下川は用地未買収地があり、当面事業の進捗が望めない状況であることを踏まえ、現況流下能力(現況の確率降雨規模)を考慮し、中間の整備目標(計画規模)を設定する。
この中間の整備目標に基づき、既往設計内容を踏襲した段階施工を計画する。なお、計画に当たっては段階施工時の工作物は可能な限り手戻りが少なくなるように①設計計画②現地踏査③基本事項の検討④基本ケースの設定⑤図面作成⑥施工計画(案)の作成⑦概算工事費⑧考察―を行う。