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県消防救急課 来夏までに基本計画 県消防学校の五條県有地移転整備 一般競争11月20日開札
2025.11.4 県総務部
奈良県総務部知事公室消防救急課は、現在宇陀市にある施設が狭くて老朽化していることから、五條県有地に移転して南部中核拠点と一体整備する消防学校について令和8年度第1四半期までに基本計画を策定する。
一般競争入札「奈良県消防学校移転整備基本計画策定業務第1―消2号」を11月20日に開札して業務を委託する。業務場所は五條市阪合部新田町他。委託期間8年6月30日(中間とりまとめの提出8年1月中旬、報告書〈概要版〉の提出8年4月下旬)。予定価格2195万6000円込、最低制限価格1761万1000円込。担当は消防救急係(電話0742―27―8423)。
消防学校は、消防職員及び消防団員の資質を高めるための教育訓練機関だが、現在の奈良県消防学校は施設の老朽化が顕著で、敷地面積も狭いことなどから消防救急活動に即した教育訓練が充分には行えないため、早期の移転整備が喫緊の課題。
業務は、「南海トラフ巨大地震」などの大規模災害を始めとする被災現場において的確に状況判断できる消防職員等を育成するため、「令和6年度広域防災拠点(五條県有地)整備基本計画検討業務」(セントラルコンサルタント奈良営業所)や「令和7年度奈良県消防学校機能強化検討支援業務」(日本工営都市空間奈良事務所)などの成果を踏まえ、南部中核拠点における新しい消防学校の施設配置や最適な事業手法等をとりまとめた「奈良県消防学校移転整備基本計画」を策定することを目的とする。加えて新しい消防学校は災害対応において県南部の核となる南部中核拠点と一体的に整備することに鑑み、災害時における消防学校の有効活用についても併せて検討する。業務内容は次の通り。
▽計画準備(業務計画書の作成)=業務実施の方針及びスケジュールを検討し、業務計画書を立案・作成する。
▽現状把握と課題整理=整備予定地の現状(地形、地質、インフラ等)を過年度の成果品や現地踏査などにより把握するとともに、法令規制やコントロールポイントなどをとりまとめる。
▽環境・防災性能等に関する検討=県脱炭素戦略を踏まえたZEB の検討、県の建築物における県産材利用促進方針に基づく木造化、県住みよい福祉のまちづくり条例を踏まえたバリアフリー化及びユニバーサル社会の実現に向けた諸施策の総合的かつ一体的な推進に関する法律を踏まえたユニバーサルデザインの観点等からの検討を行うとともに、災害時における非常用電源等の整備方針(自家発電機の容量算出等)を検討する。
▽想定する施設と規模の精査=「令和7年度奈良県消防学校機能強化検討支援業務」の成果や庁内での検討状況を踏まえ、過年度に整理した施設と規模を精査し、各施設を建築物に集約するとともに、建築物の規模と階数及び建物構造を検討する。また、建築物の配置計画の検討に必要となる放水訓練に必要な水槽等の設備とその面積(容量)を検討する。
▽建築物内の配置計画の検討=各建築物内の諸室の配置を検討する。併せて災害時における利用方針を整理する。
▽建築物の配置計画等の検討=南部中核拠点の整備基本計画で想定している消防学校の敷地における建築物等の配置計画を検討する。なお、想定する敷地内で建物配置が困難な場合は必要に応じて敷地等を見直す。配置計画の検討に当たっては利用者動線や施設管理等を考慮し、複数案(3案程度)の比較を行う。また、最適な建築物の配置計画を踏まえて外構に関する考え方を検討し、外構計画図を作成する。
▽概算事業費の算出=建築物・設備・外構等の概算事業費を算出する。併せて過年度成果などを踏まえ、造成費や土地購入費を含めた整備財源を整理する。
▽整備スケジュールの精査=必要な調査や設計・工事等を検討し、整備スケジュールを精査する。
▽イメージパースの作成=消防学校敷地全体の鳥瞰パース(2視点)及び主要施設(3施設)の内観・外観のパースを合計8枚作成する。但し、消防学校敷地全体の鳥瞰パースのうち1枚については中間とりまとめ(8年1月中旬)において提出する。
▽最適な事業手法の提案=他府県消防学校の先進事例調査等必要な調査のうえで県消防学校に導入可能な事業手法を比較検討する。
▽ICT・DX対応方針の検討=他府県の先進事例を整理し、教育・訓練支援のためのICT・DX対応や諸室のOA化等の方針を検討する。
▽県民に開かれた学校づくりの検討=他府県の先進事例を整理し、現段階から導入可能な取組みについては詳細情報も整理する。
▽当面の課題整理=基本計画策定後に必要な調査や検討をとりまとめるとともに今後の課題を整理する。
令和5年9月設置の「奈良県消防学校教育訓練充実検討委員会」と6年4月設置の「災害応急対策(防災拠点)検討部会」の議論のほか、過年度の消防学校移転整備に関する検討内容を踏まえ、消防学校の教育訓練機能及び災害時に求められる機能を強化する方向性を明らかにした。
南部中核拠点(五條県有地)は、五條市黒駒町762番外の敷地面積約64㌶(東エリア約45㌶+西エリア約19㌶)。南部中核拠点の核となる区域のコアゾーンのうち消防学校は約4・4㌶。基本計画をまとめ、8年度~14年度に測量・調査・設計等、15年度~16年度の2ヵ年で工事を行うスケジュールを組んでいる。
日本工営都市空間奈良事務所に委託してまとめた機能強化に向けた基本方針は①消防活動の高度化、災害の多様化に対応した実践的訓練環境の充実=県の地形・災害特性に対応する訓練環境を構築、災害現場等を再現した実践的な訓練施設の整備②効果的、効率的な教育環境の確保=高度化する救急救命技術と火災予防査察への対応、デジタル技術を活用した最新の内容で教育訓練が行っていくことができるようDX等を推進③プライバシーや自主学習に配慮した寮生活の提供=教育訓練に集中できる環境を提供するため就寝エリアや勉強空間等を半個室化、女性入校生の増加に対応できるよう寮室等の女性専用エリアを整備④県民に開かれた学校づくり=消防学校の見学会や消防救急活動の体験会を通じて県民の防火・防災意識を高める機会を創出⑤南部中核拠点として広域防災拠点と消防学校の一体活用=平時には消防学校の教育訓練において広大な南部中核拠点敷地の活用が可能、災害時には消防や警察・自衛隊等の進出、救助活動拠点(ベースキャンプ)や活動拠点支援施設(宿泊施設等)として消防学校施設を活用して応援部隊の受入体制を強化。
