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橿考研 7年度に基本計画 新たな出土品収蔵施設の整備 8年度に事業着手へ 3ヵ所を候補に検討

2025.7.11 県文化・教育・くらし創造部

 奈良県立橿原考古学研究所は、保管している出土品の総量が収蔵能力の限界近くにあることから、令和7年度に管理地内の3ヵ所を候補地として想定し、新たな収蔵施設の建設も考慮した基本計画を策定する。
一般競争入札「橿原考古学研究所出土品収蔵施設改善基本計画策定支援業務」を7月25日に開札して業務を委託する。業務場所は橿原市畝傍町1番地。委託期間8年3月27日。問い合わせ先は総務課(電話0744―24―1101)。
何らかの対策を講じなければ、令和11年には収蔵スペースが足りなくなる事態が予想されている。出土品の再収納作業や収納棚の再配置等によりある程度の効果が見込めるものの、短期的な問題解決にしかならず、抜本的な改善には至らない。今後も出土品を適切に保管していくため、橿原考古学研究所では収蔵能力の大幅改善に向けた取組みに着手することとした。
この業務は、収蔵能力を改善するための方策を検討するもの。研究所管理地及び既存施設利用の効率化(改修を含む)若しくは新たな施設の建設も考慮した計画策定の支援を目的とする。なお、策定する改善計画に基づき8年度から整備事業に着手するため業務の途中段階で中間報告書を提出する。主な業務内容は次の通り。
【収蔵施設の検討】
▽条件の設定=6年度は天箱(外寸590㍉×380㍉×100㍉)に換算すると約1200箱分の出土品を新たに収蔵している。今後は県で推進する発掘調査効率化によりさらに増加することも予測される。今回の計画策定に際しては中長期的な視点から今後20年分の収蔵能力(少なくとも2万4000箱分)を有する施設を条件とする。なお、対象とする収蔵品には木製品などの有機遺物及び金属製品を含めないことを前提とする。施設に求められる規模や構造・設備等については先行事例を踏まえて研究所と協議を重ね設定する。場所により法規制が異なることから施設候補地と合わせて検討する必要がある。最終的には施設候補地をひとつに絞ったうえで事業費の算出に必要となる施設の平面図及び立面図・断面図等を作成する。
▽施設候補地の検討=候補地は研究所の管理地内にある旧奈良県立室生高等学校敷地内(宇陀市室生大野)の武道場付近(武道場は耐震基準を満たしておらず除去が前提となる。敷地条件は既存施設の除去と新施設の建設)、旧県立室生高等学校校舎(室生埋蔵文化財整理収蔵センター棟)(敷地条件は既存施設の改修、現に収蔵施設として利用しており出土品を一度移動したうえで施設を改修することが前提)、旧久米倉庫跡地(橿原市久米町)(敷地条件は現在空き地となっている)の3ヵ所を想定している。候補地は敷地条件が異なることから現地の法規制を踏まえて設定条件(収蔵能力2万4000箱分)を満たす施設を設けることが可能か検討する。そのうえで利便性や拡張性と費用等を比較して候補地の中から適地を選定する。各候補地が単独で設定条件を満たさない場合には複数敷地の併用を検討する。なお、いずれによっても設定条件を満たさない場合には県が管理するその他の施設の利用または県有地での施設建設や民間施設の利用等について検討する。
▽事業計画の立案=設定条件を満たす収蔵施設を設けるための事業計画を立案する。11年には出土品の収蔵限界に達する見込みから、事業期間が6年以上となる場合は既存施設の活用や仮施設の設置等を考慮してすべての出土品を確実に保管する計画とする。なお、出土品の増加量が想定を超えて推移していることから、収蔵限界が早まる可能性も充分あり得る。計画立案と併せて適用の可能性がある国庫補助金等について情報を収集する。
【概算事業費算出】
立案した事業計画を実施するために必要な費用を算定する。複数年の事業となることから費用を算定する際の物価上昇率をどの程度考慮すべきか研究所と協議する。
【中間報告書作成】
収蔵能力の改善を早期に実現するため契約日から起算して60日をメドに中間報告書を提出する。中間報告では暫定的に施設の候補地と必要条件を設定し、8年度に必要な事業費を算定する。

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