一般記事
県住宅課 県営団地建替で基本構想 住宅確保要配慮者向け住宅供給 余剰地や空き住戸の活用も
2025.4.15 県地域デザイン推進局
4月3日①面関連
奈良県県土マネジメント部まちづくり推進局住宅課は、令和7年度に平時に関して昨年度に策定したストックマネジメント方針案に基づいて各県営団地における建替に係る基本構想の策定等を行う。また、災害発生時に関しては県営住宅の建替等を通じて生じる余剰地の仮設住宅用地としての活用や県営住宅空き住戸の仮設住宅としての活用のほか、近年の災害対応実績を踏まえて応急仮設実施要領(案)の精査・更新等を行う。
公募型プロポーザル「住宅確保要配慮者向け住宅供給計画検討業務 (県営住宅建替等加速化事業)(災害時の住宅被害対策推進事業第R7―02―委1号」により業務を委託する。業務場所は県全域。業務概要は①平時における住宅確保要配慮者向けの住宅供給に関する検討業務②災害発生時における住宅確保要配慮者向けの住宅供給に関する検討業務。委託期間8年3月13日。業務量の目安は4454万1000円込を限度とする。担当は住まい企画係(電話0742―27―7540)。
県では、令和5年12月に奈良県住生活ビジョン(奈良県住生活基本計画)を策定し、豊かな「住まいまちづくり」の実現に向けて基本的な方針を示した。基本方針では「住まいを必要とする人を支える」ことを掲げており、低所得者・高齢者・被災者等の多様な住宅確保要配慮者の居住の安定を確保するため、市町村や建設・不動産事業者等との連携強化を図り、住まいを確保していくことを目標としている。
これまでにも県では平時において、県営住宅の運営・管理のほかセーフティネット登録住宅等の民間賃貸住宅の入居円滑化に関する活動強化等に取り組むとともに、紀伊半島大水害等の災害発生時においては県営住宅の空き住戸の供与や応急仮設住宅の建設等を通じて被災により緊急的に住まいを必要とする人々への支援も実施してきた。
今後も深刻化する少子高齢化に伴う人口減少や厳しい行財政事情や激甚化する自然災害等を鑑み、多様な住宅確保要配慮者が個々人の生活事情や経済事情に見合った住まいに円滑に入居できるよう市町村や建設・不動産事業者等との連携のもとで、公営住宅等の公的賃貸住宅や民間賃貸住宅を含む多様な住宅ストックを活用する必要がある。
これらを踏まえて令和6年度に平時に関しては住宅セーフティネットの核となる県営住宅の持続的な管理・運営に資するストックマネジメント方針案を策定するとともに、災害発生時に関しては緊急に住宅が必要となった被災者等の住宅困窮者に対し県営住宅のほか応急仮設住宅の供与や住宅の応急修理・緊急修繕等を円滑に実施できる体制整備に向けた検討を地域計画建築研究所(中塚一代表取締役社長。略称アルパック)大阪事務所(大阪市中央区今橋)に委託して行った。今回の業務内容は次の通り。
【平時における住宅確保要配慮者向けの住宅供給に関する検討業務】
県では、公営住宅制度の創設以来住宅に困窮する低額所得者等向けに県営住宅を整備し、その後老朽化に伴う建替等を通じて県内13市町に43団地8171戸(令和6年4月時点)の県営住宅を管理・運営している。近年、事業費確保等の課題から屋上防水改修工事や外壁改修工事等の改修工事が充分なペースで実施できておらず、県営住宅の老朽度が深刻化しているほか、入居者は顕著に高齢化しており、住民活動の停滞に加えて県としての家賃収入の減少等も課題となっている。
こうしたことから6年度に県では県営住宅の役割を精査し、具体的な団地において再編シミュレーションを行い、団地類型別のストックマネジメント方針を検討した。これらを踏まえ、ストックマネジメント方針に基づき、今後の人口減少を踏まえた再編に向けて大規模団地について建替を含む整備手法を検討して基本構想案等を策定する。
「持続可能で暮らしやすいまちづくりの実現に向けた県市連携による公営住宅の建替の推進に関する連携協定」に基づいて進めている御所市内の県営住宅の建替に係る検討を行う。御所市若しくは御所市内県営住宅の住民との協議・説明会における資料作成や開催支援業務を行い、それらを踏まえた6年度作成の基本構想(案)の更新を行う。
事業方針検討済の県営住宅(2団地)における建替の基本計画(案)を策定する。6年度に開発に係る協議や日影に係る検討を行い作成した売間団地と橿原ニュータウン団地における配置計画(案)を基に、詳細な建替・除却スケジュールの検討と、住棟内の住戸配置計画の検討及び事業実施に当たっての関係法令調査等を行い、それらを踏まえた基本計画(案)を策定する。
事業方針未検討の県営住宅(6団地)におけるストックマネジメント方針に基づいた事業方針の検討・基本構想(案)の作成等を行う。各団地の検討状況に応じ、老朽状況の確認、事業手法の検討、事業工程・スケジュールの検討、現入居者の移転計画の検討、住民協議資料作成及び都市計画法と建築基準法を踏まえた配置計画(案)の作成等を行う。対象となる6団地の概要は①中層耐火5階建13棟450戸程度②中層耐火5階建6棟200戸程度③中層耐火5階建11棟400戸程度④簡易耐火2階建55棟250戸程度⑤中層耐火3階建37棟250戸程度⑥中層耐火5階建11棟350戸程度。
前項の検討結果を踏まえてストックマネジメント方針案に基づき、財政的な視点から維持管理シミュレーションを実施する。
【災害発生時における住宅確保要配慮者向けの住宅供給に関する検討業務】
近年の自然災害は激甚化しており、災害発生時に被災者が1日でも早く安全・安心な生活を取り戻すことができるよう、予め備えを進めていくことが必要。6年度に県では県内で発生する可能性のある地震災害等による被災想定を見直し、応急仮設住宅の供給や被災住宅の応急修理制度に係るフローや実施要領(案)を整備し、関係団体や市町村への周知方法を検討した。
近年の災害対応実績等を踏まえ、応急仮設住宅の供与等に関する実施要領(案)に反映すべき新たな供与手法の検討や実務課題の収集・整理等を行う。県営住宅及びその土地を活用した応急仮設住宅の供与について①各大規模団地の建替等事業において生じる余剰地の応急仮設住宅の供与可能性②公営住宅空住戸を応急仮設住宅へ供与するための現行制度(災害救助法、建築基準法、公営住宅法等)上の課題の整理、発災後の改修工事の発注方法、住戸仕様、平時の候補住戸の確保・管理方法等―の検討を実施する。
能登半島地震を始めとする近年の災害時の住宅支援の運用事例を踏まえて①木造や移動型の建設型応急仮設住宅について建設に必要な条件とメリット・デメリット及びプレハブ型の建設型応急仮設住宅との役割分担についての整理と、木造について供与期限後の転用可能性に係る法律及び補助金上の課題を整理したうえで転用想定有無別の奈良県版住戸仕様(案)の作成、移動型について奈良県版住戸仕様(案)の作成②建設型応急仮設住宅と借上型応急仮設住宅及び住宅の応急修理制度等に係る実施要領(案)等について能登半島地震を始めとする近年の災害事例や県が行う関係団体との協議経緯と近隣府県の協定締結状況、検討結果を踏まえた見直し―を実施する。
建設型応急仮設住宅と借上型応急仮設住宅の供給及び住宅の応急修理制度に係る市町村と関係者団体向け説明会等の開催補助として会場設営、説明会資料の作成(原案あり)及び資料の準備、必要に応じて協議当日の議事作成等を行う。
【有識者ヒアリング等の実施支援】
有識者ヒアリング等の開催支援、説明資料作成支援、ヒアリング等(3回程度)への出席及び議事録の作成等を行う。