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7年に施工計画検討 一級河川能登川河川改修事業 京終橋上流の191㍍を対象に 発注ロットごとの図面・数量も

2025.3.4 県奈良土木事務所

 奈良県奈良土木事務所は、能登川河川改修事業のうち未改修となっている京終橋上流の191㍍を対象に令和7年に最適な施工計画案を策定するとともに、発注ロットごとに仮設工や既設護岸への擦付等を検討し、図面・数量をとりまとめる。
 一般競争入札「一級河川能登川施工計画検討業務委託(特定都市河川浸水被害対策推進事業(河川改修))第1―2―委―1号」を3月13日に開札して業務を委託する。業務場所は奈良市南京終町。委託期間12月26日。予定価格2427万7000円込、調査基準価格1949万2000円込。
大和川水系(平城圏域)の能登川は、河川整備計画に位置付けられて河川改修を行っている。計画区間の奈良市南京終町の京終橋~JR桜井線約700㍍は未改修の状態。5年度の県河川整備委員会において「事業継続が妥当」との事務局案を了承している。残事業費11億8000万円(建設費10億7000万円、維持管理費1億1000万円)。県庁の担当は県土マネジメント部河川整備課河川整備係 (電話0742―27―7507)。
未整備区間は交通量が多い道路や宅地が隣接し、地下埋設管が多く埋設されている区間を流れている。地元との用地交渉等を継続的に行った結果、用地を広げることなく施工を行うことができる矢板護岸工の設計を進めている。
 6年には「一級河川能登川橋梁詳細設計業務委託(特定都市河川浸水被害対策推進事業(河川改修))第1―2―委―3号」を日建技術コンサルタント奈良事務所に委託して実施。まず先行して護岸工事に着手、その後の渇水期に橋梁工事を始めることになる見通し。架替が必要となる恵比須橋については、周辺に重要なインフラ設備が多くあり、架替時にはインフラ設備の休止・移設が必要となるため、設置位置等の調整・検討に時間を要している。5年度は橋梁・護岸の設計とともに地下埋設業者との協議を継続して行った。当面(今後5年)の目標は今年度と来年度でNTTや大阪ガスとの協定書締結に向けた協議を完了し、恵比須橋まで矢板護岸工の整備を進める。
 また、4年度~5年度に「一級河川能登川護岸詳細設計業務委託(防災・安全社会資本整備交付金事業(広域河川)(加速化対策分)第繰補1―1―委―1号」を中央復建コンサルタンツ奈良営業所で、5年度に「一級河川能登川井堰詳細設計業務委託(特定都市河川浸水被害対策推進事業(河川改修)(加速化対策分)(国補正)他)第繰補1―2―委―2他号」を大日コンサルタント奈良事務所で実施している。
 今回の業務は、過年度に実施した護岸詳細設計及び橋梁詳細設計を参考としながら、護岸・橋梁工事に伴う仮締切や仮排水、施工ヤード計画、迂回路計画等について検討し、最適な施工計画案を策定するとともに、河川内の施工は非出水期(11月1日~翌年5月31日)中のみとなることを踏まえ、発注ロットごとに仮設工や既設護岸への擦付け等を検討し、図面・数量をとりまとめる。
なお、当該現場は架空線や地下埋設物が多数入っていることから、これらの移設を踏まえた施工計画の策定を行う必要があるため、この業務で関係機関との協議資料を作成して協議に同席する。そのうえで協議内容を考慮して設計を行う。また、恵比須橋の橋台前の護岸設計及び橋梁部以外の付帯施設修正設計についても行う。京終橋上流の南細井井堰は河川改修に支障となるため過年度に復旧設計を行ったが、周辺の土地利用状況の変化に伴い修正設計が必要となったためこの業務内で復旧設計を行う。業務内容は次の通り。
【施工計画検討L191㍍】
▽付帯施設設計その他施設=過年度の護岸詳細設計で検討している矢板護岸天端の笠コンについて下方の化粧コンを場所打ちで計画していることを踏まえ、プレキャストと場所打ちの比較検討(施工性、経済性等)を行う。また、工事により支障となる防護柵の設置位置等について奈良市との協議資料を作成し、協議結果に基づき設計を行う。
▽施工計画=過年度の護岸詳細設計と橋梁詳細設計で検討している仮締切や仮排水・施工ヤード計画・工事用進入路の計画等を参考に、施工方法や工程計画等の施工計画案を策定するとともに、河川内の施工は非出水期中のみとなることを踏まえて発注ロットごとに仮設工や既設護岸への擦付け等を検討し、図面・数量をとりまとめる。なお、護岸・橋梁施工時の施工ヤードは河川上(矢板護岸上)に覆工板を設置してヤードとして使用することを想定している。また、架空線や地下埋設物の移設計画も踏まえた全体工程を立案する。当該現場周辺には民家等が張り付いているため施工時の環境保全対策・安全対策についても検討を行う。矢板護岸の矢板圧入箇所には玉石や既設護岸があることを踏まえ、過年度設計で検討している硬質地盤クリア工法の妥当性を検証し、必要に応じて施工方法の見直しを行う。護岸・橋梁工事に係る概算工事費を算出する。
【護岸詳細設計(両岸〈橋梁部のみ〉)】
▽護岸の配置検討=過年度の橋梁詳細設計の内容も加味し、地下埋設物と橋梁工事に留意しつつ、護岸工事の設計と施工計画の作成を行う。
▽構造物との取付検討=過年度に設計した橋台との取付計画について検討を行う。
▽景観検討=過年度の護岸詳細設計で検討している鋼矢板前面の化粧コンクリートや笠コンクリートを参考に検討を行う。また、景観対策による川の流下能力減少の有無について検証する。
▽本体設計安定計算=恵比須橋付近で実施した地質調査結果を基に矢板護岸の安定計算を行う。参考とする地質調査の箇所については発注者と協議のうえで決定する。
【護岸詳細設計(片岸〈井堰復旧部〉)】
過年度に設計した南細井井堰の復旧設計の修正を行う。周辺の土地利用状況の変化に伴い、過年度の復旧設計では受益者の田への取水が困難となったため、改めてポンプアップ方式による井堰機能の復旧設計を行う。護岸をポンプアップ可能な構造に作り替えるものとし、その護岸詳細設計を行う。
▽設計計画=復旧位置の護岸形状や受益者の田への送水ルートを踏まえ、適切な復旧位置を検討する。復旧位置は地元水利組合との協議により決定する。
▽構造物との取付検討=取水工と護岸の取付部分の検討を行う。
▽図面作成。
【仮橋・仮桟橋詳細設計2橋】
矢板護岸上に覆工板を設置してその上を施工ヤードとして使用することに伴い、使用する重機等の重量を踏まえて上部(覆工板、受け桁等)及び下部(矢板護岸)の構造計算を行う。恵比須橋の上流と下流で矢板型式が異なるためそれぞれの箇所における地質調査結果を踏まえて検討を行う。
【迂回路設計】
恵比須橋の架替においては長期間の通行止めが発生する見込みであることから、工事中の迂回路の検討を行う。
【井堰詳細設計 構造計算、設計図作成】
▽取水工=ポンプ取水箇所は調査職員と協議のうえ決定するものとし、取水設備の構造型式を選定のうえで必要となる構造計算を行い、工事発注に必要となる図面の作成を行う。なお、検討に際しては過年度にとりまとめた取水施設の検討成果を参考に進める。
▽下流放流工=取水箇所から受益者の田への放流ルートの検討と必要となる水路の詳細設計を行い、工事発注に必要となる図面の作成を行う。
【関係機関打合せ協議】
この業務では奈良市役所道路管理部局(奈良市道)・奈良市役所水道部局(地下埋設〈上水道〉)・NTT(架空線、地下埋設)・関西電力(架空線)・大阪ガス(地下埋設)―についての協議を5回程度行うことを想定している。内容に変更がある場合は調査職員と協議のうえで必要に応じて設計変更の対象とする。

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