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県文化財課 史跡太安萬侶墓の保存活用 基本設計へ地質調査 スキャドロンに業務を委託

2024.10.22 県文化・教育・くらし創造部

奈良県地域創造部文化財課は、「史跡太安萬侶墓」について、今後も持続可能な管理と保存活用を行い、史跡への理解を来訪者に深めてもらえることを目的に、予定している関連する事業の基本設計を作成するに当たり、新園路の設置が可能であるか否かを確認するために必要な地質調査等を6年度に実施する。
一般競争入札「史跡太安萬侶墓における地質調査業務6文財第19号」を開札、スキャドロン(橿原市久米町540―3)に業務を委託した。業務場所は奈良市此瀬町。業務内容はオールコア機械ボーリング調査3ヵ所(15㍍、9㍍、6㍍)、サウンディング及び原位置試験。委託期間7年1月31日。
 平城京の東方約10㌔㍍に位置し、奈良市此瀬町の茶畑内に所在する。昭和54年1月に偶然墓誌が発見され、墓誌の内容から『古事記』編纂者として著名な太安萬侶の墓であること事実であると確認された。調査後「太安萬侶墓」は55年に史跡に、「墓誌」は56年に重要文化財に指定された。
 墳丘の規模・構造・遺物の出土状況が学術的に明らかにされた奈良時代上級官人の極めて稀な火葬墓として重要な価値を有していることから、県では墓城をも含めた丘陵の南斜面一帯を指定して保存を図るものとし、55年に火葬墓周辺と園路を整備している。
史跡指定から40年が経過、この間に地元の此瀬町自治会により除草など献身的な維持管理が実施されてきたが近年、此瀬町自治会の高齢化が進み、急傾斜地に位置する史跡の管理は大きな負担になっていることから今後も持続可能な史跡管理のための園路整備等を検討する「史跡太安萬侶墓整備検討委員会」を令和4年度に設置、 史跡整備のあり方及び将来的な活用について検討し、委員会での助言と指導を通じて「史跡太安萬侶墓保存活用計画」を策定した。
現園路が急勾配で老朽化が進んで維持管理の負担感の増大や見学者の安全面への懸念が生じていることから整備方針は①見学者の安全性と維持管理の利便性を両立させるための園路整備②現状景観を可能な限り維持して見学者・地元双方に違和感なく受け入れられる周辺整備③現地に来てこそ体感できる史跡の本質的価値を向上させるとともに来訪者自らがSNS等で情報拡散したくなるような魅力のある情報コンテンツの整備。
空間文化開発機構(大阪市中央区大手前1丁目)に委託して昨年度に策定した「史跡太安萬侶墓」整備基本計画(案)に対するパブリックコメントを今年4月に実施している。担当は記念物・埋蔵文化財係(電話0742―27―9866)。
現段階におけるスケジュールでは6年度にこの地質調査のほか発掘調査を行い、7年度に基本設計と実施設計、修景用樹木・茶畑の環境改善を始め、8年度から9年度にかけて園路整備・雨水排水工事を実施、9年度に史跡説明板と案内サイン更新を予定している。

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