一般記事
県道路建設課 基本計画を改定 道路整備と無電柱化推進
2024.10.17 県土マネジメント部
奈良県県土マネジメント部道路建設課は、10月8日に県議会の議決を得て「奈良県道路整備基本計画」と「奈良県無電柱化推進計画」を改定した。問合せ先は道路整備が道路政策係(電話0742―27―7495)、無電柱化が事業第一係(電話0742―27―7498)。
【奈良県道路整備基本計画】
道路の役割を果たすためにデジタル技術の活用、交通体系の多様化、災害脆弱性とインフラ老朽化の克服など新たな社会要請に適応していく必要があり、めざす姿を①県内産業や地域の振興②魅力であふれる観光地③快適で豊かに暮らせるまち④災害等のリスクに強い県土―をめざす奈良に定めている。
これを実現するために県の道路整備の方向性については、まずは、これまでの「選択と集中」の考え方に基づき、県土の骨格を形成すべき特に重要な路線網である「骨格幹線道路ネットワーク」の重点的な整備を推進する。また、骨格幹線道路ネットワークの形成と併せて、県経済の進展に対応した目的志向の道路整備(企業立地を支援する道路整備/観光振興に資する道路整備/まちづくりに資する道路整備)と、安全・安心を支える道路整備を推進する。
道路整備の進め方は▽「選択と集中」の深化と道路整備の体系化=①計画段階で都市計画の見直し、事業着手前段階で新規事業化における評価基準の設定と評価実施プロセスの徹底、事業段階で各段階における適切な事業評価の実施を行う段階に応じた評価の実施②重要事業・重要施策への重点的投資、進捗管理型投資・計画的な用地取得や工事の推進を行う予算・事業マネジメント▽連携・協働と説明責任=市町村等の関係機関との連携・協働と説明責任の重視。
〈骨格幹線道路ネットワークの形成〉
▽既存の高規格幹線道路及び有料道路=西名阪自動車道、名阪国道、京奈和自動車道、第二阪奈道路、南阪奈道路。
▽ネットワーク形成の骨幹となる4車線道路=国道24号、国道308号(大宮道路、三条道路)、県道中和幹線、(都)大和中央道、県道枚方大和郡山線等。
▽大和平野部等を縦横断する2車線道路=国道25号、国道163号、国道168号、国道169号等。
▽南部・東部地域を縦横断する道路=国道165号、国道166号、国道168号、国道169号、国道309号、国道369号等。
▽ICアクセスを確保する道路=県道大和高田斑鳩線、県道桜井田原本王寺線、県道御所香芝線。
▽有料道路のみとなる区間に並行する道路=県道天理王寺線、県道天理斑鳩線。
この計画策定以降の事業進捗を踏まえ、骨格幹線道路ネットワークの形成に向け①路線の線的整備の推進②結節点の点的整備の推進③課題箇所の面的検討―の事業展開を図る。併せて全国新幹線鉄道整備法に基づく基本計画及び中央新幹線の建設に関する整備計画において、主要な経過地として「奈良市附近」と決定されているリニア中央新幹線の中間駅など重要施設に対するアクセス道路のあり方などの検討を進める。
〈奈良県経済の進展に対応した目的志向の道路整備の推進〉
経済の活性化と県民の暮らしの向上や地域資源を活かした観光振興を図るため、骨格幹線道路ネットワークの形成と併せてネットワークからのアクセス性向上、身近な生活道路の課題解決、適切な役割分担による域内交通の充実等として①企業立地を支援する②観光振興に資する③まちづくりに資する―道路整備を推進する。
〈安全・安心を支える道路整備の推進〉
紀伊半島アンカールートとして国道168号(新天辻工区)、国道169号(高取バイパス、御所高取バイパス)の事業を推進するほか、国に対し、実施中の直轄権限代行事業(国道168号長殿道路、風屋川津・宇宮原工区、十津川道路(Ⅱ期)、国道169号伯母峯峠道路)の早期整備の推進を働きかけていく。
さらに▽役場や災害拠点病院等へのアクセスの改善▽災害時の安全かつ円滑な移動の確保▽道路防災・減災対策の推進▽県南部・東部地域の生活拠点を中心とした安全な道路整備の推進▽無電柱化の推進―に取り組み、計画的な維持管理のため事後保全から予防保全への転換を促進する。
〈整備に当たっての条件・配慮事項〉
▽風格ある景観形成と環境への配慮=①観光地等における総合的な景観形成②設計水準の底上げ③環境への配慮。
▽道路ストックの有効活用と効率的な整備=①既存道路の効果的活用②道路ストック活用等による効率的な整備の推進③最適なストック管理の推進④無電柱化の推進⑤多様な交通モードとの連携。
▽使い易さの追求=①分かりやすい案内標識の整備②適時かつ的確な道路情報の提供③バリアフリー化、ユニバーサルデザインの推進。
▽新たなニーズの把握=①観光地等における道路交通実態の把握②県南部・東部地域の生活拠点を中心とした安全な道路の実態把握。
【奈良県無電柱化推進計画】
計画期間は2024(令和6)年度から5ヵ年。計画目標は防災電柱倒壊リスクがある市街地等の緊急輸送道路における無電柱化着手率を2%→6%。安全で災害にもしなやかに対応できる「脱・電柱社会」をめざすため①新設電柱を増やさない(特に緊急輸送道路については無電柱化を推進して電柱を減少させる)②徹底したコスト縮減を推進して限られた予算で無電柱化実施延長を延伸する③事業の更なるスピードアップを図る―の姿勢で無電柱化を推進する。
無電柱化を推進するためには電線共同溝方式に加えて単独地中化方式などのさまざまな手法を活用してより安価な手法により整備していくことを基本とし、次の構造及び手法により実施する
▽無電柱化の構造=管路構造(ケーブルを収容する管路と分岐器等を収容する特殊部により地中化する方式)、小型ボックス構造(管路の代わりに小型化したボックス内に複数のケーブルを収容して埋設する方式)、直接埋設構造(ケーブルを地中に直接埋設する方式)、軒下配線(建物の軒等を活用して電線類の配線を行う方式)、裏配線(表通りの無電柱化を行うため裏通り等へ電柱・電線等を移設する方式)。
▽事業手法=電線共同溝方式(電線共同溝の整備等に関する特別措置法に基づき道路管理者が電線共同溝を整備して二者以上の電線管理者が電線と地上機器を整備する方式)、自治体管路方式(管路設備を地方公共団体が整備して残りを電線管理者が整備する方式)、要請者負担方式(要請者が整備する方式)、単独地中化方式(電線管理者が整備する方式)。
無電柱化を実施する対象道路の選定に当たっては、奈良県緊急輸送道路ネットワーク計画や奈良県地域防災計画、現在策定に向けて検討を進めている(仮称)奈良県域道路啓開計画など関係するさまざまな計画を踏まえ、それらの計画の実施にも資するよう留意する。