一般記事

県文化財保存事務所 空間文化開発機構で 玉置神社社務所及び台所石垣調査

2024.7.2 県文化・教育・くらし創造部

奈良県地域創造部文化財保存事務所は、一般競争入札「重要文化財玉置神社社務所及び台所石垣調査業務6文保委第1号」を開札、空間文化開発機構(大阪市中央区大手前1丁目4―12)が落札した。業務場所は十津川村玉置川1の玉置神社境内。業務は重要文化財玉置神社社務所及び台所の下部石垣の調査を行い修理範囲及び補強方法を検討するもの。委託期間7年3月28日。
 重要文化財玉置神社社務所及び台所は標高1076㍍の玉置山の山頂付近に位置、旧高牟婁院の客殿及び庫裡として文化元年(1804年)に竣工した建物。対象建物は高さ3~5㍍の石垣上に建っている。石垣は全体に顕著な孕出し・詰石の抜けが生じており、上部建物の保存のため早急に修理が必要。担当は事業係(電話0742―27―9865)。
 社務所は桁行22・0㍍梁間15・9㍍の一重で入母屋造(西面唐破風付、東面及び西面突出部附属、地階付、銅板葺)、台所は桁行9・0㍍梁間8・9㍍の一重で東面入母屋造(西面は社務所に接続、銅板葺)。石垣(今回検討対象)は東西約51㍍立面積196平方㍍で、高低差3~5㍍×上下3段の国指定史跡。
この業務では、石垣の現況を調査したうえで基本図面の作成を行う。また、破損状況を踏まえて文化庁文化財部記念物課監修「石垣整備のてびき」に従って必要な積み直し範囲と補強方法を検討する。業務内容は次の通り。
▽写真測量=ドローン・一眼カメラ等を用いて三次元写真測量を行い、写真測量の結果を踏まえて石垣の各面について平面・立面オルソ画像を作成する。また、オルソ画像より平面図・立面図・断面図を作成する。
▽破損調査(石垣カルテ作成)=石垣の規模(延長、高さ、勾配)・様式(平面形態、立面形状、加工技法等)・破損状況(孕出し、詰石の抜け)等を確認する。
▽修理工法検討=①破損状況を踏まえて必要な積直し範囲を検討し、修理工法案を3案策定する。上部に重要文化財建造物が位置するため充分に荷重を支持できることが必須条件。各案の内容は基本設計程度とする(実施設計は別途発注予定)②策定した各補強案について概算工事費(石垣の解体復旧・建物の基礎工事に要する経費とし、発掘調査経費は含まない)を算出する。

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