一般記事

国・県 本復旧はトンネル施工 国道169号下北山村上池原

2024.6.28 国交省県土マネジメント部

国土交通省近畿地方整備局奈良国道事務所は6月27日、一般国道169号線下北山村上池原で起きた崩土の本格復旧を、別線トンネルルートで行うと公表した。26日に、第3回国道169号下北山村上池原防災対策検討委員会を開催。地質調査の結果と本格復旧案の検討がなされた。
本格復旧案は、原位置復旧案(アンカー工)、ダム湖側橋梁案、山側トンネル案が検討された。トンネル案は工期が約4~5年、費用が約180億円と、他の案に比べて優れている。トンネルは延長約2・7㌔㍍(総延長約2・9㌔㍍)が見込まれており、深層崩壊が発生しても影響が及ばない位置に施工する。標準的な山岳トンネル工法(NATM)での施工が可能で、維持管理の方法は一般的なトンネル定期点検となる。
トンネル案の概要は次の通り①前鬼橋の線形は変更しない②南側の杭口(上池原交差点付近)を斜面に直行させるため曲線を設置③前鬼橋~南側杭口(上池原交差点付近)を結ぶための曲線を設置④杭口間と被災箇所の深層崩壊と交差する箇所において、想定すべり面から2D(D:トンネル掘削径)を確保する。
地質調査の結果では、被災箇所の浅層に強風化帯があり、崩壊危険性が最も高いことが判明した。深層には緩み域が存在しており、深層崩壊の危険性がある。被災箇所の周辺は直ちに崩壊する危険性が低く、対策の必要性はないが、継続的に監視する必要がある。また、国道169号の全線にわたり地すべりや重力性変形に伴う緩み地形があることが分かった。
本格復旧の決定を受けて山下知事は「国道169号は紀伊半島全体の防災機能を向上させるととともに、地域の生活や救急医療を支える命の道。国交省と連携し、災害復旧事業への協力を積極的に進めて早期完成に努める」とコメントした。

会員登録
一覧に戻る