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国交省 世界遺産登録に向けて 第2回明日香村小委員会
2024.6.25 国交省
国土交通省都市局公園緑地・景観課は去る14日、明日香村役場で、「社会資本整備審議会都市計画・歴史的風土分科会歴史的風土部会第2回明日香村小委員会」を開催した。明日香村における歴史的風土の保存及び生活環境の整備等について推進方策を審議した。
同会では、現行の第5次明日香村整備計画(令和2年度~11年度)の当面の取組みについて方向性を議論し、令和12年度以降を見据えた議論が行われた。現状の課題は、観光収入を増やす仕組みづくりや、同村の世界遺産登録に向けたストーリー性の欠如、レンタサイクルにおける雨宿りの案内表示や避難場所の不足、農業の担い手不足とその高齢化などが挙げられた。
森川裕一明日香村長は同村観光の高付加価値化を目指しており、取り組んでいる事業を紹介。オーバーツーリズム対策や観光協会と連携して進めているプロガイド制度について説明した。
プロガイド制度は、審査を通過したガイドが個別に魅力あるストーリーを作成し、観光案内に生かす取組み。応募者84名のうち20名を選定し、5名が今年の3月に1期生として認められた。今後2年間で20名程度を集めることを目標に検討している。
オーバーツーリズム対策では今年の秋に向けて、駐車場の事前予約と、施設の入場券・周遊バスのフリーパスをセットにした共通券を作成中。乗り換え案内アプリなどを手掛けるジョルダン(東京都新宿区新宿)に委託して進めている。その他、朝と夜に分けた観光プログラムの作成などが検討されている。
同村を横断する一般県道多武峯見瀬線(島庄工区)は、石舞台古墳などへアクセスできる重要な路線として、拡幅工事とバイパス整備が進められている。平成28年度に事業化され、今年度は擁壁工、文化財調査、用地買収等が行われる。事業概要=延長約0・5㌔㍍W12・0㍍、車線数2車線、設計速度40㌔㍍/h。
東京大学総括プロジェクト機構特任教授の横張真委員長は、長崎県の世界遺産登録に携わった経験から、「ストーリー作りはかなり重要。日本人だけでなく世界に通用するストーリーを作る必要がある」と見解を示した。
筑波大学システム情報系社会工学域教授の谷口守委員は交通専門の視点から観光戦略を提案。同村全体を博物館に見立てた施策として、事前予約がない場合は駐車代金を値上げする方法を紹介した。「村内を見て回ったが、これほど太陽光パネルを見かけなかったのは珍しい。また、明日香村が先陣を切って縦割り打破に取り組んでいると思う。他市町村への浸透も期待している」と述べた。
福谷健夫副知事は山下真知事の代理で出席。農業の担い手不足対策でドローン等を活用する意見を聞き、「古い農法に魅力を感じる若い人もいる。一方で、田植え機などの重機は年間の稼働日数が数日にも関わらず、各戸で保有していたりする。共有化すれば楽になると思う。うまく誘導し、負担を減らせれば」と元県農林部長としての一面を覗かせた。
当日は13時から16時頃まで、森川村長が委員と同伴して村内を案内。翌日も午前中、同村の魅力を伝えながら委員と共に村内を巡った。