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県下水道課 導入可能性を調査 流域下水道事業ウォーターPPP 民間参入事業スキーム等決定へ 一般競争入札を3月18日に開札
2024.3.5 県土マネジメント部
奈良県県土マネジメント部下水道課は、令和6年度に県流域下水道事業においてウォーターPPPを含む官民連携の導入可能性調査を行うことにしている。詳細な業務範囲を設定して民間事業者への参入意向調査を踏まえ、導入効果を把握し事業スキーム等を決定するもの。
一般競争入札「奈良県ウォーターPPP導入可能性調査業務委託(社会資本整備総合交付金事業)R5浄化委第14号・第二委第10号・宇陀委第5号・吉野委第4号」を3月18日に開札して業務を委託する。業務場所は大和郡山市額田部南町他。業務概要はウォーターPPP導入可能性調査業務1式。委託期間7年3月21日。
県流域下水道事業においては下水道施設の老朽化に伴って改築・更新需要量が増大していくなか、膨大な下水道施設を限られた予算内で適正に管理し、施設の維持管理や改築修繕を一体的に捉え、持続的な下水道事業の実施をめざしている。令5年6月の内閣府「PPP/PFI推進アクションプラン」の改定を受け、民間の経営ノウハウの導入による持続可能性の確保等を図る観点から、下水道分野でのウォーターPPPの導入検討が求められている。
今回の業務に必要となる上位計画・関連計画と維持管理情報及び建設改良情報の収集・整理を行い、導入可能性を調査する。問い合わせ先等は下水道係(電話0742―27―7525)。対象施設は次の通り。
▽大和川上流・宇陀川流域下水道事業(第一処理区)=①管路施設9万6410㍍②浄化センター(計画日最大汚水量29万896立方㍍/日)③南奈良幹線・竜田川幹線・信貴山幹線中継ポンプ場。
▽大和川上流・宇陀川流域下水道事業(第二処理区)=①管路施設6万9430㍍②第二浄化センター(計画日最大汚水量15万9445立方㍍/日)。
▽大和川上流・宇陀川流域下水道事業(宇陀川処理区)=①管路施設9260㍍②宇陀川浄化センター(計画日最大汚水量6282立方㍍/日)③菟田野・大宇陀ポンプ場。
▽吉野川流域下水道事業(吉野川処理区)=①管路施設2万3470㍍②吉野川浄化センター(計画日最大汚水量2万1248立方㍍/日)③下市・野原ポンプ場。
【現状分析及び課題抽出、対応策の検討】
▽現状分析及び課題抽出・整理=現状の事業運営上の問題点について外部環境・内部環境の両面で分析し、課題抽出を行う。抽出した課題は取り組むべき優先順位を踏まえて時間軸で整理する。
▽関係者へのヒアリング=既存施設の維持管理状況に関して関係者へのヒアリングを実施し、維持管理状況(運転管理、保守・修繕、苦情対応等)を確認したうえで課題等を整理する。特に管渠に関しては年間の陥没等(本管補修・清掃、人孔蓋補修・清掃、取付管布設替・補修・清掃、苦情処理等)の発生件数の確認・整理とそれに関わる人員及び委託状況も合わせて整理する。
▽執行体制の確認=業務執行体制に関して現状の課題や問題点を確認・整理を行う。
▽課題への対応策の検討=整理した課題に対し、PPP/PFI手法によって対応すべき項目及び対応策(案)を検討する。さらに対応策の項目(組織、人員、施設、管路、財政)についても整理・検討する。
【PPP/PFI手法の比較検討】
▽導入可能性のあるPPP/PFI手法の選択=県の下水道事業においてウォーターPPPによる官民連携の適応性を検討するため下水道事業における官民連携の事例を整理する。そのうえで整理した対応策を実現可能なPPP/PFI手法を2~3程度に絞り込む。PPP/PFI手法には管理・更新一体マネジメント方式(更新実施型、更新支援型)を含む。
▽事業スキームの検討=候補となったPPP/PFI手法に対して業務範囲・対象施設・事業期間と簡易なVFMを検討する。検討は当該事業の施設規模や維持管理状況に留意するとともに、ウォーターPPPの可能性を検討する際は管渠に関する維持管理と改築更新等を含める。
【マーケットサウンディング調査】
以上の整理及び検討結果を踏まえ、民間企業の参入意欲や官民連携における業務内容に対する意見や参画に当たっての課題を把握するためにマーケットサウンディング調査を実施する。なお、マーケットサウンディング調査はアンケート調査→説明会→個別対話の手順で行うことを想定し、想定される官民連携における委託費に対するヒアリングを含む。
▽調査準備=県調査職員との協議のうえで対象となる民間事業者一覧を作成し、アンケート票素案と説明会資料及び個別ヒアリング用資料を作成する。
▽調査の実施及び取りまとめ=アンケート結果の集計、説明会及び個別ヒアリングを実施し、議事録を作成するとともに意向調査結果をとりまとめる。
【事業手法の評価(PPP/PFI手法の選定)】
▽PPP/PFI手法の選定=候補となっている PPP/PFI手法についてサウンディング調査結果を含む各種情報をもとに総合的な評価を行い、実現可能な手法を選定する。
▽調達方法の選定及び課題整理=調査結果を踏まえ、今後の課題等を整理するとともに円滑な事業化に移行するための事業者等の公募方式や公募スケジュール等について検討する。また、管理・更新一体マネジメント方式を採用した場合は、コンセッション方式への移行を前提とした事業方式であるため第二期事業としてのコンセッション方式移行に際しての課題や基本的な事業スキームとロードマップを作成し、今後に実施すべき事項を整理する。
【法的制約・官民リスク分担検討】
PPP/PFI事業を実施するに当たって遵守すべき法令や補助制度などの支援措置や課題を整理し、課題をクリアする方策等について先行事例を参考に検討する。また、PPP/PFI事業の実施に当たり特に留意すべきリスクを特定し、そのリスク分担を検討してリスク分担表として整理する。
【導入効果の検証】
▽VFMの算定=公設公営及び官民連携導入時の概算事業費を算定し、VFMを算出する。公設公営方式の概算事業費は従前の官積算方法に倣って必要に応じて見積徴収する。ウォーターPPP導入時の概算事業費は参入意向調査において参入意向を確認できる複数社を対象に見積徴収する。
▽導入効果の評価=導入効果は施設管理(モノ)・財務管理(カネ)・執行体制(人)の視点で定量的・定性的に評価する。特に執行体制(人)については業務を個々の活動に分類し、細分化した活動ごとの原価を算出するABC分析(ActivityBasedCosting:活動基準原価計算)手法を用いて定量的に評価する。
【モニタリング体制・方法の検討】
官民連携の実施期間におけるモニタリング体制・方法について検討する。検討に当たってはストックマネジメント計画等における内容と連動したモニタリング方法を考慮する。また、県職員における技術力の確保について考慮する。
【報告書作成】
各種検討結果をとりまとめ、報告書を作成して提出する。