奈良県県土マネジメント部河川整備課は、第１０５回奈良県河川整備委員会（委員長・川池健司京都大学防災研究所教授）を、さる１８日にホテルリガーレ春日野（奈良市法蓮町７５７―２）で開催し、大和川水系（平城圏域）の事業再評価について議論した。次回の委員会は令和６年３月に開催して進捗点検（環境モニタリング調査結果を含む）の取りまとめを行う予定。
１０年に１回程度で発生する降雨に対応する事業で、再評価の対象である秋篠川西ノ京工区と秋篠工区、地蔵院川郡山工区、菰川、能登川の４河川５工区について、いずれも事業の必要性等に関する視点及び事業の進捗の見込みの視点から「事業継続が妥当」との事務局案を了承した。
また、６年度に実施予定の大和川水系（布留飛鳥圏域）の進捗点検における環境モニタリング調査の対象とする河川と区間に、布留川南流Ｂ９００㍍、寺川２６５０㍍、米川１９００㍍の３河川を新規設定した。
委員会ではまず、第１０４回奈良県河川整備委員会での議事概要と委員からの意見への回答を確認し、大和川水系（平城圏域）における事業再評価に係る県からの説明を受けた。
大和川水系（平城圏域）では、秋篠川西ノ京工区約６００㍍と秋篠工区約２２００㍍、地蔵院川郡山工区約３０００㍍、菰川約３３００㍍、能登川約７００㍍の４河川５工区を対象に平成３０年度以来となる事業再評価を実施した。担当は河川計画係 （電話０７４２―２７―７５０７）。各河川改修事業の再評価は次の通り。
【秋篠川】
西ノ京工区（奈良市西ノ京町の下堂橋～出垣内橋）約６００㍍のうち下堂橋から約２００㍍が整備済で未整備約４００㍍、５年度は右京橋下流の護岸工を施工中、今後も上流へ向かって整備を進める予定。当面の目標は今後５年間で右京橋の近接施設の農業用サイフォンの移設をめざし、同時に護岸も整備する。
秋篠工区（奈良県営競輪場付近〈奈良市秋篠町〉～学園放水路合流点付近〈中山町〉）約２２００㍍のうち中山橋上流までの約１２７０㍍が整備済で未整備約９３０㍍、５年度は１号堰の改修を進めている。当面の目標は今後５年間で中山橋～外山橋の２００㍍の完了をめざす。
西ノ京工区では今後の事業進捗について大きな問題はなく、改修を進めることができる。秋篠工区では中山橋～外山橋は用地買収済であることから改修を進めることができる。残事業費１８億９０００万円（建設費１７億円、維持管理費１億９０００万円）。
【地蔵院川】
奈良工区は完了し、郡山工区の佐保川合流点（大和郡山市稗田町）～県道木津横田線（上三橋町）約３０００㍍のうち大久保井堰下部工の右岸側までの約１３５０㍍が整備済で未整備約１６５０㍍、５年度は大久保井堰の下部工の左岸側及び上部工を整備中で、今後も上流へ向かって整備を進める。当面の目標は今後５年間で大久保井堰上流の前川合流点～市道橋の２５０㍍の完了をめざす。
今後の事業進捗について大きな問題はなく、改修を進めることができる。引き続き事業を推進し、浸水被害の早期解消を図る。残事業費２７億４０００万円（建設費２４億７０００万円、維持管理費２億７０００万円）。
【菰川】
佐保川合流点（奈良市八条町）～一級河川上流端（法華寺町）約３３００㍍のうち佐保川合流点～第二大芝橋下流の約２７８０㍍が整備済で未整備約５２０㍍、５年度以降も上流へ向かって整備を進める予定で２２号井堰と２３号井堰について２３号井堰に統合する計画で同意済。当面の目標は今後５年間で井堰水利権者との交渉を行うとともに、神明橋から上流部の河床掘削を引き続き行い、工事完了をめざす。
上流へ向けて整備を進めている。また、井堰改修についても順調に地元協議が進んでおり、改修を進めることができる。残事業費２億１０００万円（建設費１億９０００万円、維持管理費２０００万円）。
【能登川】
奈良市南京終町の京終橋～ＪＲ桜井線約７００㍍は未改修。未整備区間は交通量が多い道路や宅地が隣接し、地下埋設管が多く埋設されている区間を流れている。地元との用地交渉等を継続的に行った結果、用地を広げることなく施工を行うことができる矢板護岸工の設計を進めている。
架替が必要となる恵比寿橋については、周辺に重要なインフラ設備が多くあり、架替時にはインフラ設備の休止・移設が必要となるため、設置位置等の調整・検討に時間を要している。
５年度は橋梁・護岸の設計を行いつつ、地下埋設業者との協議を継続して行っている。当面の目標は今年度と来年度でＮＴＴや大阪ガスとの協定書締結に向けた協議を完了し、恵比寿橋まで矢板護岸工の整備を進める。
工法変更を行って河川改修を実施することで早期に浸水被害の解消を図るため、引き続き事業を推進する。残事業費１１億８０００万円（建設費１０億７０００万円、維持管理費１億１０００万円）。
（吹上）