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環境アセス調査を実施 一般国道169号バイパス事業 一般競争入札を12月19日に開札 下北山村前鬼~上池原に 約3㌔㍍の長大トンネル
2023.11.22 県吉野土木事務所
奈良県吉野土木事務所は、令和6年末にかけて一般国道169号のバイパス事業に係る環境影響について文献調査を行い、聞取り調査の結果から現地調査計画を策定し、動植物の現地調査及びそれらに対する予測評価、環境保全措置の結果を環境評価書に準じてとりまとめる。
一般競争入札「一般国道169号環境調査業務委託(道路改良事業等基礎調査(都づくり)(調査費補助)他)第補66―委1他号」を12月19日に開札して業務を委託することにしている。業務場所は下北山村前鬼~上池原。委託期間6年12月25日。予定価格4192万1000円込、調査基準価格3363万8000円込。
令和元年度に「国道169号(下北山村前鬼~音枝)」を新規調査路線として決定している。上北山村と下北山村・川上村は沿線でのリゾート開発プロジェクトの計画の立案を行い、県は線形不良区間におけるルート比較等の調査と、隣接橋梁(前鬼橋と鳥渡谷橋)の耐震・老朽化対策を検討するとともにそれらの事業展開を調整する。対象区間は約3・5㌔㍍、重点整備(線形不良)区間は中央部の約1・2㌔㍍、北端の前鬼橋と南端の鳥渡谷橋の老朽化・耐震化対策を行う。
このうち下北山村前鬼~上池原については、電源開発の水力発電所である池原ダム貯水池沿いの現道のバイパスを西側に新設する予定で、延長約3㌔㍍の長大トンネルを計画している。今後は予備設計等を実施して新規事業化路線へ格上げされる見通し。今回の業務の内容は次の通り。
【設計計画】
業務の目的・主旨を理解したうえで業務計画書を作成する。また、過年度の業務成果その他必要な資料の収集及び確認を行う。
【資料収集整理】
当該地域の地域特性(自然的状況並びに社会的状況)に係る県内を対象とした資料の収集・整理を行う。
【文献調査】
収集した資料について▽自然的状況=動植物の生息または生育と植生及び生態系の状況▽社会的状況=①環境の保全を目的として指定された地域その他の対象及び当該対象に係る規制の内容②その他の環境の保全に関する施策の内容―をとりまとめる。
【現地調査計画(案)作成】
学識経験者の意見を聞き現地調査計画(案)を作成する。意見聴取は5名各1回を予定。
▽環境影響評価項目の選定=対象事業に伴う影響要因が当該影響要因により影響を受けるおそれがある環境要素に及ぼす影響の重大性について客観的かつ科学的に検討する。環境影響評価項目は「奈良県環境影響評価技術指針」を参考に、対象事業の事業特性並びに地域特性の情報を踏まえて適切な項目を選定、削除または追加する。
▽現地調査計画(案)の作成=選定した環境影響評価項目より現地調査を必要とする項目を抽出して現地調査計画(案)を作成する。案では事前に現地踏査を行い、現地状況を確認したうえで調査手法と調査地点(範囲)や調査頻度を明確にする。
【現地調査】
計画に基づき対象地域及びその周辺における動植物の現地調査を実施する。
▽爬虫類・両生類調査=生息状況を現地踏査により把握する。調査回数は3回、出現種を整理して重要種の位置情報等を記録する。
▽陸産貝類調査=生息状況を現地踏査により把握する。調査回数は2回、出現種を整理して重要種の位置情報等を記録する。
▽猛禽類調査=生息状況及び営巣状況を定点調査により把握する。4定点で調査回数は8ヵ月×1シーズンで各月1回とし、3日間連続/月の観察を行い、出現状況(位置、種類、行動、観測時間等)を記録する。
▽植物調査=生育状況を現地踏査により把握する。調査回数は3回、出現種を整理して重要種の位置情報等を記録する。
【動植物への影響予測】
現地調査(動植物調査、猛禽類調査)の結果をとりまとめ、重要種を抽出して予測条件を設定し、予測・評価を行う。
【環境保全措置の検討】
環境保全措置は複数案を示し、設計状況・事業状況を踏まえて実施可能な方法・時期等を検討する。また事後調査の必要性についても検討する。
【有識者ヒアリング】
動物・猛禽類・植物の調査結果の整理・とりまとめの内容及び動植物・生態系の予測評価について有識者の指導・助言を得るためにヒアリングを行う。
【国立公園許可申請関係資料作成】
以上の項目をとりまとめ、国立公園許可申請関係資料を作成する。
【報告書作成】
以上の項目をとりまとめた報告書を作成する。 (吹上)