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富雄川河川予備修正設計業務 河川線形と整合を 阿波興留など5井堰統廃合へ 業平橋の先行架替へ概略設計等も

2023.6.30 県郡山土木事務所

 奈良県郡山土木事務所は、富雄川河川整備に係る西安堵井堰の上流に位置する阿波興留井堰と、さらに上流に位置する4井堰について水利組合と井堰統廃合に向けた協議を重ねており、令和5年度に阿波興留井堰~米寿橋間の河川線形及び河川縦断を見直すことにしている。
 総合評価落札方式一般競争入札「富雄川河川予備修正設計業務(特定都市河川浸水被害対策推進事業(河川改修))4―4―委―1号」を8月2日に開札して業務を委託する。業務場所は斑鳩町高安他。業務概要は河川予備修正設計1式。委託期間6年3月29日。予定価格2814万9000円込、調査基準価格2259万4000円込。
 富雄川は、生駒市北部の「くろんど池」に源を発し、矢田丘陵と西の京丘陵の間を流下し、奈良市・大和郡山市を経て斑鳩町と安堵町の境で大和川に合流する一級河川。富雄川では、昭和39年度に中小河川改修事業として補助事業に採択され、地域の水害に対する安全・安心を確保するため河川改修事業を実施している。洪水による災害の発生の防止または軽減として、概ね10年に1回程度の確率で発生する降雨による洪水を安全に流下させることとする。
 大和川水系生駒いかるが圏域河川整備計画に位置付けられる富雄川のうち安堵工区は、安堵町笠目の高瀬井堰~大和郡山市外川町の外川橋の区間約5500㍍。現況の河道法線をもとに河道断面の拡大(河床掘削)を行う。高水敷は河川空間の利用が図れるよう整備に努める。また、広域自転車道整備とも連携しながら河川工事を実施するとともに、周辺の田園・集落の景観に調和した自然環境の復元を図る。
 富雄川の富雄橋より下流の区間は「大和川水系河川整備計画生駒いかるが圏域」(平成14年2月策定)において整備区間として位置付されており、このうち1・5㌔㍍付近までの河道拡幅と護岸整備並びに河川構造物の改築等による河川改修が完了しており、現在は西安堵井堰の上流側取合部分の改修を実施している。
また、その上流の1・8㌔㍍付近に位置する阿波興留井堰についても令和3年度に内外エンジニアリングに委託して「富雄川阿波興留共同井堰詳細設計業務(大規模特定河川事業(河道掘削))第4―3―委―1号」により詳細設計を完了しており、さらに上流に位置する茶の前・籠池取水・軒及び高安上の4井堰(古池・中池・籠池の3ため池も関連)については現在、左岸側の高安水利組合と井堰統廃合に向けた協議を重ねている。また、「富雄川安堵工区井堰統廃合検討業務(防災・安全社会資本整備交付金事業(総合治水)(臨時・特別))第4―2―委―1号」を建設技術研究所により行っている。
しかし、河川線形については元年度に「富雄川河川予備修正設計業務委託(防災・安全社会資本整備交付金事業(総合治水))第4―2―委―5号」によりニュージェックに委託して一度見直し検討がされているものの、各井堰の設計及び協議状況が反映されていないことから、整備計画区間内の河川線形及び河川縦断について整合を図る必要が生じている。
他方、右岸側の高安西地区における浸水被害軽減の効果早期発現に向け、最も流下能力が低い業平橋交差部の橋梁架替の先行実施等による暫定改良についても早急に検討する必要が生じている。
このためこの業務では既往成果及び地元協議結果を河川整備計画に反映する必要から、阿波興留井堰から米寿橋までの河川線形及び河川縦断を見直し、関係機関との協議資料を作成するとともに、今後の富雄川河川整備計画としての同施行区間の河川改修事業の基礎資料を整理することを目的とする。そのうえでこれにより得られる河川計画に基づき、業平橋架替等による暫定改良計画を立案することも合わせて業務の目的とする。
この業務の設計範囲は富雄川1・5㌔㍍(西安堵井堰)~3・2㌔㍍(米寿橋)間の延長1・7㌔㍍。なお、流入支川(秋葉川、芦川)の支川取付部を含む(図参照)。計画準備と資料収集・整理後に行う業務内容は次の通り。
▽現地踏査=ボトルネックとなる箇所や各井堰と用排水系統を把握するため、業務に必要となる事柄について現状把握を行う。
▽縦断線形検討=既往資料に基づき縦断計画を整理する。原則として河川整備計画を踏襲するが、可能な限り水位低下を図ることを目的として断面形状の見直しを含めた縦断計画の見直しについても検討する。
▽平面線形検討=既往資料に基づき平面線形を整理し、施工済区間の河川線形並びに設計完了若しくは設計中の河川構造物(井堰)の設計との整合を図るとともに、左岸側に位置するため池への影響を最小限に抑えるように米寿橋までの平面線形の検討を行う。また、今後の詳細設計並びに施工の基礎資料(データ)として座標計算結果をとりまとめる。
▽代替施設(案)の検討=平面線形検討結果により水利組合施設(ため池)に影響を及ぼす場合はその代替案を検討し、関係機関協議を行う。
▽業平橋概略設計及び先行架替による暫定改良計画立案=縦断線形及び平面線形計画を基に、下流の茶の前井堰の改修に先行してボトルネックである現況の業平橋の架替を行うための暫定改良計画の立案を行う。その際に業平橋の概略設計を行うとともに、業平橋の次に流下能力が低い茶の前井堰付近と同等の流下能力を確保した暫定計画断面を設定し、茶の前井堰存置の状況下でも他の河川構造物への影響を最小限に抑えることを最優先に計画を立案する。
▽設計図面作成=以上の検討結果として計画平面図と計画縦断図並びに計画横断図を作成する。
▽概算数量並びに概算事業費算出。
▽関係機関協議資料作成=この業務以降に実施される地元自治体や地元住民・水利組合及び河川整備課と堤防兼用道路管理者との協議に際しての協議資料を作成する。
▽報告書作成=検討結果について業務成果を簡潔にとりまとめるとともに、今後の設計並びに施工を実施するうえでの留意事項を整理する。

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