一般記事
新規事業設計書を作成 安位川流域砂防全体計画策定
2023.2.9 県高田土木事務所
奈良県高田土木事務所は、安位川流域で土石流と流木による土砂災害を防止し、県民の生命と財産及び生活環境を守るため流域における砂防全体計画を立案し、令和5年度に新規砂防事業の認可設計書を作成することにしている。
総合評価落札方式一般競争入札「安位川流域砂防全体計画策定業務委託(砂防関係調査費)第3―4―委1号」を3月9日に開札して業務を委託する。業務場所は御所市櫛羅。業務概要は砂防全体計画策定1式。委託期間6年1月31日。予定価格1122万円込、調査基準価格900万9000円込。
安位川流域(位置図参照)では、平成29年台風21号による豪雨に伴い、上流部で崩壊が発生し、土砂・流木が流域内に残存している状況であることから、土石流と流木による土砂災害を防止し、土砂災害から県民の生命と財産及び生活環境を守るため流域における砂防全体計画を立案し、その基本となる発生土砂量及び流木を決定するための調査、施設の配置計画を実施し、その成果を取りまとめるとともに、新規砂防事業の認可設計書を作成する。なお、計画の策定においては、流域内の自然環境や保全対象地域の歴史・文化等の特性及び経済性を総合的に評価する。業務内容は次の通り。
▽計画準備=業務の目的と主旨を把握したうえで業務計画書を作成する。
▽資料収集・整理=業務に必要な文献・資料と既往の類似調査に関する報告書の収集・整理を行う。
▽流域調査=現地調査及び文献・既存資料調査(机上調査)に基づき①地形・地質調査(荒廃地状況調査、谷次数区分図の作成、渓床勾配の把握、地質調査)②移動可能土砂量調査③植生調査④河床材料調査⑤気象・降雨量調査⑥災害履歴調査⑦既設工作物調査⑧保全対象・警戒避難体制調査⑨法規制状況調査―に関する流域調査を実施する。
▽計画流出量の算定=「奈良県砂防技術指針(案)」等に基づき、計画規模と計画基準点等を決定したうえで流域調査結果を基に計画流出量を算定する。計画流出土砂量の算定は移動可能土砂量と計画規模の土石流によって運搬できる土砂量を比較して小さい値を採用する。
▽砂防施設配置計画=計画基準点において計画流出量(計画流出土砂量・計画流出流木量)-計画流下許容量-(計画捕捉量+計画堆積量+計画発生〈流出〉抑制量)は0を満足するように、3案比較により合理的かつ効果的な砂防設備の配置を検討する。また、地形条件や計画地点へのアクセス方法と整備効果等から整備の優先度を検討する。
▽砂防施設概略設計=谷次数区分図で用いた地形図をもとに計画施設(砂防堰堤工・流木捕捉工・付替道路等)の概略設計を行う。
▽計画施設概算工事費の算出=対策工の工種ごとに概算数量を求めて概算工事費を算定する。
▽被害軽減額と上限事業費等の算出=流域内の資産資料と災害実績図等既存資料及び現地調査に基づき想定氾濫区域(被害を受ける恐れのある区域=土石流氾濫区域)を設定し、土地利用・資産(人家、耕地、公共施設、鉄道、道路等)により直接・間接被害額を算定して砂防工事の実施による費用便益効果(B/C)を算定する。
▽報告書作成=以上の調査内容、結果をとりまとめて報告書を作成する。
▽認可申請書作成。