一般記事

金峯山寺 仁王門(国宝)保存修理工事

2022.4.28 その他県文化・教育・くらし創造部

解体前の限定公開
令和10年の完成予定

 吉野山の金峯山寺「仁王門」(国宝)の解体修理工事が進められているが、4月23、24の両日、限定公開された。
 仁王門は、正平3年(1348)の高師直軍により罹災後の康正2年(1456)、もしくは元弘3年(1333)の鎌倉幕府軍の攻撃による罹災後の延元3年(1339)頃に建立されたとされる境内最古の建造物。木造重層入母屋造り、本瓦葺、三間一戸の二重門で、棟高20・23㍍、軒高〔初重〕7.03㍍、〔二重〕13.105㍍、平面席178・3平方㍍、軒面積722・2平方㍍、屋根面積678・5平方㍍。巨大な金剛力士像(重文)を安置していた。昭和18~25年に大規模な解体修理を受けているが、現在、礎石に不同沈下や割れ、小屋組内部には多くの虫害、外部には著しい風食などが見られ、瓦の劣化も激く落下の危険性が高まっていることなどから修復が急がれていた。
 今回の修復は、全て解体して、破損・劣化している部材を交換し組み立て直す解体修理で、耐震診断により構造補強が必要な結果が出ていることから基礎工事から行われる。
 昨年5月に着工し、現在、作業用の足場と全体を覆う素屋根が完成し、解体に着手する準備が整っている。完成は、令和10年の予定。
 2日間にわたり行われた見学会は、午前10時~午後4時の定時スタート各会40人限定で、解体前の最後の公開が行われた。見学者たちは、県文化財保存事務所の係員の先導で足場に上がり、普段近づくことの出来ない仁王門の上層部分を間近にしながら、係員の説明に聞き入っていた。
 解体作業はこの後、瓦を降ろす作業に取りかかる。使用されている部材は、解体後に一つ一つ調査し、使用が可能か仕分けられる。現時点では、屋根瓦などはかなり痛んでおり、取り替えられる可能性があるが、主要部材は、2階の柱がかなり腐っている以外は、ほとんどが使用可能と見られており、腕木などの組み物関係は修理を施し再利用できそうだという。
 文化財保存事務所は、復元での現状変更は今のところ無いと見ている。また、門の左右に安置されていた仁王像は今回の修理にあわせて令和元年の夏に搬出、奈良国立博物館の文化財保存修理所で保存修理を終え、現在、同博物館で特別公開されている。
 なお、金峯山寺は同保存修理工事のための勧進を行っている。詳しくは金剛山修験本宗総本山金峯山寺(TEL0746―32―8371)まで。

会員登録
一覧に戻る