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建設業の「倒産予備軍」2万6000人 就業者10万人減が苦境に追い打ち
2022.4.13 その他
建設業界で倒産の恐れのある企業が約2万6000社に上ることが帝国データバンクの調査で分かった。新型コロナウイルスの影響で売り上げが落ち込む一方、資金繰りを賄うための銀行借り入れが膨らんでいる企業が多い。就業者の減少に伴う人手不足がそうした苦境に拍車をかけている。
政府は、中小企業が実質的に無利子・無担保で融資を受けることができる制度を設けるなど、コロナ禍に対応した支援策を強化している。
先ごろ発表した建設業界動向調査によると、令和3年に倒産した企業では直近の売上高が前期から平均で約26%減少。借入金などの有利子負債が月商の何倍に当たるかを示す有利子負債月商倍率は、平均で5・87倍に達していた。
通常、この倍率が5倍を超えると、有利子負債の返済が難しいといわれる。倒産企業では、売り上げの減少と借り入れの増加で、経営が行き詰まったとみられる。
その結果、両方の要件を満たす「破綻リスク先」は、調査対象の5・7%に当たる約2万6000社に上ることが判明した。
新型コロナの感染拡大前の平成30年は、破綻リスク先が約1万4600社だった。建設業界では、コロナ禍の影響で破綻リスク先が2倍近くまで増えたことになる。
こうした破綻リスク先の経営に、追い打ちをかけるのが人手不足だ。これには色々あるが、政府がコロナ禍で海外からの入国を制限しているため、技能実習生ら外国人労働者の確保が困難になっているという事情もある。
建設業界では、技術者や技能者の高齢化で退職者が増える一方、大卒者や高卒者ら若年層の入職が進まず、離職も多い。
総務省が今年2月1日に公表した労働力調査では、昨年の建設業の就業者数は482万人と、前年比で10万人減った。これは平成22年度に18万人減となった時以来である。
就業者の減少は、労務費や外注費などコストの上昇を招き、利益を圧迫する。帝国データバンクは、建設業の「人手不足倒産」が増える可能性や、政府の支援で延命している「倒産予備軍」が多く、今後は倒産が増加に転じるとみている。
(橋本)