奈良県五條土木事務所は、国道１６８号新天辻工区について令和４年度に、主要構造物で唯一残っていた第１号トンネル詳細設計に着手する。また、工事用進入路として利用する県道勢井宗川野線の拡幅工事を用地買収が進捗した所から開始し、順調に進捗すれば主要構造物の本体工事を発注できる可能性がある。
　県土マネジメント部道路建設課は、国道１６８号新天辻工区トンネルの設計・施工の基礎資料として、３年度末にかけて空中電磁探査及び高密度弾性波探査を応用地質に委託して実施しており、第１号トンネル（約５０００㍍）についても地山内部の地質・地下水状況等を確認することができたことから、詳細設計に着手することにしたもの。
　一般競争入札「一般国道１６８号新天辻工区空中電磁探査・弾性波探査業務委託（地域連携道路事業（都づくり）他）第１―４―委３３他号」は、落札した応用地質関西事務所に委託して実施。業務場所は五條市大塔町阪本～西吉野町阪巻。業務概要は空中電磁探査６・５㌔㍍、弾性波探査５・０㌔㍍。
　県道路建設課は、トンネルルート周辺で空中電磁探査及び高密度弾性波探査を実施し、地山内部の地質・地下水状況等を確認して設計・施工の基礎資料とすることにしている。担当は事業第二係（電話０７４２―２７―７４９８）。所管は五條土木事務所。
　調査対象は▽第１号トンネル＝延長４９６８㍍、最大土被り約５００㍍▽第２号トンネル＝延長１０９９㍍、土被り約２００㍍▽第３号トンネル＝延長２６０㍍、土被り約５０㍍▽終点側法面＝延長２００㍍―の計６５２７㍍。
　第１号トンネルと第２号トンネルは有人ヘリコプター、第３号トンネルと終点側法面はドローンによる空中電磁探査を行って解析し、数値標高データによる３次元モデルと、図面を作成する。
　高密度弾性波探査は、現地踏査結果をもとに測線・起振計画を立案、掘進長３０㍍～４０㍍の機械ボーリング３ヵ所を発破孔として利用して３測線計４９９０㍍実施。総合解析を行って新天辻工区全体の地質断面図を作成する。
一般国道１６８号新天辻工区は、五條市と和歌山県新宮市を結ぶ地域高規格道路「五條新宮道路」の一部を構成し、法面崩壊等による通行止めを回避し、緊急輸送道路の機能を強化するとともに、第二次救急医療施設へのアクセス向上や観光振興に寄与する道路で、国土強靭化の要となる紀伊半島アンカールートの整備促進の一環として平成３０年度に新規事業化された。
新天辻工区は五條市大塔町阪本～西吉野町宗川野間の延長約７・２㌔㍍。長大トンネルを含む構造物が大半を占める計画。主要な構造物は北側から▽終点側法面▽第３号橋梁▽第３号トンネル▽第２号橋梁▽第２号トンネル▽第１号橋梁▽第１号トンネル。これまでに委託した詳細設計は次の通り（延長は業務委託時点のもの）。
　▼一般国道１６８号新天辻工区第１号橋梁詳細設計業務委託（地域連携道路事業（都づくり）他）第１―４―委１４他号＝長大奈良事務所が担当。業務場所は五條市西吉野町立川渡。業務内容は橋梁詳細設計１式（ＰＣ３径間連続ラーメン箱桁橋２連４４０・５㍍、逆Ｔ式橋台２基、逆Ｔ式橋脚４基、張出式橋脚１基）。
　▼一般国道１６８号新天辻工区第２号トンネル詳細設計業務委託（地域連携道路事業（都づくり）他）第１―４―委１９他号＝サンコーコンサルタントが担当。業務場所は五條市西吉野町立川渡～西野。トンネル詳細設計１式（山岳トンネル詳細設計１０９９㍍）。
　▼一般国道１６８号新天辻工区第２号橋梁詳細設計業務委託（地域連携道路事業（都づくり）他）第１―４―委１５他号＝東洋技研コンサルタントが担当。業務場所は五條市西吉野町西野～宗川野。橋梁詳細設計１式（ＰＣ２径間連続ラーメン箱桁橋１０４・０㍍、逆Ｔ式橋台２基、逆Ｔ式橋脚１基）。
　▼一般国道１６８号新天辻工区第３号トンネル詳細設計業務委託（地域連携道路事業（都づくり））１―４―委２０号＝オリエンタルコンサルタンツが担当。業務場所は五條市西吉野町宗川野～阪巻。トンネル詳細設計１式（山岳トンネル詳細設計２６５㍍）。
　▼一般国道１６８号新天辻工区第３号橋梁詳細設計業務委託（地域連携道路事業（都づくり））１―４―委１６号＝大日本コンサルタントが担当。業務場所は五條市西吉野町阪巻橋梁詳細設計１式（第３号橋梁３３・５㍍）、道路詳細設計０・０７㌔㍍。
　▼一般国道１６８号新天辻工区終点側法面詳細設計業務委託（地域連携道路事業（都づくり））１―４―委２７号＝①八千代エンジニヤリングが担当。業務場所は前同。法面詳細設計２００㍍。（吹上）