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県南部・東部振興課 4月1日施行へ 南部・東部地域振興条例 総合的・計画的に施策を推進

2022.1.25 県総務部

 奈良県総務部知事公室南部・東部振興課は、南部・東部地域の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、地域の活性化と県民生活全体の向上に資するため「(仮称)奈良県南部・東部地域振興条例」を制定する。施行日は4月1日を予定。
 県は、「(仮称)奈良県南部・東部振興基本計画」を令和3年3月に策定。条例では県と南部・東部地域の市町村が目標の共有を図り、協働して施策を推進することで、南部・東部地域において「働きやすくする」「暮らしやすくする」「いざというときに備える」「訪れてみたい地域をつくる」「地域のデジタル化を進める」ことをめざす。
 県と市町村との協働で県は①地域の振興に重要な役割を有している市町村と目標の共有を図って協働して施策を推進する②市町村が実施する施策を支援するための情報提供と助言等を行う③地域の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進する④地域の現状及び重要性に関して県民の関心及び理解を深めるように努める。県と市町村との協働の場を設置して目標を共有するための県と市町村のコミュニケーションを図り、施策の推進・実施に関する協議を行う。また、必要な財政上の措置を講じるように努める。
県では、平成23年9月に発生した紀伊半島大水害からの復旧復興から振興へとステージを進めるため、27年3月に「奈良県南部振興基本計画」及び「奈良県東部振興基本計画」を策定し、「人口の社会増減をプラスにする」を目標に、「訪れてみたくなる地域づくり」と「住み続けられる地域づくり」を計画の柱として、今日までさまざまな取組みを進めてきた。
この間には南奈良総合医療センターの開院(28年4月)やドクターヘリの運航開始(29年3月)、京奈和自動車道御所南IC~五條北IC開通(29年8月)など地域の住民の暮らしに関わる分野で大きな成果が見られ、また交流人口・関係人口の増加を目的に温泉旅館を舞台とした「えんがわ音楽祭」や弘法大師の道をゆかりとするトレイルランニングレース「KoboTrail」など、地域の特性を活かした文化・芸術、スポーツに関するイベントが定着し、多数の来訪客が訪れるなど一定の成果を上げてきた。
しかし、目標としていた「人口の社会増減」については、毎年地域全体で県平均を大きく上回るペースで減少を続けており、「観光入込客数」も横ばい傾向となっている。また、若年層の流出により地域の少子高齢化は急激に進行しており、産業と教育及び医療・福祉や交通など多くの分野で解決すべき課題が見られる状況。
言うまでもなく南部・東部地域は、美しい自然と豊かな歴史文化に溢れ、食料・木材・水・エネルギーを供給する地域であり、また多様な生態系を持つ自然環境を保全する地域。これらの地域を支えてきた産業や人々の暮らしを含め、県が誇るべき魅力ある地域。
急激な人口減少が進むなか南部・東部地域において、森林と水を守りつつ人と経済の循環を高め、持続可能な地域社会を形成していくことは県の重要な責務であり、県では新たな計画を策定し、引き続き南部・東部地域の振興を図っていく。
めざす姿は「誇らしい都」で、計画期間は令和3年度~7年度の5年間。「基本計画」は南部・東部地域のめざす姿と現状と課題及び取組みの方向性などで構成。さらに県が実施する「拠点プロジェクト」と具体的に取り組む事業を記載した「アクション・プラン」を別途毎年度策定し、PDCAによる進捗管理を行い、「基本計画」のめざす姿の実現を図る。
対象とする地域は19市町村(3市4町12村)。南部地域は五條市・御所市・高市郡(高取町・明日香村)・吉野郡(吉野町・大淀町・下市町・黒滝村・天川村・野迫川村・十津川村・下北山村・上北山村・川上村・東吉野村)の2市4町9村、東部地域は宇陀市・山辺郡(山添村)・宇陀郡(曽爾村・御杖村)の1市3村。
南部・東部地域は、面積約2899平方㌔㍍で県全体の約78%、そのうち可住地面積は約12%で約88%が森林。人口約15万人で県全体の11%(平成27年国勢調査)で、昭和30年の約25万6000人をピークに当時の約58%に減少し、社会増減・自然増減ともに県平均を大きく上回るペースで減少している。観光入込客数756万人(令和元年実績) 宿泊客数51万人(平成30年実績)で、近年は横ばい・伸び悩みの傾向にある。就業者数約6万7000人で平成7年と比較すると約70%に減少(平成27年国勢調査)、第1次産業就業者率は9・6%で県全体の2・7%と比べてかなり高い。暮らしは県民アンケート調査(満足度)によると、平成26年と比較して「医療」が向上、「福祉」や「防災」は県平均に近づく一方、「多様な就労環境」「地域の活気や魅力」は横ばい傾向で県全体平均より低い。
「(仮称)奈良県南部・東部振興基本計画」では、重点目標「誇らしい『都』づくり」の実現に向け、南部・東部地域において住みよい環境づくりを進めるとともに、「働く場」と「働く人」を増やし、人口減少をくい止めることにより地域の持続的発展を図る―としている。
令和7年度を目標年次に設定し、基本計画の目標を達成する戦略の3本柱として①住み続けたくなる、還りたくなる地域づくり(定住の促進)②訪れてみたくなる地域づくり(交流の促進)③力強い市町村づくり―を設定し、表の施策を展開していく。

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