一般記事
労災防止へ フルハーネス型義務化
2022.1.25 その他
法令改正から3年の猶予期間を経て、フルハーネス型の墜落制止用器具が完全原則化された。
墜落・転落による労働災害の多い建設作業では、高さ5㍍超の箇所では原則として、肩やもも、胸など複数のベルトで全身を支えるフルハーネス型の墜落制止用器具を着用。
今年1月2日から、旧来の構造規格による安全帯の着用が全面的に禁止となった。
新たな規制は、建設現場などの労働災害で多い墜落・転落の防止策として、労働安全衛生法施行令や労働安全衛生規則などを改正して定められた。改正は平成31年2月に施行されたが、完全実施まで約3年の猶予期間が設けられていた。
改正によって、従来の安全帯は名称を「墜落制止用器具」に変更。改正後の墜落制止用器具に含むのは、フルハーネス型と1本吊りタイプの胴ベルト型だけとなった。U字吊りタイプの胴ベルト型は含まず、ワークポジショニング用器具と位置付けた。
1本吊りタイプの胴ベルト型も墜落制止用器具として使えるが、原則はフルハーネス型を着用する。胴ベルト型だと、墜落時に内蔵の損傷や胸部の圧迫が生じやすいなど危険性が指摘されている。フルハーネス型ならば、負荷が分散されてそうしたリスクを軽減できる。
特に、高さ6・75㍍超の高所作業では、業種を問わずフルハーネス型の着用が義務付けられた。建設作業については、「墜落制止用器具の安全な使用に関するガイドライン」で、より低い5㍍超の箇所でもフルハーネス型の着用が推奨されている。
作業内容によっては、「安全衛生特別教育」の受講が必要になった。受講しなければならないのは、作業床を設けることが困難な高さ2㍍以上の箇所で、フルハーネス型の器具を着用して作業する場合。
具体的には、高所で作業床を設置できない作業。例えば、柱上や鉄骨上などでの作業が想定される。逆にいえば、フルハーネス型を着用する必要があっても、作業床を設けられる場所での作業ならば、従事する作業員は受講する必要がない。
建設現場で発生する労働災害のうち、墜落・転落は約3分の1と最も多い。死亡災害に発展するケースも少なくない。フルハーネス型の着用徹底で、建設現場での墜落・転落による労働災害を減少させるのが狙いだ。