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県交通安全対策会議 高規格幹線の整備など 3年度県交通安全実施計画 踏切道の立体交差化など推進

2022.1.14 県総務部

 県や関係機関で構成する奈良県交通安全対策会議は、令和3年度「奈良県交通安全実施計画」を策定した。奈良県交通安全計画第11次の着実な推進のため、高規格幹線道路の整備や踏切道の立体交差化などを計画し、県内の陸上交通の安全に関して県及び指定地方行政機関等が3年度に講じようとする施策についてまとめたもの。
 同会議は県と近畿管区警察局、近畿経済産業局、奈良地方気象台、奈良労働局、近畿運輸局、近畿総合通信局、県教育委員会、県警察本部、市長会、町村会、奈良県広域消防組合消防本部、西日本旅客鉄道で構成。事務局は総務部知事公室安全・安心まちづくり推進課。
道路交通環境の整備として高規格幹線道路の整備では国道24号京奈和自動車道の「大和御所道路」「大和北道路」を、地域高規格道路の整備では国道163号清滝生駒道路(生駒区間)・国道165号大和高田バイパス・国道168号十津川道路(Ⅱ期)・国道168号長殿道路・国道168号五條新宮道路(風屋川津・宇宮原工区)を、その他改築事業では国道25号斑鳩バイパス・国道25号名阪道路・国道165号香芝柏原改良・国道169号伯母峯峠道路を盛り込んでいる。
 交通安全実施計画は、令和3年7月21日に作成した「奈良県交通安全計画」第11次(3年度~7年度)の着実な推進のために県内の陸上交通の安全に関し、県及び指定地方行政機関等が講じようとする施策について交通安全対策基本法第25条第3項の規定に基づき、令和3年度の実施計画として取りまとめたもの。
2年中の奈良県内の道路交通の事故の状況は、人身事故件数2790件(前年比マイナス538件)、死者数25人(前年比マイナス9人)、負傷者数3441人(前年比マイナス704人)で、人身事故件数及び負傷者数は大幅に減少し、死者数については戦後統計の残る昭和22年以降で最小の数となった。
また、第10次奈良県交通安全計画の道路交通の安全の目標である「令和2年までに交通事故死者数を限りなくゼロに近づける(25人以下をメド)」及び「令和2年までに死傷者数を4500人以下に減少させる」を達成することができた。
しかし、2年中の65歳以上の高齢者の死者数は19人で、全交通事故死者数に占める割合が76%と非常に高いことから、死者数の一層の減少に取り組むことはもちろん、交通安全教室の推進や高齢運転者に対する免許返納制度の周知等により事故そのものをさらに減少させる必要があるほか、高齢者の移動手段の確保など「奈良県交通安全計画」第11次の基本的な考え方である高齢化が進展しても安全に移動できる社会の構築に向けての取組みを加速させていかなくてはならない。
このような状況のなか奈良県交通安全対策会議では、新たに設定した「令和7年までに交通事故死者数を限りなくゼロに近づける(20人以下をメド)」及び「令和7年までに重傷者数を320人以下に減少させる」の目標達成に向け、人優先の交通安全思想のもと行政機関と関係機関・団体を始め県民と一体となって、交通の状況や地域の実態に即した交通安全施策を強力に推進することで、交通事故のない奈良県をめざしていきいと考えており、この実施計画への理解・協力を求めている。
鉄道交通の安全では、鉄道交通環境の整備として線路施設等の整備(軌道強化3253㍍4億7291万5000円、橋りょう改良13ヵ所2億1008万1000円、駅改良15駅4億6344万6000円、トンネル改良1ヵ所420万円、防災施設・その他10ヵ所5億1668万7000円)、踏切道における交通の安全では、踏切道の立体交差化1ヵ所8億200万円、踏切道の構造改良の促進1ヵ所2億1000万円等に取り組む。
道路交通の安全では、道路交通環境の整備として次のハード対策等の取組みを行うことにしている。
【生活道路等における人優先の安全・安心な歩行空間の整備】
〈生活道路における交通安全対策の推進(奈良国道事務所、交通規制課)〉
▽生活道路対策エリアの推進(奈良国道事務所)=生活道路における歩行者及び自転車の安全な通行を確保することを目的として地域住民や県警察等の関係者と連携し、ハンプや狭窄の適切な設置など生活道路の交通安全対策をより一層推進し、生活道路における速度抑制や通過交通の侵入抑制を図る。2年度までに生活道路対策エリアが11エリア登録されており、3年度も引き続き登録箇所への技術的支援を行い、生活道路における交通安全対策の推進を図る。
▽「ゾーン30」の整備(交通規制課)=生活道路における歩行者等の安全な通行を確保することを目的として区域(ゾーン)を定めて最高速度30㌔㍍毎時の速度規制を実施するとともに、物理的デバイスを適切に組み合わせゾーン内の速度抑制と抜け道として通行する行為の抑制等を図る。2年度末までに48ヵ所を整備し、3年度も引き続き適切な箇所への整備を推進するとともに整備済箇所に対する効果検証を実施する。また、効果検証の結果等に基づき道路管理者に対してハンプや狭窄などの物理的デバイスの設置を働き掛ける。
〈通学路等における交通安全の確保(奈良国道事務所、保健体育課、交通企画課、道路保全課)〉
▽通学路等における歩行空間等の整備(道路保全課)=①通学路における歩道整備4億7113万3000円は国道308号(奈良市尼ヶ辻北町)外②バリアフリー生活関連経路の整備5775万は国道166号(葛城市尺土)外。
▽通学路等の歩道整備(奈良国道事務所)=通学路における歩道整備8100万円は国道165号(大和高田市磐築地区)外。
▽高齢者、障害者等の安全に資する歩行空間等の整備(交通規制課、道路保全課)=①バリアフリー対応型信号機の整備等(交通規制課)生活関連経路を構成する道路を中心として音響式信号機・歩車分離式信号の整備、信号灯器のLED化、道路標識の高輝度化等②バリアフリー生活関連経路の整備(道路保全課)5775万円。 【高速道路の更なる活用促進による生活道路との機能分化、幹線道路における交通安全対策の推進】
〈事故ゼロプラン(事故危険区間重点解消作戦)の推進(奈良国道事務所)〉
国道・県道における死傷事故は特定の区間に集中していることを踏まえ、死傷事故率の高い区間や地域の交通安全の実情を反映した区間など事故の危険性が高い特定の区間を第三者の意見を参考に選定する。
〈事故危険箇所対策の推進(奈良国道事務所、交通規制課、道路保全課)〉
▽第5次社会資本整備重点計画において事故の危険性が高い区間のうち道路整備や交通安全施設整備により対策効果が見込まれる区間を事故危険箇所として選定して効果的・効率的な事故対策に取り組む=3億9700万円①国道24号(三山橋北詰交差点)外(奈良国道事務所)②国道169号(大淀町増口)外(道路保全課)。
▽事故危険箇所においては信号機の新設・改良等を始め交通規制の実施・見直しを行う(交通規制課)。
〈幹線道路における交通規制(交通規制課)〉
交通の安全と円滑化を図るために道路交通実態の状況等を勘案しつつ速度規制等の交通規制の見直しを推進する。
〈重大事故の再発防止(交通規制課)〉
事故発生箇所に対する現場診断を速やかに実施して事故要因を調査し、道路管理者と連携して同種事故の再発防止を図る。
〈適切に機能分担された道路網の整備(奈良国道事務所、北勢国道事務所、浪速国道事務所、西日本高速道路関西支社奈良工事事務所)182億7000万千円〉
▽高規格幹線道路の整備=国道24号京奈和自動車道の「大和御所道路」27・2㌔㍍、「大和北道路」12・4㌔㍍。
▽地域高規格道路の整備=国道163号清滝生駒道路(生駒区間)5・7㌔㍍、国道165号大和高田バイパス14・4㌔㍍、国道168号十津川道路(Ⅱ期)5・6㌔㍍、国道168号長殿道路2・7㌔㍍、国道168号五條新宮道路(風屋川津・宇宮原工区)6・9㌔㍍。
▽その他改築事業=国道25号斑鳩バイパス4・7㌔㍍、国道25号名阪道路31・6㌔㍍、国道165号香芝柏原改良2・8㌔㍍、国道169号伯母峯峠道路2・9㌔㍍。
〈高速自動車国道等における事故防止対策の推進(奈良国道事務所、西日本高速道路㈱ 関西支社 阪奈高速道路事務所)〉
▽国道25号名阪国道の滑り止め舗装の整備(奈良国道事務所)。
▽高速自動車国道(西名阪自動車道)の法隆寺IC及び郡山ICの流出ランプ部において路面標示による逆走防止対策を実施する(西日本高速道路関西支社阪奈高速道路事務所)。
〈道路・街路の改築等による交通事故対策の推進(道路建設課)151億3227万4000円〉
国道168号(小平尾バイパス、王寺道路、香芝王寺道路、阪本工区、新天辻工区)、国道169号(高取バイパス、御所高取バイパス)、天理王寺線、結崎田原本線、桜井吉野線、西九条佐保線、城廻り線ほか。
〈交通安全施設等の高度化(交通規制課)8億9034万7000円〉
▽交通管制センターの整備拡充=①交通管制集中信号制御機の更新整備48基②情報収集装置の更新整備171基③交通監視カメラの更新整備2基。
▽交通信号機の新設・改良=①新設4基②改良52基③LED化42式④信号機移設23式。
▽道路標識・道路標示の整備=①道路標識(オーバーハング標識13本、路側式270本)②道路標示(横断歩道45・19㌔㍍、実線標示79・54㌔㍍)。
【交通安全施設等の整備事業の推進】
〈交通安全施設等の戦略的維持管理(交通規制課)〉
奈良県交通安全施設個別施設計画に基づき、信号制御機を始めとする各種交通安全施設について中長期的な視点に立った老朽施設の更新を行い、適切に維持管理する。
〈歩行者・自転車対策及び生活道路対策の推進(交通規制課、道路建設課)〉
▽生活道路における「ゾーン30」、生活関連経路を構成する道路を中心としたバリアフリー対応型信号機の整備を始め、通学通園路や未就学児集団移動経路における安全確保対策を推進するほか、道路管理者による自転車通行空間整備に合わせた交通規制を検討し、安全確保を図る(交通規制課)。
▽自転車利用環境の整備による安全な通行空間の確保を図る(道路建設課)1500万円。
▽無電柱化の推進(道路建設課)4億8128万円=都市計画道路奈良橿原線外。
〈幹線道路対策の推進(交通規制課)〉
事故危険箇所等の交通事故データの分析・事故原因の検証に基づいて信号機の改良等を行う。
〈交通円滑化対策の推進(交通規制課、道路建設課)〉
▽交通の円滑化を図るため交通管制集中信号制御機48基、情報収集装置(車両 感知器)171基、交通監視カメラ2基を更新する(交通規制課)。
▽交差点の立体化、開かずの踏切の解消等を推進する(道路建設課)=踏切道の立体交差化5ヵ所23億1377万5000円。
〈ITSの推進による安全で快適な道路交通環境の実現(近畿総合通信局)〉
〈道路交通環境整備への住民参加の促進(交通規制課)〉
〈連絡会議等の活用(奈良国道事務所、交通規制課)〉
【歩行空間のユニバーサルデザイン化】
▽バリアフリー対応型信号機の整備(交通規制課)=音響式信号機や歩車分離式信号機等のバリアフリー対応型信号機を整備する。
【無電柱化の推進】
▽無電柱化の推進(奈良国道事務所)4億700万円=国道24号奈良バイパス外1路線。
【自転車利用環境の総合的整備】
▽安全・快適でわかりやすい自転車ネットワークを構築する「ハード施策」(道路建設課)1億7397万円=世界遺産周遊サイクルルート等の整備。
【災害に備えた道路交通環境の整備】
〈災害に備えた道路の整備(奈良国道事務所、道路建設課、道路保全課)〉
▽落石、崩落、盛土切土法面や擁壁の崩壊、地滑り又は土石流の恐れがある箇所の CCTVの整備を推進する(奈良国道事務所)。
▽災害に強い道路整備の推進(道路建設課)=安全で安心な生活を支える道路交通の確保を図るため地域を支える信頼性の高い道路ネットワークの形成を推進する53億2993万8000円。国道169号御所高取バイパス・高取バイパス、五條吉野線、高野天川線、平原五條線、赤滝五條線ほか。
▽地震発生時の応急活動を迅速かつ安全に実施できる信頼性の高い道路ネットワークを確保するため緊急輸送道路上にある橋梁の耐震対策を推進する。豪雨・豪雪時等においても安全・安心で信頼性の高い道路ネットワークを確保するため道路斜面等の防災対策や災害の恐れのある区間を回避・代替する道路の整備を推進する。また、地震等の災害発生時に避難場所となるなど防災機能を有する「道の駅」を地域の防災拠点として位置付け、その強化を図る(道路保全課)=①橋梁耐震補強事業7億9905万円(国道168号大川橋外)②道路災害防除事業15億9370万3000円(国道169号外)。
〈災害に強い交通安全施設等の整備(交通規制課)〉
災害発生時の停電による信号機の機能停止を防止する信号機電源付加装置を1基新設・5基更新するほか、老朽化した信号機と道路標識・道路標示の計画的な更新を推進する。

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