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県公園緑地課 約8・5㌶を拡張 まほろば健康パーク機能強化 6年度設計、9年度完成へ 概算整備費約55億円を想定 子どもの年齢層に分けゾーンを設定 屋内外遊戯施設やアスレチックなど

2021.12.24 県地域デザイン推進局

 奈良県公園緑地課は、隣接地へ拡張整備する「まほろば健康パークの機能強化基本計画(案)」をまとめた。拡張区域約8・5㌶に既存公園区域を加えた約10・8㌶の機能強化を行う計画で、令和3年度に基本計画を策定するとともに民間活力導入可能性調査を実施、4年度に事業化、6年度に設計を行い、7年度に整備に着手、9年度完成予定。概算整備費として約55億円を想定している。
 奈良県県土マネジメント部地域デザイン推進局公園緑地課は、「まほろば健康パークの機能強化基本計画(案)」をまとめ、ホームページで公開しているほか県政情報センター(県庁東棟1階)・県民お役立ち情報コーナー(県立図書情報館、奈良県産業会館、吉野町中央公民館、橿原総合庁舎)等で閲覧に供し、4年1月15日まで意見を受け付けるパブリックコメントを行っている。担当は都市公園係(電話0742―27―8069)。
 概算整備費として約55億円を見込んでいる。パブリックコメントの手続き後に基本計画を策定するとともに民間活力導入可能性調査を実施、4年度に事業化、6年度に設計を行い、7年度に整備に着手、9年度完成予定。
 想定される事業手法のひとつとして「PFI―BTO方式(指定管理者制度を併用)」に「設置許可制度」を組み合わせた事業スキームを想定し、公共空間としての公平性や公益性を担保し、質の高いサービスの提供と事業コストの縮減といった観点からPFI方式を始めとした事業手法の導入を検討する。
平成26年度にリニューアルオープンしたまほろば健康パークについて、隣接地約8・5㌶の公園拡張区域に現在の公園区域の一部を加えた機能強化区域約10・8㌶に「みんなが憩い楽しみ、子どもが遊びや運動を通して成長できる公園」を基本コンセプトにした整備計画及び維持管理と運営に係る基本的な考え方をとりまとめたもの。
 施設は昭和49年2月に都市計画決定され、下水道処理場の周辺環境対策施設としてテニスコート・プール・野球場等を整備し、浄化センター公園として開設された。県営プール等の老朽化に伴い、PFI事業により平成23年度~26年度にスイムピア奈良の新設整備、ファミリープール等の再整備を実施し、26年7月に浄化センター公園をまほろば健康パークに名称を改めて開園している。
 開園して6年が経過した昨年には年間約33万人(スイムピア奈良の有料施設は約22万人)の利用があり、年々利用者が増加している人気の公園となっている。一方、県内には子どもたちが遊びや運動・スポーツを通して楽しく過ごせる公園が少ない状況であり、県スポーツ推進計画においても近年の子どもの体力低下やスポーツをする機会の減少及び運動する子どもとしない子どもの二極化等が大きな課題となっている。そのため子どもたちが楽しみながら身体を動かすことで基礎体力の向上を図るとともに、健全な心身の発達と人格形成を促すことを目標に子どもたちが健やかに育むスポーツを推進することにしている。
このことからまほろば健康パーク機能強化検討事業では、公園に隣接する約8・5㌶の拡張予定区域において基本コンセプトに基づき子どもの成長段階に応じた公園施設の検討を進め、昨年度までに検討した基本計画(案)で民間事業者の創意工夫やノウハウを取り入れた施設の導入が公園の魅力や賑わいを向上させるために有効であることが分かった。
 また、「まほろば健康パーク機能強化民間活力導入可能性調査第742―委―1号」について、パシフィックコンサルタンツで検討を進めている。業務場所は大和郡山市宮堂町・川西町下永。業務は①現況整理及び計画条件等の整理②導入機能及びサービスの検討③事業スキームの検討④サウンディング型市場調査の実施支援⑤VFM(支払に対するサービスの価値)の算出⑥概算事業費の算定。委託期間3月25日。
機能強化による整備の基本方針は次の3点▽子どもの成長段階に応じた遊び・スポーツ施設ゾーン整備と、子どもを中心に多世代が集まり誰もが同じ場所で一緒に遊べるインクルーシブな空間の創出=①乳児・幼児が遊びを通して成長できる施設ゾーン②子どもが遊びや運動を楽しみ上達する施設ゾーン③子どもが目標に向かって取り組むスポーツ施設ゾーン④エントランスゾーン▽既存植栽を活かし、緑豊かな憩いの空間を整備▽周辺施設との連携による賑わいの創出。
 機能強化区域では子どもをターゲットとした公園をつくることから、子どもの年齢層に分けてゾーンを設定し、施設を新設する。
 〈乳児・幼児が遊びを通して成長できる施設ゾーン(対象年齢6ヵ月~5歳)〉
 ▽乳幼児用屋内・屋外遊戯施設(有料)=①天候に左右されない環境で子どもが遊具やおもちゃを使って安全・安心に遊び・運動をすることができる屋内型の遊戯施設②水・砂・音・太陽の光など五感で自然を感じながら遊ぶことができる屋外型の遊戯施設③子どもの遊びや知育を支えるプレイリーダーを配置し、発育段階に応じて想像力を刺激するような多種多様なプログラムを提供することで、遊びを通して体を動かす楽しさを知るきっかけとなる場として機能。
 〈子どもが遊びや運動を楽しみ上達する施設ゾーン(対象年齢3歳~10歳)〉
 ▽わんぱく遊具広場(無料)=①大型複合遊具を複数設置した芝生空間②子どもがとんだり・はねたり・すべったりと、さまざまなからだの動きを促す遊具を設置し、自然のなかで伸び伸びと遊ぶことができる空間。
 ▽イベント広場(無料)=①日陰を提供する四阿やシェードなど休憩施設を適切に設置し、公園利用ニーズの充足と魅力向上につなげる②屋根付き大型ステージでは大規模イベントやヨガなどの運動プログラムを展開し、公園の賑わいを演出③四季を通してさまざまな花を観賞できる空間。
 ▽子どもの屋内遊戯施設(有料)=①天候に左右されない環境でボルダリング・トランポリンなどバランス感覚を育む施設②子どもの遊びや知育を支えるプレイリーダーを配置し、プログラムを提供。
 ▽子どもの屋外遊戯施設(有料)=①年齢や運動能力に応じてレベルを選択できるようなゾーン配置とし、運動技能の成長に応じてより高度な動きにチャレンジしていくことができる場として機能②既存植栽を活かしたハンモック広場・キックバイクコース・スケートパーク・フリーテニスコートなど。
 ▽フィールドアスレチック(有料)=既存樹林を活かし、自然のなかで遊ぶ・体を動かす楽しさを感じることができる屋外型の大型フィールドアスレチック。
 〈子どもが目標に向かって取り組むスポーツ施設ゾーン(対象年齢8歳~15歳)〉
 ▽多目的広場(有料)=①アウトドア体験や運動会必勝塾及びラグビー教室・サッカー教室などスポーツプログラムを展開する広場②学校の体育授業と地域のスポーツクラブの間の「運動スクール」として指導員がサポートしながら年齢・能力・関心に応じたプログラムを提供することで遊びの要素を取り入れつつ運動への苦手意識の克服や運動技能の上達に導く場として機能。
 ▽屋根付き人工芝広場(有料)=屋根を付けることで雨天時や強い日射しのなかでもスポーツプログラム(サッカー教室・ラグビー教室等)を行うことができる環境を整備。
 ▽クラブハウス(有料)=①各種の運動教室・プログラムやイベントの受付とロッカー・シャワー室・医務室等のサービスを提供②運動やスポーツによって起こる怪我の予防だけでなく普段の歩き方や走り方等の指導を行うスポーツクリニックの機能を持った施設の検討。
 〈エントランスゾーン〉
 ▽メイン大通り(無料)=①公園入口からドライ噴水や森を抜けると大きなシンボルツリーが正面に出迎え子ども遊びゾーンへと続く花壇のあるメイン通り②子どもがワクワクするような空間を生み出して笑顔が溢れる演出を展開する③子どもや地域住民が製作した花壇、エントランス付近にドライ噴水を設置することで夏季の暑さをしのぐだけでなく公園空間に視覚的な潤いの場を創出。
 ▽青空広場(無料)=小規模イベントやキッチンカ―・農産物直売など多彩な催しを展開し、公園の賑わいを感じる多目的広場。
 ▽みんなの広場(無料)=年齢や身体能力に関係なく誰もが分け隔てなく遊べるようなインクルーシブ遊具を使った遊びや運動ができる広場。
 ▽カフェ・レストラン(有料)=①来園者が公園のオープンスペースとしての雰囲気を感じながら食事やドリンクを楽しめる飲食施設②オープンデッキからは、みんなの広場やドライ噴水で遊ぶ子どもを見ながら大人は一服できる空間。
 ▽総合インフォメーション(無料)=公園全体の案内やイベント・プログラム等の情報を来園者へ発信。
〈その他〉
 ▽駐車場(無料。将来的には有料化も検討)=①この公園の主要なアクセスである車利用を支えるために利用者数の増加を見込んだ必要台数(常設約100台)を確保②自動車だけでなくバスでの団体利用も想定した台数を確保。

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