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文化財保存事務所 7月27日に開札 国宝興福寺五重塔耐震診断
2021.7.16 県文化・教育・くらし創造部
奈良県文化・教育・くらし創造部文化財保存事務所は、一般競争入札「国宝興福寺五重塔耐震診断業務3文保委第3号」を7月27日に開札して業務を委託する。業務場所は奈良市登大路町48番地の興福寺境内。業務概要は国宝興福寺五重塔の保有耐震性能を確認のうえで必要耐震性能を有するか評価する。委託期間4年3月28日。予定価格3192万2000円込、最低制限価格2669万7000円込。
国宝興福寺五重塔の保存修理に係る全天候型仮設足場を建設するための素屋根建設基本設計は伸構造事務所、地質調査は三協エンジニアが担当して令和2年度に実施している。工事は令和5年度を予定。担当は事業係(電話0742―27―9865)。
敷地面積約3900平方㍍。施設計画ではS造10階建延べ面積約9223平方㍍(登桟橋と資材搬入出口のほか解体部材格納棚を内部に設け、設備は照明設備・電気コンセント・人荷用エレベーター・クレーン・吸排気設備等を備える。また建築作業場と動線を分離した管理通路を併設)。
立地条件は史跡興福寺旧境内であるため掘削を伴わない基礎工事が必要。また、当該地は観光目的の来訪者が多く周辺道路の通行量も多い。建設に当たっては資材搬入計画や組立工法等において通行者への安全対策に万全を期し、影響を極力軽減することが不可欠。工期は10ヵ月以内が必須条件。
昨年度に地質調査(ボーリング調査2ヵ所、PS検層1ヵ所)が行われており、その結果と今回の業務で実施する現地調査結果をもとに構造診断を行い、必要に応じて補強案を策定する。業務内容は次の通り。
▽常時微動測定=測定方法は常時微動計測と人工加振による微動計測を行う。計測点は塔身では4点×5層×3方向とし、心柱6点×2方向、基壇1点×3方向、地盤1点×3方向で測定を行う。
▽3次元スキャン計測=五重塔の内外部すべての3次元スキャナー(標準機器FARO Focus3DS120〈同等品可〉、測定誤差+-2㍉以内、測定範囲0・6㍍~120㍍)による計測を行う。スキャン後のデータ整理は所要寸法が計測できる点群データ整理までとし、サーフェスモデルの作成は行わない。
▽木材の非破壊検査=初層柱・尾垂木・地垂木・大斗その他必要と思われる部材の非破壊検査を実施する。検査方法及び内容は超音波法による強度推定及び劣化調査を行う。
▽部材の実測調査及び図面作成=各部材の材種と架構状況や各部材寸法及び仕口・継手等の部材接合の状況や納まり、構造的な破損状況の調査を行う。なお、調査に必要な足場(初層外部の軒内1/4程度)は別途工事により県が設置する。実測調査結果を基にCAD図の作成を行う。作成を行う図面は平面図5枚(各層5層分)、断面図2枚(桁行、隅行)、伏図75枚程度(15枚×5層)。
▽耐震診断=時刻歴応答解析による耐震診断を実施する。使用するソフトは多層塔の解析に適し、荷重条件の変更にも対応できる汎用性のあるもの①立体解析モデルの作成②固定加重の算出③静的応力解析④入力地震動⑤保有耐震性能の評価・必要耐震性能の設定。
▽補強案策定=構造診断の結果として構造性能が不足する場合は補強案の検討を実施する。来年度以降に実施予定の保存修理地業で屋根葺替工事程度を予定しているため、基本的にはその範囲内で行える構造補強を検討する。補強案は建物の文化財的価値を考慮しながら複数の案を提示する。また、提示した各補強案について保有耐震性能の評価を行う。
▽報告書作成=以上の業務について診断書と報告書にまとめ、業務完了後に提出する。