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11年4月着工へ 附属病院新A棟整備計画 10年末までに基本・実施設計 一般競争8年1月27日に開札
2025.11.7 県立医科大学
奈良県立医科大学は、附属病院新A棟整備を計画、一般競争入札を8年1月27日に開札して委託する基本・実施設計を令和10年末にまとめ、建設工期として11年4月~14年3月を見込んでいる。問い合わせは法人企画部施設マネジメント課企画係(電話0744―23―9122)。
業務場所は橿原市四条町840番地。敷地面積7万548・43平方㍍(県立医科大学キャンパス北側エリア)のうち教育研修棟とスキルスラボ棟・看護学科旧棟敷地エリア(教育研修棟、スキルスラボ棟及び看護学科旧棟を解体した跡地)約7400平方㍍に建設する。既存C棟低層階と渡り廊下で接続する。建物規模は地下1階地上7階建を想定し、延べ面積約3万8834平方㍍(連絡通路1250平方㍍含む)。基本・実施設計業務の委託期間10年12月31日。予定価格10億51万6000円込、調査基準価格8億1830万1000円込。
新A棟整備の基本構想はシステム環境研究所大阪事務所、基本計画はシス環・明豊ファシリティワークスJVに委託して策定した。医学部機能の一部を新キャンパスへ移転、附属病院は現敷地において医療サービスを継続的に提供していく一方で、施設の老朽化や最新医療への対応のために施設整備が必要な状況となっていることから現A棟を建て替えることにしたもの。
基本構想検討時点での附属病院整備に係る基本的方向性は、新A棟は新築するとして①免震建物に収容すべき必要性が高い機能②外来診療・救急医療と連動性が高い機能③主に患者利用施設④機能的寿命が短いまたは固定的で重量なもの―を配置する。新棟竣工の頃に築約30年で建替期を迎えるB・C棟についても一体の施設として整備する(新棟竣工10年程度で救急センターや放射線部門更新のために外来診察室から離れた場所に建物を整備といった事態を回避する)。B・C棟には①耐震建物で許容する機能②入院医療(病棟)と連動性が高い機能③主に職員利用施設④機能的寿命が長いまたは可動的で比較的軽量なもの―を配置する。新A棟整備の前提条件は次の通り。
▽耐震性能向上及び一定の耐震性のある建物の継続利用=①既存の耐震性に劣る建物は解体撤去することを前提に解体対象建物にある機能及び部門を集約し、外来機能を中心に耐震性に優れた新A棟に移転整備を行う②新A棟は既存棟と一体的に利用するため連絡通路でC棟南面と接続する。
▽(仮称)医大新駅整備を前提とし来院者、来院車両の動線整備、駐車場整備を行う=①12年度中の供用開始をめざす近鉄橿原線(仮称)医大新駅整備に伴う新駅周辺のまちづくり計画を踏まえ、公共交通機関を利用した来院患者動線が現行と大きく変化することを想定し、それらが円滑かつ安全で利便性が高いものとなるように新A棟の整備及び医大第一駐車場拡張整備を行う。
▽畝傍山キャンパス先行整備計画及び四条キャンパス整備計画との整合を図る=①7年度より供用開始となった畝傍山キャンパス先行整備計画を踏まえ、畝傍山キャンパスに移転後の部分、四条キャンパスで引き続き整備が必要な臨床研修系の機能等を区分し、新A棟及び既存棟も活用し総合的に整備を行う。なお新A棟建設スケジュールの順守を考慮し、教育研修棟及びスキルスラボ棟にある機能、部門はキャンパス内に仮移転を行う②先行整備対象部分である既存体育館は移転済みであることから解体し、跡地は新A棟整備に当たり利用可能敷地とし有効利用を図る。
▽持続可能な事業計画=①一定の耐震性を持つ既存建物を継続利用することにより全体として利用可能面積が確保できることから、基本計画においては持続可能な財務・経営計画の観点から基本構想の規模設定を見直し、新A棟の延べ面積を約3万8834平方㍍(連絡通路1250平方㍍含む)とする②また、地域医療機能の集約等、将来を見据えた持続可能な附属病院機能の整備を行う。
新A棟に配置する部門は①外来機能を優先的に確保・拡充する②外来に付随する各種診療・検査・供給機能も優先的に確保・拡充する③先般の新型コロナパンデミック時のさまざまなフィードバックを考慮し、新A棟に指定感染症病棟(第Ⅰ種、Ⅱ種感染症病室)、指定感染症外来、臨時感染症病棟を整備する④新A棟は外来に関わる診療機能と患者利便機能を中心に配置する―の観点を考慮している。
新A棟の主な機能は受付、医事、外来、中央処置室(仮称)、採血、検体検査、生理検査、薬剤、中央放射線、内視鏡、デイサージャリー、周術期管理センター、外来化学療法、患者総合支援センター(仮称)、患者利便機能等。地階に中央内視鏡部門・薬剤部・患者利便施設、1階にエントランス・医事・処方・患者支援センター、2階に中央放射線部門・中央臨床検査部門、3階にデイサージャリー・周術期管理センター・中央臨床検査部門、4階~5階に外来、6階に外来・外来化学療法・がん相談、7階に病棟(現A棟4階病棟の移転先、指定感染症病棟)を配する試案を持っている。
新A棟施設整備方針における施設面での前提条件は▽耐震性に劣る病院本館旧館・管理棟・医局棟と、それらと一体的に使用されている定位放射線棟及びその増築部と病歴保管庫を解体し、それらの機能を新A棟に移転し、かつ既存病棟の機能再配置により各部門の最適化を図る。教育研修棟とスキルスラボ棟の機能については新A棟建設前に現キャンパス内の別建物に仮移転が完了し、看護学科棟の機能も新キャンパスに移転完了させる▽看護学科棟新棟及び現A棟は継続使用する▽現状の高度地区を踏まえて建物高さは塔屋を含め31㍍以下とし、現状の高さ制限の範囲内で整備する。施設計画の基本方針を以下の通りとする。
▽高度医療への対応=①最先端の高度な医療を行うために機能的で先進性のある施設・設備計画とする②求められる機能の整備を行うための必要規模を確保するとともに、将来の治療・研究のニーズの変更に柔軟に対応できるようなフレキシビリティのある施設計画とする。
▽災害に強い施設整備=①基幹災害拠点病院として大地震時でも医療機能を継続できるように免震構造とする②インフラ途絶時においても一定期間自立でき医療機能を継続できるような設備計画とする③新興感染症のアウトブレイク等への対応を含み、あらゆる感染局面においても柔軟に対応できるように最新の知見とコロナ感染症対応のフィードバックを盛り込んだ感染に強い施設・設備とする④浸水リスクを考慮し、浸水対策に配慮した水害に強い施設・設備を検討する。
▽合理的で機能的な施設整備=①既存C棟低層階と渡り廊下で接続し、新A棟と既存棟との一体的運用を図る②既存棟の有効活用と、病院全体としての機能配置の最適化を図り、無駄のない合理的な施設計画とする。
▽持続可能な施設整備=①合理的で無駄のない経済的な施設整備とする②脱炭素・省エネルギーに配慮した環境負荷が少なくランニングコストの低減に配慮した施設設備を計画する。
▽その他=①(仮称)医大新駅からの来院者を迎える新しい県立医科大学附属病院の顔としてふさわしい建物とし、県立医科大学のイメージの向上に寄与する②橿原市景観計画及び橿原市景観条例に定める藤原京跡からの遠望景観保全エリアに新A棟を建設するため、良好な景観形成に配慮した外観や外壁の色彩等とする。
