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県消防救急課 南部中核拠点約4・4㌶ 県消防学校機能強化基本方針 15年度~16年度に工事
2025.10.23 県総務部
奈良県総務部知事公室消防救急課は、現在宇陀市にある施設が狭くて老朽化していることから、五條県有地に移転して南部中核拠点と一体整備する消防学校について機能強化に向けた基本方針をまとめた。
一般競争入札「奈良県消防学校機能強化検討支援業務第1―消1号」により日本工営都市空間奈良事務所(奈良市西大寺赤田町)に業務を委託していたもの。業務場所は宇陀市榛原下井足または同課指定の場所。担当は消防救急係(電話0742―27―8423)。
消防学校は、消防職員及び消防団員の資質を高めるための教育訓練機関だが、現在の奈良県消防学校は施設の老朽化が顕著で、敷地面積も狭いことなどから消防救急活動に即した教育訓練が充分には行えないため、早期の移転整備が喫緊の課題。
県消防学校は、南海トラフ巨大地震などの大規模災害を始めとする被災現場などの各場面において、的確に状況判断できる消防職員などを育成するため、教育訓練機能を充実・強化し、消防力の向上を図る必要がある。加えて新しい消防学校は、災害対応において県南部の核となる南部中核拠点と一体的に整備することに鑑み、災害時における消防学校の有効活用についても併せて検討する必要がある。
令和5年9月設置の「奈良県消防学校教育訓練充実検討委員会」と6年4月設置の「災害応急対策(防災拠点)検討部会」の議論のほか、過年度の消防学校移転整備に関する検討内容を踏まえ、消防学校の教育訓練機能及び災害時に求められる機能を強化する方向性を明らかにした。
南部中核拠点(五條県有地)は、五條市黒駒町762番外の敷地面積約64㌶(東エリア約45㌶+西エリア約19㌶)。南部中核拠点の核となる区域のコアゾーンのうち消防学校は約4・4㌶。基本計画をまとめ、8年度~14年度に測量・調査・設計等、15年度~16年度の2ヵ年で工事を行うスケジュールを組んでいる。
機能強化に向けた基本方針は①消防活動の高度化、災害の多様化に対応した実践的訓練環境の充実=県の地形・災害特性に対応する訓練環境を構築、災害現場等を再現した実践的な訓練施設の整備②効果的、効率的な教育環境の確保=高度化する救急救命技術と火災予防査察への対応、デジタル技術を活用した最新の内容で教育訓練が行っていくことができるようDX等を推進③プライバシーや自主学習に配慮した寮生活の提供=教育訓練に集中できる環境を提供するため就寝エリアや勉強空間等を半個室化、女性入校生の増加に対応できるよう寮室等の女性専用エリアを整備④県民に開かれた学校づくり=消防学校の見学会や消防救急活動の体験会を通じて県民の防火・防災意識を高める機会を創出⑤南部中核拠点として広域防災拠点と消防学校の一体活用=平時には消防学校の教育訓練において広大な南部中核拠点敷地の活用が可能、災害時には消防や警察・自衛隊等の進出、救助活動拠点(ベースキャンプ)や活動拠点支援施設(宿泊施設等)として消防学校施設を活用して応援部隊の受入体制を強化。新消防学校に想定する施設は次の通り。
▽屋外訓練場=アスファルト等(全天候型の材質)による訓練に適した舗装。
▽放水訓練場=雨水や放水訓練水の再利用によるコスト削減。
▽屋内訓練場=ポンプ操法可能な広さの確保、全天候型仕様、車両進入等を考慮。
▽救助訓練施設=①高さ20㍍以上渡過距離 20㍍以上など全国消防救助技術大会基準を確保②消防機関の合同訓練での活用も想定。
▽模擬消火訓練装置(AFT)=消防団員教育、県民体験施設としての活用も考慮。
▽総合訓練施設=①ホットトレーニング、燃焼実験室、排煙迷路訓練施設、複合型救助訓練施設( 山岳等救助、竪坑・横坑)を集約②消防設備の火災予防実習室等を整備。
▽街区訓練施設=移動式模擬家屋を整備。
▽水難救助訓練施設=①5㍍以上の水深を確保して潜水訓練に対応②監視室や浄化設備を整備。
▽自然災害訓練施設=震災や水害等の訓練施設を整備。
▽教育・管理施設=①普通教室・救急実習室を想定②講堂兼大教室はフレキシブルな利用が可能なよう間仕切りを設置③女性など多様な利用者の受入に配慮。
▽宿泊施設=①宿泊施設は男女で区分する必要があるため女性専用空間の確保など女性の受入環境を充実②食堂は学生と教官が一斉に食事を摂れるスペースを確保。
▽訓練車両車庫。
▽駐車場。