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県リニア・地域交通課 広域自家用有償旅客運送調査 博報堂と契約を締結 移動確保へ事業者協力型検討 新たな地域でのシステム構築と運行準備
2025.9.11 県土マネジメント部
奈良県県土マネジメント部リニア・地域交通課は、公募型プロポーザル「事業者協力型広域自家用有償旅客運送調査検討業務委託第 5―委1号」について、博報堂関西支社(大阪市北区中之島)から提出された参加意向申出書と提案書を審査会で審査、100点満点中72・75点で事業者として選定、6420万円込(委託上限額と同額)で契約を締結して委託した。
奈良県においても、路線バスの廃止や縮小、山間地域などタクシー事業者によるサービス提供が持続できない地域の出現により日常生活の移動に困難を抱える住民が増加し、移動の足の確保が課題となっている。一部の地域では市町村等による自家用有償旅客運送や地域住民が移動を担うボランティア輸送等が実施されているが、利便性や持続可能性の確保等において課題が顕在化している。また、これらは同一市町村内での運行に留まり、広域的なつながりでの交通サービスの提供に至っていない。加えて高齢化の加速により公共交通の担い手となるドライバーの確保も喫緊の課題となっている。
こうした課題を受け、令和6年度に「事業者協力型広域自家用有償旅客運送調査検討業務委託第1―委4号」を博報堂に委託し、県内の状況等の調査を実施するとともに、宇陀市においてマイカー公共交通の運行を開始したが、同一市町村内に留まらない広域的な移動手段を将来に亘って確保するため、今年度は利便性と持続可能性が高い新たな移動サービスを発展させるとともに、新たな地域での実装に向けた調査及びシステム構築し、事業者協力型広域自家用有償旅客運送の運行準備を行う。業務対象場所は県内全域、委託期間8年3月31日、担当は公共交通計画係(電話0742―27―8939)。業務内容は次の通り。
▽地域の特性に応じた公共交通の確保にむけた課題整理=地域の特性に応じた公共交通を確保する仕組みづくりに向け、県における交通空白地域(2地域程度を想定)における地域公共交通(タクシー及びバス)の現状を把握し、利便性向上や持続可能なサービスの提供等における課題を抽出する。
▽地域の特性に応じた新たな交通サービスの設計=前年度の調査及び課題整理の結果を確認及び現状から再度整理し、課題解決及び実装に向けて利便性向上と持続可能性が高い事業者協力型自家用有償旅客運送の新たな交通サービスを設計する。対象エリアや対象路線の選定(2地域程度。少なくとも1地域は6年度にマイカー公共交通を導入した地域に隣接する地域)。
▽地域の特性に応じた新たな交通サービスの事業計画策定=①各交通サービスの事業スキーム整理②各交通サービスの事業計画策定(道路運送法の規定に基づく届出での記載事項など申請に必要な要件を中心とする整理を行う。今後行政負担が大幅に増加せずに持続可能なものとなることに充分配慮しながら運賃水準を設定したうえで今後5ヵ年程度の中期的な収支見込み等と合わせて事業計画として整理する)。
▽自家用有償旅客運送ドライバー確保に向けた「ドライバー人材バンク」の整備=新たな交通サービスを導入する地方自治体や地縁団体やまちづくり団体や地域で活動する企業・団体等と連携してドライバー登録を推進する。
▽関連システムの構築=各交通サービスの具体的な運行を行ううえで必要となる①基本機能②ユーザーアプリまたはWEBブラウザに関する基本機能③ドライバーアプリに関する基本機能④管理機能(管理者WEB)に関する基本機能のシステム等についてそれぞれの核となる事業主体と随時協議しながら環境構築を行う。クラウド方式により導入することを基本とする。国の新しい地域経済・生活環境創生交付金(デジタル実装型TYPE1Plus)の採択を受け構築するシステムはデジタル地方創生サービスカタログに掲載されているもの。
▽運行開始に向けた各種準備=交通空白地域における新たな交通サービスについて8年3月までの運行開始を予定している。運行開始に向けて①運行管理者となる交通事業者に対するシステム導入支援②事業主体が行うドライバー募集及び登録(使用車両を含む)への支援③ドライバー安全講習会の開催支援登録ドライバーに対して事業主体が実施する安全運転講習会の資料作成及び開催のサポートを行う④必要な自動車保険への加入の支援⑤利用促進に向けた取組事業主体とともに運行する路線の沿線住民に対し新たに導入する交通サービスの周知等利用促進に向けて取り組む。また、必要な資料の作成を行い交通サービスの利用の仕方等について住民向け説明会の支援を行う。
▽事業者協力型自家用有償旅客運送事業としての届出の支援。
▽運行開始に伴う運行に必要なシステムのセットアップ=8年3月までの運行開始に向けて運行に必要なシステムのセットアップ作業を行う。また、運行開始後のシステムトラブル等に対応する。
▽各交通サービスの運行開始後の検証=6年度及び7年度に運行を開始した各交通サービスについて次年度以降のPDCAサイクルを回すために必要となる検証を行う。
▽合意形成及び運行体制構築に向けた支援=①地域の合意形成等に向けた支援(利用者かつ供給者となる地域住民等の意見を運行計画等に反映させ利便性の高いシステムとするための説明を現地開催で複数回を想定②運行管理者となる交通事業者等との合意形成及び運行体制構築に向けた支援(研修会は現地開催で2回を想定)。
▽協議会等の運営=7年度中に協議会を3回程度開催予定(出席者は各30名程度を想定。原則として対面とオンラインのハイブリッド開催)。
▽スケジュール及び業務フローの作成。
▽報告書作成。