一般記事
7年度に治水対策検討 一級河川地蔵院川の浸水被害で 遊水池流出解析モデルを再構築
2025.7.1 県奈良土木事務所
奈良県奈良土木事務所は、民家が密集した住宅地を流下している地蔵院川において、令和7年度に過去に発生した浸水被害への対応を目的として現況河道の状況及び沿川の土地利用状況を踏まえ、実現性の高い治水対策の検討を行う。
地蔵院川は、その河道断面は狭小で浸水被害が発生している状況。対策として遊水池を平成25年度に整備(暫定運用1/3規模)し、令和3年度には遊水池への越流堰の切下げを行い、遊水池の洪水調節効果によって下流の浸水低減に寄与していることが確認されているが、遊水池へ流入する前に遊水池下流の農地・道路等で浸水被害が発生している。
一般競争入札「一級河川地蔵院川浸水対策検討業務委託(単独河川改良事業他)第N―10―委―13他号」を7月17日に開札して業務を委託することにしている。業務場所は奈良市横井町他。業務は浸水対策検討1式。委託期間8年3月19日。予定価格1686万3000円込、調査基準価格1354万1000円込。県庁の担当は県土マネジメント部河川整備課河川整備係(電話0742―27―7469)。業務内容は次の通り。
【計画準備】
業務の目的・主旨を把握したうえで、業務の実施に当たっての実施方針及び業務工程と業務実施体制を検討し、業務計画書を作成する。
【資料収集・整理】
既住報告書と地蔵院川横井観測所水位データ及び近傍の降雨データ等を収集・整理する。
【現地踏査】
貸与資料をもとに現地踏査を実施し、現況の河道・遊水池状況と周辺の土地利用状況等を把握する。
【浸水対策の検討】
▽①流出解析=既住検討における地蔵院川(遊水池)流出解析モデルを再構築し、浸水被害実態をより適切に表現できるようにモデル改良を実施する。そのうえで2年10月出水に対する浸水状況、5年6月出水に対する浸水状況、6年11月出水に対する浸水状況、遊水池使用状況等を再現し、モデルの妥当性を検証する。
▽治水対策検討=前項で求めた流出計算結果を基に浸水部分の解消のため治水対策の検討を行う。検討の際には維持管理・経済性・事業の実現性や効果などを踏まえ、上流にある遊水池と下流河道の改修可能状況や水路から地蔵院川への流入状況などの改善について複数案検討を行う。その際には浸水部分の解消の検証及び下流への影響がないかの検討を併せて行う。また、奈良県中央集中型1/3規模降雨に対して流出解析を実施し、検討結果を踏まえて改良した遊水池(暫定整備1/3規模)の出水時における運用状況の確認を行う。
【概算事業費算定】
それぞれの整備に必要な施設の一般図等を作成し、概算数量及び概算工事費を算出する。
【照査】
照査技術者による照査を①現地踏査・資料収集整理を行った段階②諸施設の検討及び設定を行った段階③成果品を作成した段階の―3回以上実施する。
【報告書作成】
以上の検討過程と検討結果をとりまとめた報告書を作成する。