奈良県県土マネジメント部道路マネジメント課は、一般国道１６９号及び一般国道１６８号の山間部の県管理区間の延長計１５０㌔㍍程度を対象として令和７年度に道路法面・斜面のリスク箇所の机上抽出を行い、現地確認を踏まえて点検様式などの基礎資料を作成する。
　これは、５年１２月２３日に一般国道１６９号（下北山村上池原）の土砂崩れで発生した事故などを踏まえ、今後の県管理道路における法面点検のあり方について検討して作成した「奈良県版：道路防災点検の手引き」（７年３月）に基づいて実施するもの。
県建設産業課で一般競争入札「一般国道１６９号他道路斜面災害リスク検討業務委託（道路復旧緊急対策事業）第８４４―委１号」を８月１日に開札して業務を委託する。業務場所は川上村他。業務は不安定斜面の机上抽出、道路防災点検、熱赤外船調査、検討委員会の運営補助。委託期間８年３月３１日。予定価格８００１万４０００円込、調査基準価格６４６５万８０００円込。担当は道路環境向上係（電話０７４２―２７―７５１２）。業務内容は次の通り。
【計画準備】
業務内容を充分に理解するとともに現地の状況を踏まえ、業務計画書を作成する。
【資料収集整理】
一般国道１６９号及び一般国道１６８号での斜面災害に関連した資料を収集し、災害発生の状況等を斜面ごとに取りまとめる。
【不安定斜面の机上抽出】
将来発生する可能性のある災害の予兆を把握することを目的としてスクリーニングを行い、斜面の不安定箇所を抽出する。スクリーニングの対象とする災害は主に前兆現象が分かり難く発生頻度が比較的低い中～大規模の災害（地すべり、岩盤崩壊、深層崩壊等）とし、精度は１：２０００程度を想定。スクリーニング手法は①干渉ＳＡＲ時系列解析（解析に用いるＳＡＲ衛星データは主にＡＬＯＳ―２での取得データ解析期間は平成２６年～業務開始。解析結果を基に斜面が変動している可能性のある範囲を抽出する）②地形判読（最新のレーザープロファイラ地形図を用いて微地形を判読し、地すべりや重力変形などの変動斜面を抽出する）③その他に有用な調査方法がある場合に監督職員と協議のうえで実施し、変更対象とする）④抽出結果の取りまとめ（不安定斜面の抽出結果については規模や変状の進行性及び対策の有無等を考慮して災害発生リスクの高低等についてとりまとめる）
【道路防災点検】
▽安定度調査＝机上調査結果を踏まえて災害リスクが高いと想定される箇所（２０ヵ所を想定）を対象に安定度調査を実施する。
▽防災カルテ点検＝安定度調査結果で「要対策」「カルテ対応」と評価された箇所を対象に防災カルテ点検を実施する。対象箇所は２０ヵ所を想定。
【熱赤外線調査】
▽作業計画＝安定度調査を実施した結果、詳細調査を実施するに当たり熱赤外線調査を実施する必要がある場合は箇所の選定や調査の準備を行う。
▽熱赤外線調査＝温度が低い時期（早朝）と高い時期（日中）の撮影を行い、温度差を図化する。調査面積は０・０１平方㌔㍍を想定。
【過去の災害履歴との比較・検証】
対象区間における過去の災害発生箇所について干渉ＳＡＲ時系列解析等の結果を重ね合わせて比較・検討し、解析手法の妥当性を確認する。対象地区は１０箇所を想定。
【学識経験者による検討委員会の資料作成・運営補助】
学識経験者による検討会を８年２月に１回程度開催予定。検討会資料として上記検討結果を取りまとめるとともに、検討会の運営補助を行う。
【道路施設共通データベースシステムへのデータ入力】
業務で得たスクリーニング結果と道路パトロール時の点検結果等を県が保有する「道路施設共通データベースシステム」へ入力するため、エクセルに必要な情報を入力し、システムにデータ登録する。
【道路パトロール等効率化業務】
日々の道路状況を把握するために日常的に行われる作業であり、道路災害・異常事象が発生した場合には二次災害の防止と早期復旧対策の観点から、過去のパトロール結果等を迅速に確認することが求められるが、過去の結果が紙媒体で保存されていたり、一元的に管理されていないためデータの捜索に時間を要している状況。また県では法面の日常及び緊急時のパトロール後の報告は現場での撮影した写真等を帰所後にパソコンに取り込み、各事務所の様式で作成して出力することから多くの時間が必要。
これら課題を解決するため、法面に関する日常及び緊急パトロール時に公用スマートフォン等を活用して自動取得したＧＰＳ情報より異状箇所の確認地点を地図上へ自動的に表示し、観察地点で入力した情報及び写真から報告書を簡易に作成することでデータの蓄積及び現場状況報告を効率化することを目的としたサービスを導入する。なお、業務で得たパトロール結果等は県の保有するデータベースシステムに取り込む。
【報告書作成】
検討結果についてとりまとめ、道路パトロール等効率化業務の内容も含めた報告書を作成する。